小倉百人一首の本歌取り | 手作り酵素で妻の癌を治す

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一から順に見直し、最後に本歌取り(本歌の一部を取って新たな歌を詠み、本歌を連想させて歌にふくらみをもたせる技法)をして、今の時代の短歌を作ってみます。

 
本歌取り その91

その91 きりぎりす 鳴くや霜夜(しもよ)の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む 
 
後京極摂政前太政大臣(ごきょうごくせっしょうさきのだいじょうだいじん:1169~1206) 藤原良経(よしつね) 兼定の子 後鳥羽院の信任が厚く、和歌所の寄人(よりうど:職員)となり、「新古今集」 の仮名序(かなじょ:新古今集の序文)を執筆しました。 勅撰集入集歌313首。
  
「出典」 百首の歌奉りし時 新古今集・秋下
 
「歌意」 こおろぎが鳴いている、この霜のおりた夜の寒々とした敷物に、着物の片袖を敷いて、ひとり寝るのであろうかな。 
 
「主旨」 寒々とした霜夜に、ひとり寝をしなければならないわびしい心情。
 
「鑑賞」 本歌取りの一首で、「さむしろに衣かたしき今宵もや恋しき人にあはでのみ寝む」 (伊勢物語・六三段) と、「あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む」 (柿本人麻呂) との二首の本歌をふまえたものです。 
本歌の二首は、ともに恋歌ですが、良経のこれは秋の歌として、「きりぎりす」 「霜夜」 などの表現によって、さびしげな人間の姿が浮かびあがります。
 
きりぎりす: 現代の「こおろぎ」を指す。 秋の代表的な景物(けいぶつ:四季折々の自然の風物)。
さむしろ: 藁(わら)や菅(すげ)で編んだ 「むしろ」 に接頭語の 「さ」 をつけて、「寒し」 に掛けている。
衣かたしき: 自分の衣の片袖を敷くことで、独り寝を表す。 共寝のときは互いの衣の袖を敷く。
ひとりかも寝む: 「か」 は疑問、「も」 は詠嘆を表す語。
 
本歌取り
 
50年前の失恋
 
「きりぎりす 夕焼けに泣く 多摩川の 今も忘れぬ 懐かしき人」 
        



多摩川堤の夕暮れが、なつかしや。