コミックゼロサム9月号でおがきちかさんの「Landreaall」第147話「傭兵レベル1」を読みました!

コミックZERO-SUM 2015年 09 月号 [雑誌]
一迅社


単行本26巻が出たばかりの「Landreaall(ランドリオール)」、クレッサール編続いています。ちょうど26巻の続きが読めると言うことで、もう少しそこをアピールすればいいのに、と思いましたが単行本にも本誌にもそのアオリはありませんでした。

週刊連載だとそれは難しいわけですが、月刊誌だと色々な形で「続けて読める!」ことが多いですね。ランドリは今まで1ヶ月あきになってたのが今回からつながったので、初めての方も読みやすいのではないかと思います。

今回の扉絵はアイシャ(メイアンディアの侍女と言うことになっている)に扮したイオンと五十四さんに化けた(呪術で・自分では戻れない)六甲。顔が五十四さんで表情が六甲と言うのもなんか面白いですし、アイシャの時のイオンは胸が豊満と言う演出なので、何だか不思議な感じです。

以下、ストーリーの展開に従って感想を書きますのでゼロサム本誌をお読みいただいてから読んでいただければと思います。

時間的には、前回より少し前から。DXの率いる「傭兵」部隊がクエンティンの砦に侵入するところです。DXはクレッサールの挨拶の言葉を傭兵たちに尋ねています。「飛ぶ鳥の影が幸運をもたらす」滅族した里の言葉、とのこと、それは、ライナスにつきまとっているクレッサールの少年の部族、「暁追」のことでしょうか。あるいはザンドリオでの戦いで滅んだ別の部族でしょうか。

六甲が「顔を隠した戦士は誰もいないようです」と言っていますが、これは24巻にでてきた、砂漠の中でクエンティンたちと遭遇したときにクエンティンの連れていた「流砂の民」のことですね。その彼らがDXの父、リゲインたちを連れ去った。「里を持たない自由民」だとクエンティンは言っていました。これは25巻でユージェニが言っていた「アトルニアを恨むものたち」のことでもあるのかな、と思います。

DXは傭兵たちに、誰も傷つけないように砦を制圧するように指示し、自分は顔を隠してユージェニのフリをしてボルカたちを砦に引き入れ、無事制圧に成功します。

このあたりの謎解きはヒントを見つけつつ、少し前の記述を振り返らないとよくわからないので、ときどきわからないことがあるのですが、この「流砂の民」がきっとザンドリオの滅亡、つまりクエンティンの復讐心の根源と、それを吹き込まれたユージェニの心の中と何かの形で関係して来るのだろうと思います。

一方ユージェニと対峙するメイアンディア。「ユージェニは前王の子ではない」とメイアンディアは言います。ユージェニの母はリルアーナ、前王の娘ですから、気が狂った前王が娘を、と言うことをユージェニは自分の出生について一番気に病んでいたわけです。

クエンティンがユージェニに何といっていたのか。クエンティンはユージェニに、「あなたが聞きたいなら私は構わない」と言い、ユージェニも「話を聞こう」と言います。

メイアンディアが六甲に預けていた小箱の中から取り出したのは、一通の手紙でした。「王女はリゲイン卿との噂を隠れ蓑にして、本当は別の人と密かに恋をしていたの」とメイアンディアは言います。その手紙を書いたのはローハルト卿、大老(次期国王でメイアンディアの婚約者であるファラオン卿)の息子なのだと。これは、ディアが部屋の中で見つけた古い手紙であることにイオンは気がつきますし、またローハルト卿はDXたちの故郷・エカリープにいた孤児・ロビンの本当の父親だったことがDXたちの調査で判明しています。

ローハルト卿がリルアーナ王女の親友だった、と言うことはわかっていましたが、この手紙の内容がリルアーナ王女とその子供(つまりユージェニがそれに当たる)のために書いた手紙で、前王は身体上の理由で子供を作る能力を失っていて、前王がその子供の父親である可能性はない、ということがかかれていたのです。それは王女とその子の慰めになる、とローハルト卿は考えた、そのために宛先のない手紙を書いておいた、と言うことなのですね。

大老は前王の玉階(キングメーカー)だった。だから前王が心身を病んだこと、王女とその子を助けられなかったことについて、大老もローハルト卿も自責の念を持っていると。

それを聞いても、ユージェニはかたくなに心を閉ざします。DXは「ユージェニが自分の父親がわからないだけ・・・(つまり前王が自分の本当の父親だった可能性を誰かに聞いていなかったら)、大老は王女の名誉のために、このことについて触れなかっただろう」と言います。DXが「おそらく父さんも」と思ったのは、「その忌まわしい噂」についてユージェニが知らないなら、敢えてユージェニにそのようなことを伝える必要はない、と思っていた、ということなのでしょうか。このあたりのところ、何だか奥歯に物が挟まったような感じで分かりにくいのですが、まあ貴族のやり取りと言うのはそういうものかもしれません。

ディアはさらに迫ります。「ユージェニに前王と王女のことを教えたのはクエンティンなのでは?」と。ユージェニを怯えさせ、利用するためにその噂を利用したのではないか、と言うのですね。

しかしクエンティンは「前王の罪を一つなかったことにした」と怒りを含んだ表情をし、また「私が全てを知るとでも?足りないくらいだ」と言って、リルアーナの恋人のことも、前王の不能のことも、自分は知らなかった、とユージェニに言って、ユージェニの憂いが一つ晴れたことをことほぎます。

ユージェニは前王と、真祖の血族(メイアンディアのクラウスター家もその一つ)の支配するアトルニアをひっくり返すためにクエンティンと心を合わせて剣をとった、のですね。リゲインはユージェニに「アトルニアは変わった!」と何度も言いましたが、ユージェニはそれを受け入れていないし、また実際にユージェニがアトルニアの王都・フォーメリで見聞した中でも、きっとその確信を深めさせるようなことがあったのでしょうね。

だから「国が欲しいのは母のためとクエンティンのためだ。母が愛した国を汚すのが王城なら、私が剣をとる理由は充分だ!」とユージェニは言い放ちます。それを厳しい顔で聞いているDXとメイアンディア。

さて、ランドリは今月も20ページ。ここで終わりです。普段だともう一つ二つエピソードが入るところですが、ちょっと物足りない感じがしました。

ここからの展開、一体どうなるのか。手紙のやり取りをしていたのがローハルト卿とリルアーナだったことはわかりましたが、「リルアーナの恋人」がローハルトだったのかどうかはまだ判然としません。もしそうなら、ユージェニとロビンは腹違いの兄弟と言うことになりますが、まあそれは読んでいてそうなのかな、と考えた可能性の一つではありますが、ローハルトでなければならない必然もあまりよくわからないので、何とも言えないです。

なかなかちょっと複雑な展開になってきましたが、どうも鍵になるのが「ユージェニに心を開かせる」こと、という感じになってきました。であるならば、今この砦に向かっている「メルメルばあさん」がおそらくは最大の武器になりますね。今回、そこまで行くのではないかと思っていたのですが、ちょっと残念でした。

まだまだわからないことが多くて、こういう風に考えて書きながらこれはこうなのではないか、と思うところも多くて、なかなか難しいのですが、来月をまた楽しみに待ちたいと思います。