先日は、ずいぶん前から楽しみにしていた

豊田市で行われる牛田さんのピアノリサイタルに行ってきました。



豊田市コンサートホールは、豊田市駅から徒歩すぐ。ビルの10階にあります。


3月とはいえ、ずいぶん寒い日となりました。


空は晴れ。ビルからは、美しい夕焼けが見えました。



ロビーには、ファンの方々からの花束が

今日も飾られていました。



今回のプログラムはこちら。

モーツァルト ピアノソナタ4番
シューマン クライスレリアーナ

休憩

ショパン 即興曲1.2.3.
ショパン ピアノソナタ3番


モーツァルトから始まるプログラムです。
シューマンとショパン、
同じ時代に生きた二人の曲が
休憩を挟んで対峙するプログラムです。

1曲目のモーツァルトが、始まりました。
音がキラキラと天井から降り注ぐかのようで、
あまりにも美しくて、身が震えました。

ふと、子供の頃、お留守番の時にレコードの針を落として聞いていた、モーツァルトを思い出します。
短調への転調が、ふと影をさすものの、また柔らかな日差しに溶け込んでいくかのような、
水面のゆらめきの反射を、飽きもせずに眺めている時のような、
幸福な、心の柔らかな場所に届く光のような
幸せな音楽でした。

シューマンのクライスレリアーナは
モーツァルトの天から降り注ぐ響きから
ピアノを中心として、空間に広がるような響きに変わったと思えました。
展開の速い(無茶苦茶速い)曲が、無理なく聞こえて、一つ一つの揺らぎが
まるでシューマン自身の心の嵐のようにも感じられました。
少し不安定で、だからこそ魅力的で
懸命に語りかけてくるような曲に思えてきました。

モーツァルトの天上の光のような世界から
どーんと地上に降りてきて
泥に脚をとられながら
もがきながら、
前を向いて歩こうとするのに、
もしかしたら後退しているのかもしれないような

嵐と安らぎと、
人間の内側を描いたような音楽に
どっぷり浸かったような感覚となりました。

夢見心地で前半終了。

後半はショパンです。

モーツァルトともシューマンとも違う音色で
寂しさと切なさと、それでもはっきりとした意思に貫かれたような感覚になりました。

ひとつひとつがキラキラと煌めいていて、
音が会場をピチピチと跳ね回っているように感じられました。
とても心地よく
「今この時が、どうか終わらないように」
「時を止めてしまいたい」と思う幸せがありました。

アンコールは



シューマンのピアノソナタ1番の2楽章は

昨年八ヶ岳で聴かせていただいてから

耳に残って、

よく朝の湖の光景と共に、

今も時折牛田さんの音色で蘇る曲となっています。


とても牛田さんらしく素敵な演奏で

大好きです。


もう一度舞台に出ていらっしゃって

ショパンの幻想曲を弾かれ始めた時、

「えっ、今からこれを弾いて下さるの?」と

驚き半分そして

この幸せな時間が、まだもう少し続くのだとの喜びを感じていました。


はじめは、モーツァルトとシューマン

次にショパン

そして、最後はシューマンをショパンで挟んだアンコール。


幸せな幸せな時間でした。


どんな幸せな時間も終わりがきます。


でもそれはまた、次へ続く時で、


また、今度、次にまた

舞台で聴かせていただける日までの

待つというまた幸せな時間になれるのだと思うと

とてもありがたいと思うのでした。


次はまた初夏の頃に。

楽しみに日々を生きようと思います。




おや、もうここの桜が咲いていると思ったら

こちらは神代桜で、ソメイヨシノよりも少し開花がはやいとのこと。


今日は寒くなりましたが

春はもうすぐここまで来ているのですね。