こんばんは。


今週の週刊誌も校了しました。


さて、私はタイトルの通り、5/19(日)以降、においがわからなくなってしまったのですが、3日目が終わろうとしています。嗅覚障害というやつです。

経緯としては、先週水曜、木曜が非常に体調が悪く、金曜からは回復したのですが、軽い咳や倦怠感は残りました。熱もありません。病院に行かなかったのでわかりませんが、おそらくただの風邪だったのだと思います。で、このままよくなるかなと思ったら日曜以降いきなり、全てのにおいが分からなくなってしまいました。

厳密に言うと3日目の今朝は、トイレのにおいが少しわかり、これは治るか?と期待したのですがその後はまた「無の世界」に戻ってしまい、いま夜11時です。通勤時などにいろんなもののにおいをかいでみたりもしましたが、何か感じるとしてもそれは「温かい」「冷たい」という別の感覚によるものなのだと気づいてからは、頑張ってかいでみるのもやめました。今後に不安がないといえば嘘になります。


明後日の木曜まで治っていなかったら、病院に行こうかなと思いますが、自分では取れない奥の奥の方で鼻詰まりが残ってしまっているのか、はたまた風邪の後遺症で嗅覚神経がやられてしまったのか(←この場合は回復に相当時間がかかるらしい、最悪の場合戻らない)、そのどちらかだと思います。もちろん前者であることを期待していますが。。。


で、においのない世界について、これは今しか経験できないことかもしれない(というか、そうであってほしい)ので、こうしてブログを書いています。ちなみに、ここまでにおいがわからなくなる時間が続くのは人生初です。あっても風邪で鼻が詰まって、まる1日わからないだけとかでした…。


まず一つ、においについて僕が言えるのは、自分は普段、嗅覚からものすごく刺激を受けて、それで色々なことを考えたり、感じたりしてたのだなあということです。

…と書くと、何を当たり前の、ありきたりなことを言うとるんじゃいと感じるかもしれませんが、においというのは自分に爽快感やリラックス感を与えてくれることもあれば、不快感を催すこともあるものなのだなと、この立場(?)に立ってみて改めて思います。

今現在の私は、においに関する感情がすべてシャットアウトされています。たとえば、味覚はあるので食べ物の味はわかりますが、「風味」のようなものの知覚が半減しているので、何を食べてもどことなく味気ないです。コーヒーも味はわかりますが香りが全くしないのですごくプレーンな感じ。タバコに至っては舌に苦味が残るだけなので、ここ3日間吸っていません(これも厳密に言うと一度少し吸ってみたのですが、全く美味しくないのですぐに火を消してしまいました)。とすると、禁煙したい人は鼻が利かなくなれば一発だな、とか思ったりもしたのですが、それは間違いなく暴論ですから妄想に留めておきます。

とはいえ、妄想というのはこういう時に広がってしまうもので、においがないというのも(それで苦しんでいる人たちにとっては不謹慎な意見ですが)、ある意味「生きやすい」気がします。満員電車のえもいわれぬ、生物としてのヒトのにおいとか、トイレのにおいとかもゼロ。生活上の「かぎたくないにおい」全般を何も経験せず生きていけます。自分の体臭で不快になることもありません。

また、校閲の仕事としても嗅覚というのはほぼ必要ありませんから(比喩的な意味を除いて)、もしかしたらにおいがわからないことによって他の感覚にリソースを割けるということがなくもない、とは感じたりもしています。今日は火曜日なのでとても忙しかったわけですが、「無感状態」のため朝から晩まで休みなく働いても全く疲れず、パフォーマンスとしても悪くなかった気がしてます(気だけはしてる、というか)。

しかし、自分のにおいがわからない、という人生を過ごしていると、知らないうちに周りの人に迷惑をかけてしまう可能性は高いですよね。オナラをしても自分は何もにおわない、でも周りは臭い。服が異常に臭くても自分では気づけず、周りだけが不快な思いをする。

大きめに言うと、やはり人間は周りに迷惑をかけてこちらもかけられて、それが人生なんだな、と改めて思ったりしています。

と同時に、においを知覚できた頃の世界の「広さ」にも思いを馳せたりもします。先ほども書きましたが、においによって私はいろんな気持ちを呼び起こして普段、生活していました(過去形)。それはまさしく、生きる営みなんだなと。今はドリアンやくさやのにおいもほぼ感知できない状態ですが、感知できるときとできないとき、どちらが生きていると強く言えるか。この命題に対する答えは自明ですね。どちらが幸せか、というとまた変わってきますが。


…とつらつら書きましたが、においのない世界のことはもうこの3日間でよく分かったので、早く「皆さんと同じ状態」に戻りたいですよ私は。



駅に急ぐ自転車で風を切って行く時の、あの清冽な空気のにおい。

美味しそうな中華料理がテーブルに運ばれてきた時の、湯気とともに届いてくる、あの食欲をそそるにおい。

お風呂上がりにふと香ってくるリンスのにおい。



かぎたい。私は。


明日起きたら全てが元に戻っていますように。


また続報をリポートしますね。

おやすみなさいませ。