いよいよ2004年、11月。


JBLのファーストシーズンが開幕した。


初戦の相手は、豊田通商。


この年の優勝候補の筆頭。


場所は、名古屋。




スタートは、安齋竜三、佐藤博紀、清水太志郎、高岡大輔、野尻晴一。


今だから話せるけど、アップを見た感想は、「勝てる相手ではないな・・・」。


2mを超える外国人が2名。さらにスーパーリーグから移籍した選手もいるし、廃部になった

「ニデック」からも選手を補強している。



そしていよいよ試合開始。


前半を終わって、4点差で勝っていた。


そして後半。


気がつけば、 88 - 74 で勝利!




正直、「信じられなかった」。


コートからロッカールームへ移動しているときも、何かふわふわしていた。


しかし、お世話になっていた、ミズノの池上さんと会って握手したとき、「勝ったんだな」と

初めて実感した。


そして、ロッカールームに入り、ミーティング。


GMである私が初めに話をすることになっている。


いつも通りに話し始めたが、途中で、言葉が出てこなくなった。




涙があふれて出て、止まらなかった。



初めて、人前で泣いた。




でも、選手は笑っていた。


「閤師さん、何を泣いているんですか? 泣くのは優勝してからにしてくださいよ。

 僕達は、絶対に優勝しますから」


私も、涙を流しながら笑った。


正直、1年終わったらGMを辞めようと思っていた。


バスケもわからないし、元監督から突然チームを押し付けられ任せられ、そして

チーム内の確執や、怪我人・病人の対応など、個人的には、限界だった。


だから、この試合も「どうせ負けるだろう」と、どこか冷めていた。


でも、この1戦で、自分の中で何かが変わった。




「こいつらのために、精一杯頑張ろう」




この日から、私の生活は、バスケ中心になっていく。