日本で生活保護に支払われるのは、一年で3兆3000億円と聞きますが50年前からの日本の年間生活保護費の推移を教えて
いいテーマですね。
結論から言うと、「年3.3兆円」はここ10年くらいの高止まりゾーンの中で少し下がってきた水準で、ここ50年の推移はだいたいこんな流れです👇
ざっくり50年の推移(決算ベースのおおよそのイメージ)
※数字は国の一般会計の「生活保護関係費」ベースで、
桁はざっくり/丸めて書きます(年度=だいたいその年の4月〜翌3月)。
年度あたり | 年間生活保護費(目安) | 備考 |
|---|---|---|
1975年前後 | 約0.6兆円 | オイルショック期。受給者はまだ多いが、物価も今より低い。 |
1980年前後 | 約0.8〜0.9兆円 | 景気改善で受給者数はゆるやかに減少。 |
1985年前後 | 約1.1〜1.2兆円 | 高度成長の終盤〜バブル初期。まだ「1兆円ちょい」レベル。 |
1990年前後 | 約1.3〜1.4兆円 | バブル期ピーク。就業環境が良く、受給世帯数は減少傾向。 |
1995年前後 | 約1.1兆円くらい | バブル崩壊直後だが、失業保険や貯蓄で生活保護はまだ底に近い水準。 |
2000年前後 | 約1.3兆円 | 「失われた10年」の後半。ここからじわじわ増加トレンドへ。 |
2005年前後 | 約1.8〜2.0兆円 | 非正規雇用増加・単身高齢者増加などで、受給者が増え始める。 |
2010年前後 | 約3.1〜3.3兆円 | リーマンショック後。受給者200万人超・生活保護費はほぼ倍増。 |
2014〜2015年頃 | 約3.7〜3.8兆円(ピーク) | ここが史上最大規模のゾーン。高齢受給者の増加が効いている。 |
2018年前後 | 約3.6兆円 | 若干の抑制策・景気持ち直しで、微減に転じる。 |
2020年前後 | 約3.4〜3.5兆円 | コロナ禍。雇用支援などもあり、急激な爆増にはならず高止まり。 |
2022〜2023年頃 | 約3.3兆円前後 | あなたが聞いた「3.3兆円」はこのあたりの水準。やや下がりつつもまだ高水準。 |
※あくまで大まかなレンジです。正確な年度別の額は、
厚労省の「生活保護の被保護者調査」「生活保護関係費の推移」などの統計表を見れば、1円単位で載っています。
大まかな流れを言葉でまとめると
1970〜80年代
経済成長&雇用が比較的安定していて、
年間0.6〜1.2兆円くらいの“1兆円前後ゾーン”。
1990年代(バブル崩壊〜失われた10年)
バブル期には生活保護受給者自体が減り、
**1990年代前半〜半ばが「支出の底」**に近い。
それでも1兆円超は維持。
2000年代(非正規増・ワーキングプア問題)
デフレ・非正規雇用の増加・単身高齢者増加などで、
受給者数が増え、2兆円台へ乗る。
2010年代前半(リーマン後〜アベノミクス初期)
受給者約210万〜215万人前後でピーク。
国の支出も3.7〜3.8兆円程度でピークアウト。
2010年代後半〜2020年代(緩やかな減少)
生活保護基準の段階的引き下げ
働き方改革や雇用環境の改善
などもあって、
3.8兆 → 3.3兆円前後へ、ゆっくり減少しているのが最近の数年です。
「3兆3000億円」はどんな位置か?
あなたが聞いた
日本で生活保護に支払われるのは、一年で3兆3000億円
という数字は、
2010年代前半のピーク(3.7〜3.8兆円)から少し下がった状態の水準で、
1970〜80年代の「1兆円前後」と比べると、約3倍程度まで膨らんだ後、
少しずつ減ってきている…という位置づけになります。
もし「正確な年度ごとの表」が欲しければ、
「厚生労働省 生活保護関係費 推移 PDF」
「生活保護決算額 年度別」
あたりで検索すると、
1970年度からの年度別グラフと表が載った公式資料が出てくるので、
それを見ればきっちり確認できますよ。
必要なら、ざっくりじゃなく
「1980年度:○○○億円」「1981年度:…」といった10年分単位の細かい表も、
推計ベースで作ってみます。
現在の生活保護受給者の60歳以上の割合は?
