人工授精の適応は

①軽度の男性不妊


②性交後検査(フーナーテスト)陰性例


③抗精子抗体軽度の陽性


④原因不明不妊


⑤性交障害


などが挙げられます。

 

 

人工授精のやり方は卵胞計測を行い、卵胞径が18〜20mm以上の大きさになったら、人工授精の日を決め、調整した精子を子宮内に注入します。




自然に排卵が起きる方であれば特に排卵誘発剤を使用する必要はないのですが、排卵誘発と組み合わせた人工授精の有効性は以前より報告されていました。

 


 

今日は中国からの排卵誘発剤を使用した人工授精の有効性に関する論文報告を簡単に説明します。




自然周期で行う人工授精とさまざまな排卵誘発剤を用いた人工授精において、出生率、多胎率、人工授精3周期行なった後の累積出生率を比較しました。

 

 


8583カップル、人工授精14,519周期で、不妊原因は原因不明不妊、軽度の男性不妊です。

 

 

 

出生率:

自然周期                      6.2%

クロミフェン               8.9% 

レトロゾール                9.4%

ゴナドトロピン(注射)   9.5%

 



多胎率:

自然周期            0.7%

クロミフェン     4.6% 

レトロゾール     1.3%

ゴナドトロピン 4.2%

 



人工授精3周期行なった後の累積出生率

自然周期            18.4%

クロミフェン     25.7% 

レトロゾール     26.2%

ゴナドトロピン 23.7%

 


 

以上から、人工授精を行う場合は何かしらの排卵誘発を行った方が出生率が高くなりました。また多胎率は排卵誘発を行った方が高い結果となりましたが、排卵誘発剤の中でもレトロゾール使用時の多胎率はかなり低く抑えられていました。

 

 

日本ではレトロゾールはまだ排卵誘発剤として認められておらず、保険では出せない薬ですが、排卵誘発を組み合わせた人工授精を行う際には多胎のリスクが少ないレトロゾールを使用する方が好ましいと考えられました。

 

 

 

今回の論文は、

Shuo Huang, Rui Wang, et al. Ovarian stimulation in infertile women treated with the use of intrauterine inseminationg: a cohort study from China, Fertil Steril 2018:109:872-878

です。