埋蔵文化財包蔵地の相続税評価 | 株式会社鎌倉鑑定ブログ

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Q.
「文化財保護法に規定する周知の埋蔵文化財包蔵地に該当する
土地を相続により取得しました。対象の土地は現在駐車場とし
て利用されていますが、周辺地域には2階建の一般住宅が建ち
並んでいます。また相続開始前の試掘調査により埋蔵文化財の
存在が確認されています。相続人は利用価値が著しく低下して
いる宅地に該当するとして、路線価等を基にして算出した価額
から10%相当額を控除して評価し申告しました。」
 この申告は認められるでしょうか。          
         【国税不服審判所裁決事例】を基に作成

A.
審判所は、「青空駐車場として利用されていたが、付近の状況
から本件土地の一般的用途は2階建程度の住宅の敷地と解する
のが相当であり、本件土地をこの用途に利用しようとすれば、
埋蔵文化財の発掘調査を要することは確実であると認められる
ことから、その客観的価値に影響を及ぼすべき固有の事情が存
するというべきである。そうすると、本件土地の評価に当たっ
ては、路線価等を基にして計算した価額から発掘調査費用相当
額の80%相当額を控除して計算することが相当である」
と裁示しています(H13.3.15裁決)。
 この裁決からは、「(1) 周知の埋蔵文化財包蔵地としての減
価が認められるためには、周辺の利用状況を前提とした最有効
使用の把握及び具体的な試掘結果が必要であり、 (2)評価額算
出の際、路線価等を基にして計算した価額から控除が認められ
るのは10%相当額ではなく, 発掘調査費用相当額の80%相当額
である」 ことが分かります。従って, 相続人は発掘調査費用相
当額を根拠資料を基にして算出する必要があると言えます。
                        [林] 記