諫山創さんの『進撃の巨人』第18巻を読みました!

進撃の巨人(18)限定版 (講談社キャラクターズA)
諫山創
講談社


今日は4ヶ月に一度の『進撃の巨人』関係の出版日。今日は、単行本18巻限定版(サンタ服エレンのねんどろいどが特典)と別冊少年マガジン1月号を買いました。

18巻は、訓練兵団のシャーディス教官にエレンの父・グリシャの秘密を聞きに行くところからです。そしてついに、ウォールマリア・シガンシナ区奪還作戦に赴く調査兵団。首尾よく外門の穴を塞ぐことに成功したのち、ライナー=鎧の巨人が出現。そして内門の内側に獣の巨人をはじめ多くの巨人が現れたところまででした。いよいよ人類と巨人たちの最終決戦が始まる、という感じで終わっています。

第71話「傍観者」、第72話「奪還作戦の夜」、第73話「はじまりの街」、第74話「作戦成功条件」、それぞれの回の感想はこちらにありますので、よろしければどうぞご覧下さい。

このエントリでは、単行本と連載の異動に着目して、書いてみたいと思います。

・・・と思いましたが、今回は連載と全く同じでした。(笑)ひとつだけ、セリフの行の変え方が違うところがありましたが、それ以外では見つけられませんでした。最近では珍しい感じです。でも、単行本を読みながら、今回は少ないだろうなとは思いました。ゼロだとは思いませんでしたが。

嘘予告は、今回はイヤな面白さでした。(笑)普通の日本のうちで布団に寝ているアルミンのところに、超小型巨人(?)がやって来て、友達になろう!みたいなコトを言います。水木しげる先生じゃないんだから。(笑)このイヤさは、ぜひ単行本を読んでいただきたいと思います。

それから、限定版の特典は「サンタ服エレンのねんどろいど」。これは可愛いです。

ということで、あっという間に終わりましたので続いて1月号、第76話「雷槍」の感想を書きたいと思います。

いつものように単行本の続きが読める、というのがウリなので、先月12月号に掲載された75話も収録されています。75話の感想も上記リンクからお願いします。

別冊少年マガジン 2016年1月号 [2015年12月9日発売] [雑誌]
講談社


76話。戦線は二つ。獣の巨人たちは調査兵団の退路を断つため、兵団が乗って来た馬を狙っています。その馬を扱っているのは、マルロたち新兵たちが中心。おろおろと自分がやるべきことがわかっていない。そこに3~4メートル級の巨人たちが襲います。巨人そのものを見るのが初めてのマルロたちは呆気にとられるばかり。しかしそこに現れたリヴァイがあっという間に2体を倒します。リヴァイは仲間を死なせたくない。しかし、一人では限界がある。息を切らしながら、「クソ・・・うんざりだ。弱え奴はすぐ死ぬ。雑魚は嫌いだ」と一人ごちます。

一方の指揮官のエルヴィン。全体を見回しています。エルヴィンは回想します。人類の記憶に関する仮説を、訓練兵時代はよく話していたのに、調査兵団に入ってからは話さなくなった。それは、他の兵士たちが「人類の為に」戦っているのに、自分だけは「自分の夢のために」戦っているコトに気づいたから、と言うのですね。

ここは考えさせられます。

どうなんでしょうか。

何のために戦うか。何のために戦うのをやめたのか。それは今までも、何度も問いかけられていた問いです。近くは前調査兵団団長・キース・シャーディス。そして王政編のくだりではリヴァイの叔父、切り裂きケニーことケニー・アッカーマン。ライナー・ベルトルト・アニら巨人組にしても、あるいはユミルにしても、そしてエレン、ミカサ、アルミンそれぞれにも「戦う理由」はあり、それがたとえば「人類のため」であったとしても、その裏にはたとえばエレンなら「巨人を一匹残らず駆逐する」という「怒り」があり、ミカサには「エレンを守る」という「思い」があり、アルミンには「壁の外を探検する」という「夢」があるわけですね。それはみな、そういう意味では個人的なものです。

