コミックゼロサム11月号でおがきちかさんの「Landreaall(ランドリオール)」161話「木を植える人」を読みました。

おがきちかさんの「ランドリオール」、今月はびっくりのお知らせが。表紙に「アニメ化決定!」とありました。来年2月に発売の単行本29巻限定版で、オリジナルアニメDVDが特典としてついて来るのだそうです。今までもドラマCDとかはありましたが、色がついて動くランドリのキャラは見たことがないですよね。楽しみです。

以前からアニメになってもおかしくない作品だとは思っていたのですが、でも内容が少し難しいかな、という感じはしていました。どんな内容の作品になるのか、楽しみにしたいと思います。

さて、161話。以下、内容に触れながら感想を書きますので、どうぞ本誌の方を先にお読みください。

120話で、六甲とマーニーの会話が初出してから全シーンがアトルニアの場面になったのは初めてです。3年以上クレッサールに行ってたんですね。今回は王城とアカデミー、すべてがアトルニアの首都フォーメリーでのお話です。

扉はメイアンディア。ディアは初出の時から好きだったので、最近出ずっぱりだったのは嬉しかったのですが、今後はさてどうなるか。ロビンの件もあるし、レイの件もまだわからないことがある。それにファラオン卿の王妃として新王の戴冠式にも出るでしょうから、出る機会には事欠かないと思いますが、DXの日常とは少し離れてしまうかな、とは思います。

冒頭は久々のアカデミー。寮監・R=ケリーの娘、アリス・ケリーの授業。DXは相変わらずびしばしやられています。レーカーベアが付属して奴隷市場で切られたまんまの短髪。同じ制服ですがちょっと雰囲気が変わりました。従来のままのリドや五十四さんがそこにいるので、なおさら変化を感じさせますね。

DXの回想。王城でのディアとの分かれの場面。DX、イオン、六甲、そしてリゲインとファレル。オズモもいます。そしてディアの向こうにはレイの姿が。「一生に一度の大冒険だった」というディアに、「君は案外冒険に向いていると思う。僕は君の騎士だ。君が望むならいつでも塔のてっぺんに連れて行くよ」というDX。前回までなら、ディアも素直な気持ちが出てしまったところだったでしょうが、王城での、しかも皆が見ている前では、ディアは儀礼的な貴婦人と騎士の関係を演じる形になっていて、本当に日常に復帰した、という感じがします。このあたり、前話との対比がはっきりしていて、わかりやすいです。

リドに「彼女は塔に、俺はアカデミーで補習漬けの騎士候補生。魔法が解けたみたいな気分だ」というDXですが、さて魔法は解けたのでしょうか、それともまだ続いているのでしょうか。ふふ。

場面変わって、アニューラスの見舞いに行くイオン。ここは王城の中の病室なんでしょうね。イオンが部屋の中をのぞくと、ベッドにいるアニューラスの傍らにお茶のカップを手に立っているレイ・サーク。「勇敢なお姫さま」と呼びかけます。その話、ディアから聞いたのか、アニューラスから聞いたのか。ちょっと警戒感のある顔で挨拶するイオン。

わちゃわちゃと3人の会話が始まりますが、「アンちゃんがこんなことになってるなんて、やっぱりクエンティンの顔を5発くらい殴っておけば良かった!」というイオンに「しんじゃいますねえ」とアンちゃんがツッコミを入れるコマが可笑しいです。

イオンも世間というものがわかって来たようで、「褒める人はお父さん(リゲイン・ルッカーフォーと将軍)に言いに行くけどお小言はアンちゃんに言うんじゃないかって。もしかしてそう言うのがうるさいから(まだ入院しているの?)」というのは何かあんまりイオンぽくないですね。でもイオンはイオンなりによく考えてる。その会話に突っ込んで来るレイに、アニューラスは「レイは大丈夫ですよ。おおむね私も同意見です。王城はDXに多いに期待していますよ。でも御せないのが怖いんです」とフォローします。

「ディアは戦争はしないって言った。おにいはディアの騎士だもん」というイオンの言葉にうなずくレイ。アニューラスは「私はDXさまを閉じ込めるつもりはありません。旋風鳥(バクラワ・DXのことですね」のために森を作ることにしたんです。とびきりすてきな森。王を決して孤独にしない。怪我も小言も私は怖くありません」と言います。いい場面です。目をキラキラして「かっこいい」というイオンに、「うっへへへ」とデレ顔をするアニューラス。このへん全体に表情を崩し過ぎです。(笑)

今月のサブタイ、「木を植える人」というのはアニューラスのことなんですね。

見舞いを終え、連れ立って病室を出て王城の中を歩くレイとイオン。不思議なツーショットですが、アニューラスやディアとのレイの関係を考えると、今後も出て来るかもしれません。

ぺらぺらいろいろ喋るレイですが、イオンは無表情な目でレイを見ています。イオンのこういう目は今までほとんど見たことがありませんが、「この人信用出来ないなー」というのが今までなら表情に出ていたのが、ちょっと大人になったということなのかな、という気がします。作画のスタンスがちょっと変わったのかなという気もしなくはないのですが。

レイという名前は、イオンに取っては「ディアと付き合ってる人」という情報の対象者なんですよね。もとは市場を二人で歩いているところを17巻90話でライナスとフィルに目撃された、ということが元になってたと思います。その情報を思い出してレイを凝視するイオン。このあたり、イオンの描写が今までにないパターンだなと思います。

ディアとレイの関係を聞き出そうとするイオンですが、レイは「秘密は僕の盾だ。貴族じゃない僕には後ろ盾がない」と言います。このあたり、読者にも秘密はあまり明らかにされていませんから、ちょっと楽しみです。

ここのイオンとレイの会話が洒落てる。「君はディアと親しいんだから、彼女が君に話すならいいんだよ」というレイに、「ディアが盾をおろさせることは仕方ないってことですか?」というイオン。「ディアが君を信頼してるってことを僕は知ってるるよ」というレイに、「あなたと私の間には信頼とかないのディアは知ってる、困らせたくないなあ」とイオンは応え、レイはイオンの純粋さに「僕の負け」と思い、「ちょっとまぶしくて」とか言いだします。ここはレイっぽくない。(笑)

そしてレイはイオンに王城への召喚状をプレゼントします。これがあったらいつでもディアにあえる、ということを知ったイオンは「ふおおおお!!」と喜びます。熊か何かか。(笑)もう既にイオンらしいのかどうなのかよくわかりません。

でも召喚される人の名前は「ルッカフォート」とのみ。

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レイ先輩、また何か仕掛けてますね!

ルッカフォートだけだから、イオンでも、両親でも、いやまあつまりDXでも、ディアに会いに行くことが出来るわけです。

「お兄のライバルなのかもだけど」

と思うディアですが、レイの真意を測りかねるのでした。

ラストの場面では、ディアの「旅の話」の続きを聞くファラオン卿。ロビンのこともどうなったのか、どうするのかなあと、気になるところではあります。

今月は、新たなるスタートの序章、という雰囲気を湛えた回でした。

次号は巻頭カラーだそうです!楽しみにしたいと思います。(いつ以来かな…連載10周年のときは覚えているのですが…)