基礎体温表で二相性かつ月経があるにも関わらず、排卵の確認ができない場合があることをご存知でしょうか?
こういう症状がある場合を黄体化未破裂卵胞症候群と言います。
普通は卵胞の大きさが18~22mm以上になると排卵が起きます。排卵が起きると排卵した卵胞から黄体ホルモンが分泌されるため、体温が低温期よりも0.3度以上上昇します。
黄体化未破裂卵胞症候群の場合は、卵胞の発育は認めるものの、排卵が起きません。しかし、卵胞は育ち続け、黄体ホルモンを分泌します(未破裂卵胞の黄体化と呼んでいます)。
黄体ホルモンが分泌されるため、基礎体温表を見ると、ニ相性に見えます。
基礎体温表は二相に分かれていますが、排卵していないので、妊娠しません。
赤ちゃんが欲しい方にとっては大問題です。
診断は超音波検査で行います。
排卵前の卵胞の大きさをチェックして、排卵後にその卵胞がなくなっているかを見るのです。
黄体化未破裂卵胞症候群の場合、卵胞が破裂しておらず、40-50mmほどに拡大し、中に高エコー像を見ることがあります。
黄体化未破裂卵胞症候群の病態はよく分かっていませんが、子宮内膜症などによる癒着により物理的に排卵が障害されているとか、卵胞破裂に関与するプロスタグランディンの産生が低下しているとか、卵巣での免疫関連細胞の異常などが原因として考えられているようです。
黄体化未破裂卵胞症候群は原因不明不妊の20%程度とも報告されています。
黄体化未破裂卵胞症候群に対しては、経口薬や注射薬などによる排卵誘発を行い、卵胞を発育させ、ヒト絨毛生ゴナドトロピンの注射により確実に排卵させます。
またこの方法によっても黄体化未破裂卵胞症候群を繰り返す場合は手術や体外受精を考えます。
タイミング療法や人工授精などの治療を受けている方は、排卵後の超音波検査はとても重要です。
タイミング法を何回も行っても、妊娠に至らない場合は、きちんと排卵していることを超音波検査で確認しておいた方が良いでしょう。