3大不妊原因の一つは卵管通過障害です。
不妊症の診断に当てはまるのに、卵管の検査をしないでタイミング法や人工授精を何回もおこなうと最終的に無意味な時間を費やすことになる場合があります。
また、不妊診療の現場では、20代の若年女性の方が排卵障害があるため、まずは排卵障害の治療のみ希望して卵管検査を後回しにする場合があります(少し痛みを伴いますからね)。
排卵障害の治療は排卵誘発剤を服用し、排卵の時期に数回の超音波検査を行い、タイミング療法を行うのが一般的です。
時間もお金もかかるわけです
度重なるタイミング法の結果妊娠せず、卵管検査をしたら、実は卵管の問題があったとなると「時間とお金がもったいない」という結果になる場合もありますので、それを避けたい方ははじめに卵管検査を行っておくことをお勧めいたします
「心配だから早めにやっておきたいけど、卵管検査って痛そう」と思う方も多くいることでしょう。少し説明しますね。
当院では卵管通過検査は子宮卵管造影検査を行っております。
方法は下図のように子宮の中に造影剤を流すためのチューブを入れます。この時少し「ちくっ」とした痛みがある場合があります
もちろん、全然平気な方もいらっしゃいますよ
その後、バルーンといって風船みたいなものを膨らませます。こうしておけば入れたチューブが抜けなくなります。この時少しお腹が張った感じがします。人によっては「少し痛い」と感じる方もいると思いますが、あまり多くはありません
このチューブを入れてしまえば、あとは造影剤を流すだけです。当院ではレントゲン室でゆっくり造影剤を入れながらレントゲン下で卵管の通りを確認し、2枚写真をとります。
下図は教科書の写真ですが、正常だと子宮の形状が見えて、次に左右の卵管が写ります。造影剤が左右の卵管采からお腹の中にこぼれ落ちるのが見えれば卵管の通過があると判断します。
卵管に細い部分や閉塞している部分があるとその先がうつらなくなるので、病変がわかります。多少狭く細い部分があっても造影剤を流すと広がり、通りやすくなるため卵管造影検査の後は妊娠がしやすくなるとよく言われていますが、実際もそう感じます。
卵管造影検査の翌日に腹部のレントゲンをもう一枚撮ります。お腹の中全体に造影剤が拡散しているかを見るためです。
以上、子宮卵管造影検査についてでした
ネットの情報を見ると、「とても痛い検査」と認識してしまう方が多いのですが、実際はそれほどの痛みはないことが多く、卵管検査が必要な方は是非受けていただきたいと思います。