ONE PIECE 77 (ジャンプコミックス)
尾田栄一郎
集英社


少年ジャンプ第19号で尾田栄一郎さんの『One Piece』第782話「悪のカリスマ」を読みました!

アニメの新オープニングの興奮がまだ冷めない月曜日のジャンプに、782話「悪のカリスマ」が掲載されました。

以下は内容に触れながら感想を書きますので、ジャンプ本誌をご覧になってからお読みいただければと思います。

扉は「ジンベエの海侠一人旅」26話、「ひとまず宴」ということで、ワダツミや海獣たち、そして人間たちが月夜に宴を催している、という場面です。ワダツミもほっとした顔をしていますね。

扉をめくると本編。街を覆った鳥カゴの下、その鳥カゴを張り巡らした張本人・ドフラミンゴの王宮屋上で、ドフラミンゴ攻撃に失敗し倒れているローを踏み潰そうとするドフラミンゴの足を、ルフィが草履の足で防いだ、というところが先週のラストでした。

怒りに燃えるドフラミンゴは、再びローを踏みつけようとしますが、ルフィは再びドフラミンゴの足に蹴りを入れ、王宮全体に轟音が響きます。「んなー!覇王色の衝突~!!?」と驚くトレーボル。「奴もそうなのか」と驚いています。ドフラミンゴとルフィ、二人の覇王色の覇気の衝突で、ローは吹き飛ばされ、転がされてドフラミンゴの足元から逃れます。「麦わら屋…こいつもやはり」とローも驚きます。

そうですね。ドフラミンゴは2年前の「頂上戦争」のときにルフィの『覇王色の覇気』の発現を見ていますので驚いていないようですが、二人は初めて見るのですね。

トレーボルは回想します。幼い頃のドフラミンゴの、叫んだときに周りの人間がみな気絶したという話を聞いて、「それは覇王色の覇気だ。王の資質を持つ証。お前は天に選ばれた男なんだ!」とトレーボルはドフラミンゴに言ったのでした。この頃、すでにトレーボルは大人の大男。子供を悪の道に染めようとする悪い大人、という感じです。そしてそのときトレーボルが示したのが拳銃と何やら悪魔の実。これがイトイトの実だったのでしょうか。

トレーボルは叫びます。麦わらのルフィは覇王色の持ち主かもしれない、「だがお前じゃ敵わんね。ドフィはモノが違う!出生が狂気を育み、運命が怒りを呼び、この男を盤石な夜叉へと変えた!」と。5ページに渡り、激突するドフラミンゴとルフィ。ガチンコの蹴り合い、殴り合いから能力のぶつけ合いに移行し、そして撥ね飛ばされたルフィはトレーボルのベトベトにつかまってしまいます。

「こいつは止めとく。今のうちにローの頭を踏み潰せ!」というトレーボル。ルフィは武装色の覇気を纏わせた拳でトレーボルを撃ち抜きますが、トレーボルはダメージを受けません。「自然系(ロギア)なら武装色で当たるはず!」と驚くルフィ。「無駄だバカゴム」というトレーボルに、ローは、「確かに無駄だ。そんなハリボテ野郎、相手にするだけ無駄だ」と言います。「何よりおれァハートの席に座り、こんなバカ共と一緒にされるのがいやだった」と挑発するローに、「バカにすることは許さん!」と激昂するトレーボル。

熱くなったトレーボルはドフラミンゴを差し置き、前に出ます。「ドフィは常に絶対的な王だ。しかし現「最高幹部」の俺達との間にその格差はない。ある日天から落ちてきた限りない才能を、俺達四人が拾い上げ力を与え、悪のカリスマへと育て上げた。」というトレーボル。そう、トレーボル、ディアマンテ、ピーカ、ヴェルゴ。この4人の特別な地位と言うのは何なのかと以前から思っていたのですが、ここで明らかにされました。4人は敢えてドフラミンゴの下に付き、「俺達はお前のすべてを肯定する。代わりに夢を見せてくれ!」と言って、それ以後ドフラミンゴにたてつくものを徹底的に4人で押さえつけ、ドフラミンゴを「お前はいつかこの海の王になる男だ」と、押し上げて行ったのでした。

なるほど、これはかなり歪んだ形ではありますが、麦わらの一味のゾロやウソップ、サンジやナミたちがルフィを船長と盛り立て、「ルフィはいつか海賊王になる男」とその夢を全肯定しているのと同じことなんですよね。ルフィの夢を笑う奴を許さない、というのはウソップなんかはいつも逃げ腰なのに、そのときだけは侮辱した相手に敢然と立ち向かっていく、その辺りある意味似ています。

ただ違うのは、「麦わらの一味」の面々がルフィを海賊王にするという夢を盛り立てて行こうとするだけでなく、自分たちひとりひとりが自分の夢を持ってることなんですね。ゾロは世界一の大剣豪に、ナミは世界地図を作る。サンジは全ての魚がいるというオールブルーに行く。という具合に。そこが麦わらの一味のとてつもなく自由な感じがするところなんだなと思います。

一方、ローに挑発されるとすぐカチンときてしまうトレーボルは、やはり何か歪んでいる。それは、彼自身の夢というものがないからなのでしょうね。

一方のドンキホーテ海賊団の最高幹部たち。「5人は対等にファミリーを思い、家族のように盛り立ててきた」というトレーボルに、ローはさらに挑発します。「そう思ってんのはお前らだけだ。おれの目には参謀気取りのお前ですらドフラミンゴの間抜けな操り人形にしか見えねえな」と。カチンときたトレーボルに、ドフラミンゴは「乗るなトレーボル!ローがROOMを構えている!」と警告しますが、逆上したトレーボルはROOMの中でローを串刺しにしようとします。

一方ローは、「おれも一船の船長だ。二人とも麦わらや任せじゃメンツが立たねえ」というと、「タクト」の合図をします。すると斬り落とされたローの右手が刀を持ってトレーボルに斬り掛かり、トレーボルの腹から胸を切り裂いてしまいます。「斬れて血が出た!」と驚くルフィ。そして。

その刹那、トンタッタ族が、あちこちではっとします。花畑にいるレオ。そしてSMILE工場破壊に成功した集団も、街の方を凝視します。「どうしたお前ら!」と驚くフランキーに、トンタッタは「分かんないれすけど、何か胸がスッとすくような」と涙を流します。

トレーボルは、このトンタッタ族たちと、何か因縁があるのですね。

再び王宮。ルフィは驚きます。ベトベトが斬り落とされてみると、トレーボルは痩せさらばえた細い男でした。「ハリボテ」とはそういうことだったのですね。「マヌケが」と焦るドフラミンゴ。トレーボルはヤケになって、自分のネバネバに引火させ、王宮に大きな炎が上がります。

ということで今回はここまででした。

うーん、なるほど。トレーボルは参謀、いわばドフラミンゴを王にのし上げて行く演出家のような役割だったのですね。たとえはアレですが、AKB48をアイドルの座にのし上げた秋元康さんのような。そしてそのことと、トンタッタが「胸がすく思いがした」ということとは何か関係があるのでしょうね。きっとここで、トレーボルの秘密が明らかにされるのではないかと思います。ローはドフラミンゴには敵いませんでしたが、せめてトレーボルだけでも、と一矢報いることに成功しました。しかし炎に包まれてしまう。このあとどういう展開になるのかは分かりませんが、ローが一矢報いることができたことは、やはり読んでいてこちらも胸がすく思いがしましたね。

来週以降の展開がまた楽しみになりました!