SSTを学び始めた当時、職場の先輩にSSTに精通していた方がおり、

その方のお勧めもあってSSTの研修に参加しました。

 

研修では見よう見まねでリーダーとしての動きを体験し、

流れを身体で覚えつつ、また他の参加者の方の様子も観察しながら

少しずつ、少しずつ「SSTってこんな感じかー」と

理解を深めて研修を終えました。

 

ほんの僅かではありましたが自信もついて、

「よし、これで話し合いではないSSTが実施できるぞ!」と

意気込んで職場に戻ったのもつかの間、全く研修通りに進められないのです。

 

「え?研修では、この後、こんな感じになるって習ったけど全然違う…」

 

そりゃそうですよね、研修では一つのシナリオに沿って学んだわけですが、

生身の人間がやることですから、その通りになんてなるはずがないのです。

ですが、その時は、研修で習ったことが全てでしたので、

それだけでパニック…

そしてまた、話し合いの時間に戻ってしまうという、これまでと同じ状況が

起こりました。

 

「これって、研修で習ってきたSSTじゃない…」

「研修に行っても同じか…」

「SSTに向いていないかも…」

と流石に落胆しました。それ以上に、参加者の役に立ちたいという気持ちとは

裏腹に、何の役にも立てていない自分に腹立たしさを感じていました。

 

そんな様子を見ていた先輩は

「あのさ、片柳。1回、研修行ったくらいでできるわけないじゃん。

来月もあるから、行っておいで!」

と言い、断ることもできないまま、そこから何度も何度も研修に

参加することになりました。

 

すると、同じ内容の研修であっても、見え方が変わっていったのです。

1回目よりも2回目、2回目よりも3回目と、全体が見えてくるというか、

それまで見えなかったことが見えるようになっていく体験が起こりました。

 

と同時に、実際のSSTも、徐々に”話し合い”から”スキルトレーニング”へと

形を変えていくことができるようになりました。

 

そんななか、参加者のおひとりから「最近のSSTは話し合いじゃなくなったね」と

言われたことがありました。その何気ない一言に私はとても喜んだことを

覚えています。

 

時間は大分かかりましたが、そんな風にして私はSSTの基礎を覚えていきました。

SSTがさっぱり分からず、苦手で嫌いなところから、良くここまでこれたなと

今更ながら思ったりします。

とは言え、そこからもまだまだ上達への道は険しく、黒歴史というにふさわしい

いろいろな失敗がありました。

 

それについては、また次の機会にお伝えします。