2004年。


ファーストシーズンの1クール目を「41敗」の2位で終えたアルファーズ。


しかし2クール目に入って、状況は一変する。



まず、和歌山での豊田通商戦に敗れ、前半戦の最後を「石川ブルースパークス」と

アウェイで戦う。


最後まで競った試合で、4Q1点を争う展開。


そして残り24秒、2点ビハインドで、最後の攻撃。


ゴール下には、#8大井。


石川も懸命のディフェンス。



そしてゴール下で大井がシュートを打とうとしたときに、接触プレーがあり、

大井は倒された。


誰もが「ファールでフリースロー」と思った瞬間、審判は「ノーファール」の判定。


そして試合終了の笛がなった。


審判への抗議が許されないことはわかっていても、審判団に詰め寄るコーチ陣。


そして、ゲームコミッショナーを交えての、押し問答が1時間近く続いた。



納得できない



もちろん、このような行為は許されるべきではないが、ゲームに勝てない苛立ちを

審判にぶつけるしかなかった。


そして「ALL JAPAN」を挟んだ後半戦。


前半戦の悪い流れを断ち切れない。


さいたまブロンコス、日立電線、東京海上と立て続けに負け、ついに5連敗。


チームの雰囲気も最悪。


練習中に選手とコーチがぶつかり、また選手同士もぶつかり、チーム内では犯人探しが

始まっていた。



「コーチが悪い。あの選手が駄目だ。俺を出して欲しい・・・」



チームは完全に空中分解していた。




そして3クール目。


相手は豊田通商。


ここまで1勝1敗。


アルファーズは劣勢の中、常に追いかける展開。


この日は、アルファーズのゲームのあとに「新潟アルビレックス」の試合があり、アルファーズの

試合を静かに見ていた。


この日のアルファーズは、それまでと違った。


選手も懸命にプレイし、気持ちでは絶対に負けていなかった。


そして4Qに怒涛の追い上げを見せる。


そんなプレイにアルビレックスのサポーターが反応した。


アルファーズの応援を始めたのだ。


アルファーズの応援団の声に続く。




「オオツカアルファーズ!」




アルファーズのファンはもちろん、次のスーパーリーグを見にきた観客までもが、アルファーズの

プレイに「何か」を感じ、自然と応援を始めてくれた。


ベンチも一体となり、豊田通商を追い上げた。


しかし、2点届かなかった。




試合後のロッカールーム。


私は泣いていた。


初勝利のときは「うれし涙」だったが、今度は「悔し涙」だった。


観客を巻き込むくらいの熱いプレーをして頑張っているのに、選手に白星を与えることが出来ない。


GMとしての無能さを痛感し、そんな自分への悔し涙だった。


でもこの一戦を期に、チームは確実に変わっていった。