不妊検査の一つにホルモン検査があります。

 

 

ホルモン検査にはエストラジオール (E2,)、プロゲステロン(P4という卵巣から分泌されるホルモンFSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体化ホルモン)、PRL(プロラクチン、乳汁分泌ホルモン)という頭の下垂体というところから分泌される性腺刺激ホルモンがあります。

 

PRL以外のホルモンは月経何日目に測定するかで正常値が変わってきます。PRLはいつ測っても正常値が決まっています。

 

 

つまり

月経2-5日目

卵胞期(排卵するまでの時期)

排卵日

黄体期(排卵後から次の月経までの時期)

で、正常値が異なります。

 

 

不妊検査では、これらのうち、月経2ー5日目(3ー7日目とする場合もあります)黄体期にホルモン検査を行います。

 

①月経2-5日ー基礎ホルモンと呼んでいます。E2,、FSH、LHを測定。

 

黄体期(排卵して1週間経ったころ)ー黄体ホルモン検査と呼びますE2、P4を測定。

 

 

 

【基礎ホルモン検査でわかること】

基礎ホルモン検査でわかることは多嚢胞性卵巣症候群、視床下部・下垂体性無月経、閉経、卵巣の機能が落ちているかどうかです。不妊検査としては、多嚢胞性卵巣症候群の有無や、卵巣の機能が落ちているかどうかを主に見ています。

 

E2(エストラジオール)は卵胞から分泌され、子宮内膜を厚くし(着床の準備)、排卵前に頸管粘液を増加させる作用(精子を受け入れやすくする)があります。卵胞が育っていくと、この値は高くなって行きますが、月経2-5日目の基準値は当院では19.0-51.0pg/mlです(施設により値が違います)。閉経が近いとこの値は下がります。

 

 

 

FSH(卵胞刺激ホルモン)は頭にある下垂体から分泌されるホルモンで卵巣に作用し、卵胞を発育させます。月経2-5目の基準値は施設によりますが、当院では2.0‐8.3mIU/mlです。閉経が近いとこの値は二桁以上に上がります。

 

 

LH(黄体化ホルモン)も同じく下垂体から分泌されるホルモンで、卵を成熟、排卵させ、黄体を形成する作用があります。月経2-5日目の基準値は施設によりますが、当院では0.8-5.7mIU/mlです。閉経が近いとこの値も二桁以上に上がります。

 

 

【黄体ホルモン検査でわかること】

 黄体ホルモン検査ではプロゲステロン(P4)、エストラジオール(E2)をみています。プロゲステロンは排卵した後に形成される黄体から分泌されるホルモンで、胚が着床しやすい環境を作る作用があります。つまり妊娠に必要なホルモンです。黄体ホルモン検査では着床しやすい環境であるかどうかをみています。排卵して1週間経った頃、プロゲステロンは10ng/mlで以上であれば問題がないとされています。またエストラジオールは100pg/ml以上を正常としているところが多いです。

 

 

 PRL(プロラクチン)の正常値は30ng/ml以下とする施設が多いと思います。プロラクチンが高いと排卵障害を起こしたり、不育症とも関わりがあるため、妊娠したい方は一度は測定しておいた方が良いホルモン検査です。

 

 

 

 

妊娠を希望している方が、婦人科を受診し、ホルモン検査をして異常がないと言われ安心してしまうケースをみますが、基礎ホルモン検査で異常が出るのは体重減少性無月経多嚢胞性卵巣症候群などあるいは閉経に近い方がほとんどです。

 

 

月経不順排卵障害があっても基礎ホルモン検査は正常な場合は多くあります。妊娠を希望している場合は基礎体温表をつけて排卵の有無を見ておく方が良いでしょう。