モーニング38号で一色まことさんの「ピアノの森」第235話「きっとうまくいく」を読みました!

ピアノの森(25)
一色まこと
講談社


前号から連載が再開し、最終回まで休まずに掲載と宣言されている「ピアノの森」、今回は連載再開第2回になります。扉絵は森の絵。アオリは「ショパンコンクールの覇者となったことで背負わされる宿命。ーーーそして果たされる念願」。

宿命、というのは、「ピアニストとして成功すること」でしょうね。そして「念願」とは・・・前回ラストに出てきた「ミュージシャン・ハンドドクター」仲尾と関係があることは、想像に難くはありません。

以下、内容に触れつつ感想を書きますので、ぜひモーニング本誌を読んでいただいてから読んでいただければと思います。

最初のページ、「Dr.仲尾に頼んだこと」をカイから聞いている雨宮修平が、自分の後ろの席に仲尾が座っていることに気がつき、ドキドキしています。

次のページからは、授賞式後のガラコンサートの模様。まずは6位のソフィ・オルメッソンがスケルツォ2番(op31)を弾きますが、修平はそれどころではありません。カイの告白に想いを馳せます。カイが仲尾に依頼した「手術」を、引き受ける条件がショパンコンクール優勝だったのですね。そしてカイはそれを果たした。そして仲尾が現れた。つまり、カイの望みは叶えられる。無理だと思った「カイの望み」が叶うことを思って、修平は涙をこぼす。・・・それが何だかは書いてはいませんが、誰がどう読んだって数十年前の交通事故で左手の自由を失った元天才ピアニストでカイの師の阿字野先生の手術に決まってるだろうと思いますよね。

しかし、泣いている修平をみて、雨宮洋一郎(日本の第一人者)は、2次予選敗退で悔しい想いをした修平がそのことを思い出しているんだろうと思い、自分も涙ぐんだりしています。でも修平は、父の想いをさらに超えたところにいた。なんかこのへん、上手いなあと思います。

華やかなガラコンサートを背景に、修平の独白が続きます。オーブリー・タイスはバラード1番(op23)。休憩の最中、カイを探しに席を立った修平ですがカイにはたどりつけず、阿字野先生にばったりと会ってしまいますが、仲尾のことは先生には言えない、と困ってしまいます。そこには阿字野だけでなくジャン・ジャック・セローもいたのですが、話が「ナストゥルイ」での飲み会になったりしています。

休憩後はまずレフ・シマノフスキの「24のプレリュード」(op28)の7番から12番。これは確か1次予選で弾いた曲ですね。続いてアレグラ・グラナドスがアンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ(op22)、パン・ウェイがポロネーズ5番(op44)エチュードハ短調op10-12と弾いて行きます。この辺も確か、一次予選、二次予選で弾いた曲でした。そしてアンコール曲がリストの「ラ・カンパネラ」。

この曲、「ピアノの森」の読者なら絶対忘れない曲なんですよね。9巻70話、修平がスランプのどん底に落ち込んで帰国してカイに会い、元ピークラのカイの住まいで弾いてもらった曲。「4分30秒の解」という題でした。カイの成長に驚き、新たに目標とするものを見いだして修平が再び旅立った、思い出の曲。それは作中ではわずか1年前のことだったんですね。単行本で16巻前、雑誌に掲載されたのは13年前の、まだモーニングに移る前の「ヤングマガジンアッパーズ」での掲載でした。

修平は、「自分はどれだけ子供だったんだ」と改めて思いますが、でもパンのカンパネラは修平を落ち着かせるものだったんですね。

「カイくん。きっとすべてがうまくいくよ!だって君はショパンコンクールで優勝したんだぜ!そんな凄いことが出来たんだから・・・今ならきっとすべてが叶うよ!!」

興奮して落ち着かなかった修平も、ようやく落ち着き、カイの演奏を待ちます。一方、不承不承カイの優勝を認めたショパン協会会長・ブゼクはカイのマズルカを聴きます。「マズルカを弾くのはマズルカ賞を取ったものの義務」なのだそうですが、このカイのピアノ「3つのマズルカ(op50)」はポーランド人の心に響き、ブゼクも思わず涙を流してしまいます。

その興奮の中、演奏が終わり、客が出て行く中で、明日のガラコンサートでパンとカイがコンチェルトを演奏するということが噂になっています。

一方仲尾と梨木はカイとコンタクトを獲ろうとしますが全然電話がつながりません。しかし梨木は客席に阿字野がいるのを発見し、仲尾は「だったら話が早いじゃないか」と・・・

修平でさえそのことは内緒にしていたのに、まさかの仲尾本人が阿字野に!(笑)

一体どうなってしまうんでしょうか。

でもとなりにセローがいるし、だいじょうぶかな。セローは事情を知ってるはずですよね。

もし阿字野が断りでもしたら、台無しに・・・・

うふふ。(笑)

さてどんな展開になるか。まあ一筋縄では行かないように、一色さん、考えてるなあと思います。

それにしても昨日、「ピアノの森」を1巻から12巻くらいまで一気に読み返したのですが、また何度目かで泣いてしまいました。(笑)

このストーリーも、この連載が終わったら完結、するかと思うと感慨深いですね・・・

来週も楽しみにしたいと思います!