ですから、エルヴィンの考えはまじめ過ぎる、と言えなくはありません。ザックレーとの会話で「君は死にたくなかったんだ。人類の命運より個人を優先させるほど」と言われたエルヴィンは同意します。部下を従えたエルヴィンは、人類の為に心臓を捧げよと鼓舞しながら、「仲間を騙し、自分を騙し、築き上げた屍の上に私は立っている」と言うのです。

ここで、「悔いなき選択」でリヴァイを説得し、調査兵団に引き入れた場面がでてきます。スピンオフを原作者が引用するという貴重な場面です。「悔いなき選択」は公式的に進撃の本筋に組み入れられている、と考えていいようですね。

そして、「私は立っている」の場面で、エルヴィンの足元の無数の屍たち。これは何というか、諸星大二郎さんの「妖怪ハンター」、「生命の木」の「みんなぱらいそさいくだ!」の場面を思い出します。凄い迫力です。

エルヴィンは思います。「この作戦が失敗しても死ぬ前に、グリシャ・イェーガーが残した、世界の真相に迫れる「地下室」に行けるかもしれない」と。この作戦の失敗とは、人類の希望が最終的に絶たれることを意味する訳ですが、それよりも自分の「世界の真相を知る」という欲望を優先させる気持ちなのですね。

それは確かに歪んでいるかもなあ・・・

しかしそういうある種すっ飛んだエルヴィンだからこそ、ここまで調査兵団を率いて来られたのだとも思うのですよね。

このくだりは本当に深く考えさせられました。

さて、シガンシナ区の中で戦う巨人化したエレンとライナー。エレンが手に入れた「硬質化」は、一点に集中することでより強固になり、拳で鎧の巨人の全身の鎧は砕くことが出来る。しかしライナーはエレンの足を取り、ぶん投げる。それまで有利に見えたエレンが逆にライナーに追いつめられる。このへんの「巨人プロレス」は凄い。しかしハンジ・ミカサ・コニー・サシャ・ジャンたちは手を出さず、雷槍を持って機会をうかがいます。

この雷槍と言うのは鎧の巨人に対抗出来る強力な破壊力を持った兵器で、中央憲兵の隠し持っていた新技術を使ったものなのだそうです。

ライナーはエレンを追いつめるが、逃がしてしまう。「もはやこの手を使うしか」とライナーが考えた時、調査兵団は一斉にライナーを襲います。ハンジとミカサがまず雷槍を左右の目に発射。ハンジは目頭に外しますが、ミカサはみごとに瞳に突き刺します。そして爆発。鎧の巨人は左右の視力を失う。その好きに背後からじゃん、コニー、サシャたちが鎧のうなじに突き刺した雷槍が爆発。うなじの鎧が剥がれる。「もう一度だ!とどめを刺せ!」と言うハンジの指示に、躊躇する104期たち。しかしジャンは「こうなる覚悟は済ませたはずだろ!」と叫び、ジャン、コニー、サシャ、ミカサは雷槍を深々と鎧の巨人に突き刺して、「中」にいるライナーが「待ってー」と言う間もなく、ついにうなじを爆破ーーーー

したのでしょうか。

と言うところで今月は終わりでした。

ネットを見ると、ライナーの「死」に動揺する声が多数。リヴァイの疲労を気にする声もありました。ついにここまで来たなあという感じです。

まだ先はわかりませんが、でも。

諫山さんはどこかのインタビューで、「20巻くらいで終わる」と言ってました。と言うことは、今回が19巻の2話目になりますから、20巻ならばちょうどあと6話で、つまりあと半年で終わることになるのです。

そして、今までの展開から言って、主要な登場人物が誰も死なないまま最後まで行くことはないでしょう。だとしたら、今月あたりからバンバン主要登場人物たちが退場して行くことは十分考えられる、のではないかと思います。

今回はまだ「敵」側のライナーだから、まだ考えられますが、今月のエルヴィンの不吉なセリフからすると、調査兵団が全滅することだって考えられない訳ではない。一体どうなってしまうんでしょうね。

この物語は第1巻1話のミカサの「いってらっしゃい、エレン」と言うセリフからはじまりましたから、多分最後までミカサとエレンは残ると思う。でも他の誰が最後まで残るかはわかりません。

一体どんな物語が最後に描かれるのか。

来月も、そして最後まで楽しみが続きそうですね。