「ことわざ」とは
先人の経験から生まれた知恵を言葉にしたものです。
より多くの人々の活きる糧になることを願って・・・
だから、迷信ではなく真実なのです。
イタリアにも「ことわざ」があります
その「ことわざ」を分かりやすく伝えるために描いたもの
それが
これは
ジュゼッペ・マリア・ミテッリ(1634~1718年)
イタリア人、画家、版画家
が、1678年に
フランチェスコ・マリア・デ・メディチ(1660~1711年)
に贈った版画集です。
その46番目
上には「ことわざ」が記され、
下には、その「ことわざ」の説明が書かれています。
そして、それらが描かれています。
上の「ことわざ」は
「好機に恵まれた者は待ってはならぬ。」
下の説明には
「賢者よ、何一つ好機を失ってはならぬ、
その時を手に取らなければ、逃げられてしまう、
しっかり掴まなければ剥げてしまう、それがフォルトゥーナである。」
右の男性が左の逃げる女性を追いかけながら彼女の髪をつかんでいます。
女性は裸で、大きな布とコルヌコピアという豊穣の角(豊穣を表す)を持っています。
彼女は人々に幸運を与える女神フォルトゥーナです。
大きな布は風る受ける帆の役割をし、幸運の移ろいやすさを表しています。
シエナのドゥオーモの床のモザイクのフォルトゥーナです。
帆を持ち、右足が球体の上、左足が船の上とあり得ないくらい不安定な立ち方をしています。
フィレンツェのヴェッキオ宮の4元素の間に描かれたフォルトゥーナです。
帆を持ち、前髪だけ長く描かれています。
フォルトゥーナが人々に幸運をもたらす好機は、来た時に直ぐに掴まなければ掴めなくなってしまう。
なぜなら後ろ髪がないから。
つかみ損ねても待ってはくれません。
これは、幸運が巡ってきた時の心構えをを描いています。
幸運をつかめるように
賢者は承知しています。
この版画集は、
的確な人生の法則を処方してくれます。
参考訳
「Proverbi Figuratiことわざ図絵」
而立書房