「食戟のソーマ」アニメ22話と、田所恵というキャラ。

「食戟のソーマ」第2巻<初回生産限定版> [Blu-ray]
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント


今一番面白いマンガ・アニメの一つが「食戟のソーマ」だ、という人は多いのではないでしょうか。私自身も今一番ハマっていて、単行本は全部Kindleで買ったのですが、ことあるごとに読み返していて、そのディテールにもだいぶ詳しくなってきました。

現在、少年ジャンプの連載だけでなくTVでも深夜アニメとして放映中で、金曜日の深夜にTBSで、土曜日の深夜にBS-TBSで「アニメイズム」枠で放送されてます。9月第1週は22話で、第4週の24話が最終回とのことですので、クライマックスも近くなってきました。

22話「日常を超えるもの」は原作の連載では単行本7巻55話の終わりからラスト57話まで、「秋の選抜」Bブロックの予選がひとりひとり丁寧に描かれていました。出場者は吉野悠姫、北条美代子、イサミ・アルディーニ、タクミ・アルディーニ、そして薙切アリス、トリが田所恵。予告ではアルディーニ兄弟が強調されていましたが、本命はアリスのあとの田所でした。この展開はよかったなあと思います。いつもはもっと話数が進むのですが、今回はひとりひとりの料理をじっくり紹介して、吉野や北条、イサミも原作になかった二つ名までつけての展開で、ひとりひとりのキャラクターを大事に描いているなと思いました。

あと2話で終わりということは、「秋の選抜」も最後までは描けないことになりますから、残るAブロックの予選の様子が描かれたあと、原作60話の極星寮の屋上での予選〆のお祝い・お疲れ会での創真と田所の会話くらいがラストになるのかなと思います。

今回の展開は、この物語でも一つのクライマックスの一つ、一人の大事なキャラクターである田所恵がついにその才能(=ホスピタリティのある料理)を発揮し、鮟鱇の吊し切りと言うすごい荒技を駆使して「カレー料理」というお題をクリアし、本選に進出する場面が描かれていました。幼い時からの技を身につける必死の努力、地元で花開いた才能、遠月学園に来てからの芽の出ない日々、退学の危機を乗り越えての晴れ舞台での実力発揮。田所恵というキャラクターの魅力が遺憾なく発揮されていて、感動的な展開でした。

一つの料理に、一つのドラマがある。物を食べると言う行為は、人が生きていく上でなくてはならない行為ですから、そこにドラマがあるのはある意味当然と言えば当然なのですが、なかなかそれは表には出て来ないですね。それに、「包丁人味平」や「美味しんぼ」の例にあるように、「料理対決」というテーマでの料理バトルマンガは今まで沢山ありましたが、そこはどうしても天才肌の料理人同士の争いになって行って、それはそれでもちろん面白いのですが、一筋縄では行かない、でもへこたれることを知らない無限のチャレンジ精神を持った創真というキャラと並んで、触れれば切れるような天才たちの集まった場で萎縮してしまって上手く力を発揮出来ないけれども、ポテンシャルには並々ならない物を持った田所恵というキャラがその実力を発揮して行くのは、一対一という場よりも多くのキャラが相対的にその点数を競い合う場の方がマッチしていたんだなと思いました。あまりそう言う演出の料理マンガは今まで読んだことがない気がします。

田所恵というキャラには東北人と言うイメージがあって、卓球が異様に上手いという設定から福原愛を連想するところもありますし、幼い頃に泣きながら卓球をしていたと言う愛ちゃんの伝説も田所のキャラの中に生きている気がします。最初は創真にいじられ、振り回される感じだったのが実は創真にもその才能を高く評価されていて、合宿では退学になりかけたところを創真が四宮に食戟を挑み、なんとか生き残ることが出来た。極星寮の一色の畑での野良着姿が異様に似合ってますし、海辺の町で小学生の女の子が鮟鱇の吊し切りの特訓を受ける風景もすごい。土の匂いと海の匂いとホッとするホスピタリティを持ったキャラというのはともすれば類型的になる気がしますが、そこを都会的なキャラクターデザインに救われている部分もあるように思います。(まあよく考えてみたら田所恵もマンガにしかあり得ない超人ではあるんですけどね。)

アニメでも、「秋の選抜」本選での黒木場リョウとの対決も見たかったのですが、今回はお預けということになりそうですね。

「食戟のソーマ」という作品については、まだまだ書きたいことが沢山あるのですが、今回はアニメでも主役を張った?機会に田所恵について書かせてもらいました。

連載はまだまだ続くと思いますので、またこれからの展開を楽しみに待ちながら、書いて行きたいと思います!