思春期を迎える私に異変が訪れた。

それは男子トイレでのこと。


鈴木

虎太郎の好きなバンドってSOPHIAだっけ?


虎太郎

う、うん。そうだよ。「街」とか好きかな。

小さな声で答える。


鈴木

へぇ~SOPHIAねえ。ニヤニヤ。


あの頃から何かがズレ始めていた。

他人の目

そんなのカンケイねえと言えなかった。

小島よしおがいてくれればよかったのに。


好きなものは好きといえる気持ち

大事にできなかった。


本当は「俺」は「ここにいる!」と大声で叫びたいのだが、顔が濡れて力が出ない。


何に悩んでいるのかわからない。

わかんないことがわかんない。

何に悩んでいることにしようか。


カタストロフィである。


終わりの見えないトンネル

長い長い孤独な戦いが始まっていく。