少年ジャンプ9号を読みました。

今週は、どの作品も面白かったです。

表紙&巻頭カラーは堀越耕平さん「僕のヒーローアカデミア」。私、この作品は凄くジャンプらしい作品だと思うのですが、今回の展開も凄くよかった。とにかく出久が自分の限界を超えた進化を遂げて行く。それによってヒーローである両親を戦いに失った少年の心の氷を溶かして行く。王道だなあと思います。

続いて「食戟のソーマ」。私は今週、この作品をアンケートの1位で出しました。先週、極星寮の主のような二年生の一色慧が新総帥・薙切薊から「遠月十傑」解任を言い渡されたわけですが、一色はそれに備えて解散を強要されているゼミや研究会と中央美食機関(セントラル)との解散を賭けた食戟のルールを自らの主導で制定することに成功します。

そしてその食戟の行われる会場に、極星寮の面々が手分けして偵察に行く、と言うのが主なストーリーの流れなのですが、その中で一人父・薙切薊と憧れの料理人・才波城一郎、それにその息子だとわかった幸平創真の関係の判明に混乱している薙切えりなの姿がいいんですね。

えりなは創真に「もう私分からない事だらけで・・・いままでずっと拠り所にしていたものが・・・崩れてしまうような気がして・・・」と言います。血筋であるとか教育であるとか憧れであるとか、そういうものに自分の「拠り所」をおくことの脆さ、みたいなものがはっきりと描かれているわけですね。それに対して創真は「そんな昔話を聞いたからって俺の行動が変わるわけじゃねーからなあ。いま俺が納得いかねーって思ってんだ。そんだけだもん。それに従って動いてる」というわけです。創真にとっては、薊と城一郎の関係なんてどうでもいい。過去の因縁がどうだからといって、自分がいま納得出来ないと言うことの方がずっと重要だ、というわけです。ここは創真の強さと言うか、「いま」にしか生きない姿勢、自分の中にのみ拠り所を求める姿勢というものがその強さを現しているわけですね。なるほどと思います。

そして創真たちの見守る会場で食戟に登場する茜ヶ久保もも。来週はまた十傑四席の料理がみられる、ということで楽しみです。

次が「One Piece」。こちらは第814話「ネコマムシの旦那に会いに行こう」。ドレスローザ編が終わってゾウ編に入り、謎が謎を呼ぶ展開になって来ています。

いままで「麦わらの一味」はアラバスタで七武海のクロコダイルを、スリラーバークで同じく七武海のゲッコー・モリアを破り、同じくスリラーバークで戦った七武海のバーソロミュー・くまにシャボンディ諸島で飛ばされて、女御が島では七武海のボア・ハンコックが強力にルフィに思いを寄せる。頂上戦争のあと、ゾロは七武海のミホークの元で修行し、再集合してようやく到達した魚人島では元七武海のジンベエに仲間に入る約束をさせた。そしてドレスローザでは七武海のドンキホーテ・ドフラミンゴを苦戦の末打ち破って来たわけです。

つまり、いままで関わって来た相手は「王下七武海」だった分けですが、ついにここにきて「四皇」との関わりが強力になってきました。その一人シャンクスとは第一話から関係がある(何しろルフィの麦わら帽子はシャンクスからもらった(さらにさかのぼればゴール・D・ロジャーの帽子なわけですが)ものですから)わけですが、そのほかにもいまや四皇の「黒ひげ」とはルフィの義兄弟・エースを事実上殺されたという因縁がある。そして「ビッグ・マム」とは魚人島でのお菓子の一件から喧嘩を売ることになり、また「百獣のカイドウ」とはドフラミンゴを倒して人造悪魔の実=スマイルの供給を止めたことから怒りの矛先が向けられることは間違いない、という状況になっています。

ルフィは「四皇は全部倒す」とナミやトラファルガー・ローの前で宣言していますが、シャンクスは別格ですし、黒ひげは敵の中でも仇敵という存在。ですから四皇編の第一回戦としてはビッグマムかカイドウになることは間違いないですね。

しかしその中で、サンジがビッグマムの元に赴いた。それはサンジの父親「ヴィンスモーク」がビッグマムの娘とサンジとの結婚を決めたかららしい、ということは分かっているのですが、その詳細は全然分かりません。謎が小出しにされ、キャラクターも少しずつ紹介されていて、毎週わくわくする展開です。

OnePieceも、一度戦闘が始まってしまうと物語の展開よりも戦闘シーンが興味の中心になりますし、その中でルフィの名セリフも飛び出すわけですが、物語展開上の興味という要素は薄くなります。ですからこういう段階が、私は一番面白く感じているのです。

今週は他の作品に面白いものが多かったのでアンケートの投票はしませんでしたが、凄くよかったです。

ちなみに、今回のサブタイトル「ネコマムシの旦那に会いに行こう」ですが、作中でブルックが歌ってる歌でもあります。そして目次コメントに「YouTubeでねこまむしの旦那に会いに行こうと検索してね」とあったので実際に検索してみると、歌ってました。(笑)こちらです。アニメでブルック役をやってるチョーさんが。(笑)

それからセンターカラーの「背すじをピンと!」。これもよかった。ドキドキの発表を一度はクリアし、でも二度はクリア出来ない。目標達成の嬉しさと、そんなに甘くないよという現実と。ひとつひとつ、一歩一歩進んで行く様が、これもまたひとつのジャンプらしさだな、と思います。

そして「暗殺教室」。衝撃の展開。これもアリなのか、どうなっちゃうんだ、という展開なのですが、どうぞ本誌をご覧下さい。渚の顔が歪みます。うう、どうなっちゃうんだろう。

そのあとは印象に残ったものを。と言うかどれもよかったんですが、アンケートに投票したものを上げると、読み切りで登場した臼井彰一さんの「痛天街SCRAP」。これは凄くよかった。最近、アンケートに答えるためにずっと読み切り作品も読んでいるのですが、その中でも群を抜いた構成力だったと思います。設定も面白いし、わかりやすい。主人公のキャラクターも親しみやすく、女の子キャラも魅力的。友達キャラ、敵キャラもそんなに怖くないけど物語の中での存在感は凄くある。最近変に怖すぎるキャラが多い傾向があるので、その中ではちゃんと分かりやすい悪党で、こういうのは凄くいいなあと思いました。この人の作品はぜひ連載で読みたいと思い、3位ではありますが、アンケートに投票しました。

そして2位に投票したのが「ものの歩」。信歩と対戦するために転校までして都大会に臨んだ相楽十歩。しかし準々決勝の相手は強豪で、ついに敗れてしまう。しかしその十歩に、信歩がかけられる言葉はひとつしかない。

「待ってます」

・・・

本当にそうだなあと思います。

待つことしかできない。そんなときって本当にあるなあと思います。来週はセンターカラー。楽しみです。

そのほか、今週は全作品目を通しました。中でも「火の丸相撲」「ニセコイ」「ブラッククローバー」「斉木楠雄のΨ難」「こちら葛飾区亀有公園前派出所」「バディストライク」が面白かった。

毎週、どの作品をアンケートに投票しようか迷います。レベル高いな、と思ってます。