ビジネス書に普段から触れている方なら、もう読了された方も多いのでは?
- キャズム/ジェフリー・ムーア
- ¥2,100
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IT業界向けのマーケティング理論の本ですが、その論はIT業界特有(と感じる部分はあるものの)
というより、全てに通ずるものであり、だからこそビジネス書としてはベストセラーになっているのだ
と思います。
理論のベースにあるのは、「ライフサイクル理論」。
生物の一生と同じように、技術や商品にもサイクルがある、という有名なあれです。
例えば、液晶テレビ。
1)まず、マーケット視点で見てみると…、
最初市場に登場した(生まれた)時は、あまり買われない。
買う人は、新し物好きとか、マニアとか、一部の人に限られてきます。
こういう人たちを、初期採用者、とか、イノベーター、とかと呼びますね。
こういうある程度限られた市場で普及してくると、一般の人も購買し出します。
この、「一般の人」にも初期採用者と、後期採用者がいます。
本格的な普及期に入り、比較的早期に買う人と、そうでない人ですね。
さらに、普及期を過ぎても、購入しない人もいます。
採用遅滞者とか言いますね。
2)これを、ライフの側面から見ると、
製品が生まれ、徐々に成長し、認められ主流になり、やがて死に筋になり、次世代に世代交代
する、という感じです。
液晶テレビは、正に今普及の後期に入っている、と言えるのではないでしょうか。
次に控えるは有機EL、ですかね。
随分と前置きが長くなりましたが、この本は、初期市場で萎んでしまうことの多いIT業界に向け、
初期市場から、メインストリームである大口の市場にどう意向させるか、に着目した書です。
一般的に、ライフサイクル理論では、各ステージの間が連続的に繋がっているかのような
表現がなされます。
この本が凄いところは、各フェーズの間には、市場移行の溝(キャズム)があるとしている点です。
特に、初期市場からメインストリーム市場のキャズムを越えるのが一番難しく、注意を要すと
著者は説きます。
どういう考え方でマーケティングを展開すべきか?チャネルをどう構築するのか?
この難しい命題に一定の指針を与えているという点で、非常に役に立つ良書だと思います。
興味があれば、是非。
では、また。