ここでは、身体的技術介入について説明します。その前に前回②で説明したディエスカレーションをもう一度説明します。
ディエスカレーションとは、言語的、非言語的なコミュニケーション技法によって怒りや衝動性、攻撃性をやわらげ、患者さんをふだんの穏やかな状態に戻すことです。すなわち、患者さんがエスカレートした状態から脱するための技術です。この技術は単に気分を落ち着かせることに加え、共感し、信頼関係をつくり、交渉による問題解決や環境調整などの危機を回避するための方略です。これによって必要以上に隔離や拘束、投薬といった手法をとることを減らすことができます。治療的介入の一つとしてとらえる必要があります。このようにディエスカレーションを行い身体介入までいかず患者さんが落ち着いていただければ、これが一番良い方法です。
では身体的技術介入のなかのブレイクアウエイについて1つ説明します。これは一人で緊急時に離脱する方法です。
①同側の手をつかまれた場合の離脱方法(左手首を相手の右手でつかまれた場合)
・つかまれた手を五指をパッと開き、背屈(手背側に反らす)させる。手を開くことによって主に伸筋群の腱が太くなり、相手はつかみづらくなります。
・つかまれた手は開いたまま、内側に回しながら相手の前腕の内側へ上げていきます。
・さらに回しながら手刀をつくり、相手の前腕内側に押し当てます。
・手刀で相手の前腕内側を押すのと同時に左足(つかまれた手と同じ方の足)で踏み込みます。その際、手と足の動きが同時であることが大切です。
・そして離脱します。
次回に続きます。
看護部 田原
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