皆さんは見たことありますか? 

「幽霊の指紋」を  

 

いやいや、こちら、あやしい見世物小屋ではございません。

 

私は『霊界通信 小桜姫物語』の著者、

浅野和三郎さんの、お孫さんである

浅野修一さん宅で、

“それ”を見てしまいました。

 

昨年10月のこと。

私は、尚ちゃんに誘ってもらい、

真言宗の僧侶である清水幸圓さんとともに、

修一さんのお宅に訪問。

 

その際に

「これが幽霊の指紋ですよ」

と言って、

修一さんがおもむろに机の上に置いたのが、

陶器の破片のような、

平べったい、茶色の塊(かたまり)でした。

 

 

塊は3個あって、いずれも、

たしかに粘土の上から指先を押し付けたようなあとがあり、

指紋もしっかり、確認できます。

 

大人が、粘土板の上に指を押した、としか思えない、

リアルなものです。

 

 

「これが……、そうなんですね」

と言いつつ、私の反応はかなりあいまい。

 

「初めて見ました……」

(↑当たり前だ)

 

なんで、これが「幽霊」のもの、なのか?

 

ていうか、そもそも幽霊に指紋があるのか?

 

驚いた方がいいのか? 

 

驚かない方がいいのか?

 

頭の中には「?」が駆け巡ったのです。

 

 

カミングアウトしてしまいましょう。

 

その方面に詳しい方々、

日々真剣に研究されている方々には怒られそうですが、

私は当時、大変不勉強でした。ゴメンナサイ!

 

修一さんの祖父「浅野和三郎さん」は、知る人ぞ知る心霊主義の研究家。

 

数多くの心霊実験や研究、著述を手がけ、

日本における心霊主義運動の啓蒙に

生涯を捧げたかたなのです。

 

修一さんは

おじいさまの和三郎さん、

その奥様で、修一さんにとってはおばあさまである

多慶さんの功績や資料を集めて、

大切に保管されていました。

 

 

この日、数々の資料や品物を見せていただきましたが、

そのうちの一つが、この「幽霊の指紋」。

 

修一さんによると、

1928年(昭和3年)、ロンドンで開かれた「世界心霊大会」に、

和三郎さんは日本代表の一人として出席。

「幽霊の指紋」は、そのあとに寄った、

ボストンの「お土産」だそうです。

 

ところで、

「世界心霊大会」とは、

少しばかりあやしい

宗教団体のイベントのように聞こえなくもありません。

 

しかし、よくよく聞くと、

この大会は、

各国から代表を集め、

心霊やスピリチュアリズムをテーマに

講演や研究、交流を、

1カ月以上にもわたって行う、かなり規模の大きいもの。

 

また、主催側メンバーには、

かの「シャーロック・ホームズ」の作家、コナン・ドイル氏もいて、

英語の話せる和三郎さんは、すっかり仲良しになったのだとか。

 

当時、欧米各国では、

あらゆる研究者、学者などが、

それぞれの立場から、

「心霊の存在を研究し、それを証明して見せる」ことに注力していました。

 

和三郎さんは、この渡航で

世界的なブームに触発され、

山のような文献とともに帰国。

 

帰国後は、国内で実験と講演を勢力的にこなし、

それが、日本でもスピリチュアリズムが盛り上がる、

大きな契機となったそうです。

 

 

 

さて「幽霊の指紋」の話の続きです。

 

修一さんによると、

「指紋」の主は、正確にいうと、

世界的に有名だったという、アメリカの女性霊媒・マージャリーさんの、

亡くなったお兄さんのもの。

お兄さんのウォルター氏は、

実験の17年前に、列車事故でこの世を去っていたそうです。

 

 

実験室では、次のように物質化が行われたようです。

 

 

立会人のもと、暗くした部屋でマージャリーさんが瞑想状態に入る。ウォルター氏の霊が現れる

和三郎さんが、ロウをどんぶりの熱湯で温めて、机の上に置く。

マージャリーさんにかかったウォルター氏の霊が、指紋を押して“自ら”冷水を張ったおわんに入れる。

しばらくすると「もう固まったようだ」と自ら取り出し、和三郎さんに渡す。

 

 

このような手順を3回、繰り返したそうです。

 

 

列車事故直前にウォルター氏が使用した剃刀が出てきて、

専門家の鑑定で、これらの指紋は本人のものと「完全に一致」。

 

妹であり霊媒のマージャリーさんの指紋とは4割5分ほど、

母親とは7割ほど類似していること(=つまり完全には一致しないこと)も

わかったそうです。

 

当時、このような心霊実験は

アメリカでも盛んに実施されていて、

マージャリーさん自身も、1928年時点で、150〜160個くらいの指紋を量産。

 

そのうちの3つが、

今もこうして浅野家に保管されているわけです。

 

ところで、

修一さんは指紋のついた、3個の塊のうち、

1つを私に見せながら、

 

「これは指紋が2つあるんですよ。

最後の方に、お湯の温度が下がってきて、ロウが柔らかくならないので、

念のために“二つ押しておくよ”って言って、

2回、押してくれたそうなんですよ」

 

と、楽しそうに笑いました。

 

 

見ると、たしかに指の跡が2つ!

 

 

私は衝撃を受けました。

 

列車事故で亡くなったという

 “マージャリー兄さん”の、

「二つ、押しておくよ」

という、

極めてカジュアルな振る舞いに。

 

 

 

心霊って怖いもの。

気味悪いもの。

なるべく近づかない方がいいもの。

 

そう思ってきましたが、

どうやらそうではない、かなり気楽な付き合い(?)をしている人も、

世の中にはいっぱいいるようです。

しかもとうに、1世紀近く前から……。

 

 

 

この日。

 

ビビっている私に、

修一さんが見せてくれたのは、

さらに衝撃のお宝でした。

 

(次回へつづく)