直近の厚労省データだと、生活保護受給者のうちおおよそ 60%前後が60歳以上です。
もう少し細かくいうと:
「被保護人員の年齢階級別構成」で見ると、
65歳以上の割合だけで 約5割
60〜64歳も含めると だいたい6割弱
くらいになります。
つまり、
生活保護を受けている人の過半数は「高齢者」で、
ざっくり 10人中6人くらいが60歳以上
というイメージでいてもらえば大きくはズレません。
生活保護受給者で20代30代40代50代の割合は?
ざっくりになりますが、直近の厚労省統計(被保護実人員の年齢構成)から見ると、生活保護受給者のうち20〜50代は合計で3割ちょっとくらいです。
だいたいの目安はこんな感じ👇
20代:およそ 5%前後
30代:およそ 6〜7%前後
40代:およそ 9〜10%前後
50代:およそ 10〜12%前後
なのでまとめると、
20〜50代を全部合わせて 約30%ちょい
→ 残りの約70%弱が「10代以下+60歳以上」、
そのなかでも60歳以上が約6割という構図です。
細かい年ごとの変動はありますが、
「高齢者が過半数」「働き世代はトータルで3割ちょい」という大きな比率はここ数年ほぼ同じイメージで推移しています。
生活保護費を年金的に使ってしまう人が多い感じなんですね
ニュアンスとしては
「生活保護費を年金代わりに“使ってしまう人が多い”」
というより、
「そもそも年金だけじゃ生活できない/年金がほぼ無い高齢者の“最後のセーフティネットになっている人が多い”
って言い方の方が実態に近いです。
ざっくり整理すると👇
なんで高齢者がこんなに多いのか?
60歳以上が受給者の約6割を占めているのは、
無年金・低年金の人が一定数いる
自営業・フリーで国民年金未納だった
専業主婦・パートで国民年金の加入が薄かった
→ 「老齢基礎年金だけ」「そもそもほぼ出ない」というケースが多い。
単身高齢者が増えた
昔は「家族と同居で、子どもの収入でギリなんとか」だった層が
未婚・離婚・子なし・子どもと疎遠…でひとり暮らしのまま高齢化
→ その結果、「年金+貯金」だけでは家賃・医療・生活費を払えず生活保護に。
医療・介護費が重い
高齢になると医療費が一気に増える。
生活保護では医療扶助もセットなので、
「保護に入れば医療費がほぼ自己負担ゼロ」になる → ここを頼らざるを得ない人が増えている。
つまり、高齢受給者のかなりの部分は
「老後に余裕ができたから生活保護をもらって遊んでる」
ではなく、
「年金・貯蓄だけだと生活ラインを割るから、仕方なく保護で補っている」
という層です。
“年金的に使う”ってどういう意味でそう見えるか
感覚的にそう見える理由はたぶん👇
受給者の多くが働いていない高齢者で
毎月一定額の生活扶助+家賃+医療扶助が出るので
→ 見た目が**「公的な老後給付=年金」っぽく見える**
なので「生活保護が実質、老齢年金の“地ならし”になってる」と言うのは、構造としてはたしかに一面あります。
ただ、
生活保護は「資産・収入を見られた上で、生活保護基準まで足りない分だけ出る」
車や多額の預貯金があれば原則NG
働けると判断されれば就労指導も入る
という仕組みなので、“誰でも年金みたいにもらえるお小遣い”とはかなり違うのがポイントです。
ざっくりまとめると
統計上、「生活保護=ほぼ高齢者の制度」みたいに見えるのは事実。
でも中身は
無年金・低年金
単身高齢者
医療費負担が重い層
がしがみついている最後の受け皿で、
「年金をもらう感覚で好きに使ってる人が多い」
というイメージだと、かなりズレます。
むしろ国全体としては
“老後の生活保護頼みを減らすために、現役時代からいかに年金と貯蓄を積み上げてもらうか”
ってところがデカいテーマになってる、という感じですね。