腕に切り傷が見える。しかも無数に。
そんなことは僕には関係なくて、大好きなカプチーノを頼んだ。
彼女が何を考えているのかわからない。
わかるのは僕に好意を寄せていることくらいだ。
しきりに僕に触れたがる。
触れたって、何もわかりはしないし、僕は君のその傷を見たくはない。
向かい合った席で、僕は少し距離を置いた。
「抱かれたいの?」
僕が二杯目のカプチーノを頼んだ後に、唐突に訊いたせいなのか、彼女は目を丸くした。
「いいの?」
彼女の腕の傷をたとえ癒せたとしても、彼女の欲求を満たすことはできない。
彼女がとろうとしたその手で、僕は一気にカプチーノを飲み干し、サヨナラを告げた。