「そうなると『最終回 軽音! 』までのプロットはこれで行くってことでいいのね。」
「お願いします。」
会議室では、窓側に吉田が一人座り、吉田のむかいに山田と堀口が座る形で打ち合わせをしている、
「後は、前回からの検討事項、番外編の2本をどうするかだけど、オリジナル中心で行くんでしょ、構想はまとまったの?」
「はい、やはり、唯ちゃんたち2年生の冬と、年末年始で行こうと思ってるんですけど、玲子さん、ちょっとこれ見ていただけますか。」
山田は持参したパソコンを開き、メールのひとつを開くと、パソコンの画面を吉田に向ける、
「ちょっと、読んでいただけますか。」
「どれ、どれ・・・・何、この詞?」
「どんなに寒くても ぼくは幸せ、白い吐息弾ませて 駆けてくきみを見てると、切り揃えた髪が とても似合ってる、でも前髪を下した きみの姿も見てみたい、何から話せばいいのかな、「好き」から始めていいかな、舞う雪 踊った気持ちみたい、なんか うれしいね、こんなにあざやかな 白く光る街、きみとぼくで歩きたい 手をつないでならいいのにな。
もう、好きな詞で暗記しちゃいましたよ。この詞、音楽チームのHotaruさんって方が、キャラソン用に作詞した曲で、今回のキャラソンでは使われなったみたいなんですけど、個人的にすごく気に入ってるんですよね。」
「これは律ちゃんへのラブレター?」
「そうですよね、これ律ちゃん受け取ったら、どうなるんでしょう。」
「男の子出すの?」
「いいえ、澪が書いた詞を律ちゃんがラブレターと勘違いしたって設定はどうでしょう。」
「・・・いいかも、でもそれで1本作るの。」
「いえ、13話はこれまでと変えて、5人の一人ひとりの物語、5人の成長物語を少し見せて、最後は5人で集まって再確認みたいな感じに出来ないでしょうか。その中のひとつ律ちゃんのパートがこのラブレター・・・」
「いいかも。・・・そうなると、澪は律が詞をラブレターと勘違いするような、いつもと違う作詞の仕方をするとか。」
「いいですね。」
「それなら、ムギにはハンバーガーショップでバイトさせてもらいたいな。」
「堀口さん、好きですね。」
「梓ちゃんは、先のことも考えると純ちゃんを絡ませて、何か梓らしくないことを経験させたいですね。」
「唯は?」
「唯ちゃんが悩みどころなんですけど、彼女はそのままでいいかな、でも、ばらばらに行動する他のメンバーを集める役をやってもらって、「みんな大人にならないで」みたいなセリフを言わせたいと思ってるんですけど。」
「なるほど、面白いね。」
「設定は冬でしょ、いままでにない少し寒色にして、唯ちゃんの周りだけ暖色にするといいんじゃない。」
「色ね、・・・じゃ、澪ちゃんあたり、日本海の海辺りに旅に出しますか。」
「いい、いい。」
「じゃ、その線でプロット考えてみる。で、14話は?」
「それは、今度はこれを読んでみてください。」
山田はパソコンを操作して、別のメールを開き、吉田は長文のメールを読み始め、山田と堀口は吉田がメールを読み終わるのを待つ。
「やりたいことは分かりました。14話はライブハウスデビューと年末年始ね。で、このレポートは何なの?」
「キャストの5人がバンドの練習しているのは知ってますよね? 昨日、彼女たち自分達で練習したとき、貸しスタジオのオーナさんが、参考になるからって、プロのスタジオミュージシャンの演奏や、ライブハウスでのリハや本番を見学させてくれたようなんですね。キャストの子たちは何かあると、こういうレポートや感想を送ってくれるんですけど、中でも律ちゃん役の佐藤聡美さんは、いつもすごく真面目に細かく書いてくれるんですけど、特に昨日のレポートは彼女自身が全て始めてづくしの体験だったみたいで、使えるんじゃないかなと・・・」
「いい、これ私脚本でいいかな?」
「ええ。」
「山田監督はバンド経験あるよね? ライブは?」
「ありますけど。」
「じゃ、書きながら聞いてもいいよね?」
「構いませんけど、それより一度、私たちも取材してみます?」
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