【書評】キャズム | 製造業バイヤーの撮影日記

製造業バイヤーの撮影日記

ひとまずカメラ撮影記にします…。

ビジネス書に普段から触れている方なら、もう読了された方も多いのでは?


キャズム/ジェフリー・ムーア
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IT業界向けのマーケティング理論の本ですが、その論はIT業界特有(と感じる部分はあるものの)

というより、全てに通ずるものであり、だからこそビジネス書としてはベストセラーになっているのだ

と思います。


理論のベースにあるのは、「ライフサイクル理論」。


生物の一生と同じように、技術や商品にもサイクルがある、という有名なあれです。



例えば、液晶テレビ。


1)まず、マーケット視点で見てみると…、


最初市場に登場した(生まれた)時は、あまり買われない。

買う人は、新し物好きとか、マニアとか、一部の人に限られてきます。


こういう人たちを、初期採用者、とか、イノベーター、とかと呼びますね。


こういうある程度限られた市場で普及してくると、一般の人も購買し出します。


この、「一般の人」にも初期採用者と、後期採用者がいます。


本格的な普及期に入り、比較的早期に買う人と、そうでない人ですね。



さらに、普及期を過ぎても、購入しない人もいます。


採用遅滞者とか言いますね。



2)これを、ライフの側面から見ると、


製品が生まれ、徐々に成長し、認められ主流になり、やがて死に筋になり、次世代に世代交代

する、という感じです。


液晶テレビは、正に今普及の後期に入っている、と言えるのではないでしょうか。


次に控えるは有機EL、ですかね。



随分と前置きが長くなりましたが、この本は、初期市場で萎んでしまうことの多いIT業界に向け、

初期市場から、メインストリームである大口の市場にどう意向させるか、に着目した書です。


一般的に、ライフサイクル理論では、各ステージの間が連続的に繋がっているかのような

表現がなされます。


この本が凄いところは、各フェーズの間には、市場移行の溝(キャズム)があるとしている点です。


特に、初期市場からメインストリーム市場のキャズムを越えるのが一番難しく、注意を要すと

著者は説きます。


どういう考え方でマーケティングを展開すべきか?チャネルをどう構築するのか?


この難しい命題に一定の指針を与えているという点で、非常に役に立つ良書だと思います。


興味があれば、是非。


では、また。