最高気温35度を超える、梅雨の蒸し暑い日が続く

よく晴れた七夕の日。

本日は、京都まで行ってきました。


久しぶりの遠征です。


京都コンサートホールの電光掲示板。



今回のフライヤー。

このキャッチコピーって、どなたが考えるのでしょうね?

「紡ぐ詩情、織りなす色彩、

 真情あふれる魂の音色」


牛田さんの誠実な色彩を感じる素敵なコピーです。



昨日とは、曲が少し変わりました。

ブラームスのソナタ3番が、リストのロ短調ソナタになります。



プログラム


ラヴェル ソナチネ

リスト ピアノソナタ ロ単調


グバイドゥーリナ シャコンヌ

シューベルト ピアノソナタ第21番



私コンサートは、会場の中央から後ろの方の席を取りがちなのですが、

今回は珍しく、前方席でした。


京都コンサートホール、開演前に柔らかな音楽が流れます。


そして、皆様が着席して、まだ会場全体が明るいのに、演奏を待つ人々の静寂がホールに満ちます。


期待と緊張感を伴った、たくさんの人がいるのに

シンと静まりかえった静寂は、圧を持つかのようです。

こんな静寂は、いくつもコンサートに行っていても

そんなに味わえるものではないと思っています。

人々の「期待」の圧に、ゾクゾクしました。


牛田さんが登場されると同時に、拍手が沈黙を打ち破ります。


1曲目、ラヴェルの透明で清らかな響きが、会場の空気を変えて、

蒸し暑さの中に清涼な風を呼び込むようでした。


2曲目は、

何年振り?かに聴く、リストソナタです。


私は牛田さんが弾かれるリストソナタが大好きでした。だから、数年前(6年前?)に、「しばらく弾かない」とのことをおっしゃられた時には、もう当分聴けないのね、と、とても残念だったのですが、

時を経てまた牛田さんの演奏でこの曲を聴ける幸せを

この七夕の日に味わうことができました。


久々の出会いには、最高の日ではないでしょうか。


ドラマティックに展開するリストソナタは、

牛田さんの心から溢れ出る情熱や

言葉にならない叫び、慈しみ、愛憎

呪い、祝福を

音として紡いでいるようで、


聴いていても、ハラハラしたり涙ぐんだり、

感情のジェットコースターに乗ったようで

心揺さぶられて

「やっぱり好きだわ」

と思うのでした。


休憩を挟んで後半はグバイドゥーリナのシャコンヌです。

3度目になるとずいぶん私も慣れてきました。


この曲は、まるで現代美術みたいにも思えてきました。「こんな感情ですよ。こんな情景ですよ」と具体的に示すというよりは、

まるで、聴いているこちらの感情を映す鏡のような曲に思えてきました。


繰り返し聴くことで、どんどん面白くなってきています。


そして、シューベルトのピアノソナタ21番。

シューベルトのピアノの曲の旋律は、息が長い!と思います。試しにこのソナタの冒頭の旋律を声に出して歌ってみても、

ピアノのフレーズとして、ここまで一息でいきたいところまで、人の呼吸の一息では歌えない。

これを、一息でピアノで歌うのも、私には無茶苦茶難しいのですが、

息の長い美しいフレーズ感。

何よりも、そんな理屈を吹き飛ばす

優しくて、情熱を感じる歌。


不思議と、昨日よりも、今日のコンサートは

まろやかさよりも、濃いめの情熱の味付けを感じました。


こんなに近くで演奏を聴いていたせいか、

小さな子供の頃に、グランドピアノの下に寝転んで「ねぇ、弾いて」っておねだりして、

友達の弾くピアノの音を、少しまどろみながら聴いていた

反響版の真下の特別席でピアノを聴いていた

なんだか、幸せだった記憶を思い出しました。


そんな、幸せな子供の頃を思い出すような

心の奥の幸せな記憶を照らし出すような

美しい演奏を聴ける、とても幸せな時間でした。



七夕で、一年に一度会える

織姫と彦星は

その別れの時に、何を思うのでしょう。


また、一年もの間、会えない寂しさ?

また一年後には会える希望?




アンコールはこちら。



牛田さんのピアノリサイタル、

今度はいつ行くことが出来るでしょうか。


でも、室内楽は、また行きますよー。



満足感と、少しの寂しさを抱えて、会場を後にしました。


そして、京都のお土産を買い込んでいったのでした。




今回、沢山、買いすぎちゃった💦