ONE PIECE 77 (ジャンプコミックス)
尾田栄一郎
集英社


尾田栄一郎さんの「One Piece」第77巻「スマイル」を読みました!

「One Piece」ももう77巻。すごいですね。17年続いても今なおトップの売り上げを続けているマンガ。そして今回の表紙はドフラミンゴ・ファミリー、「ドンキホーテ海賊団」のドフラミンゴ・最高幹部・幹部たち合わせて13人が描かれています。そして背表紙にはセニョール・ピンク。この巻にふさわしい外装だと思います。

ページをめくって行くとルフィの絵があり、登場人物紹介とあらすじ。そして目次があってその左のページは全面ドフラミンゴです。目次を見て驚いたのは、12話分収録されていること。通常は10話なので11話のときは特別な感じがしましたが、12話とは。言われてみるとこの巻、心なしか少し部厚い気がします。値段は同じ432円(税込み)なので、ちょっとお得かもしれません。それに内容も、この巻はとても良かったです。

お話は、最初の4話はトラファルガー・ローのドフラミンゴファミリーにおける過去と、そこからドフラミンゴの弟・コラソンに連れ出された時の物語。ローがコラソンに恩義を感じ、ドフラミンゴを討つと言う「コラソンの本懐」を遂げようとするその背景になる話が描かれています。ドフラミンゴファミリーはロックミュージシャンのような出で立ちが多いのですが、コラソンはキッスみたいな感じです。このコワい感じのコラソンがドジっ子で本当は優しい、というのが話の肝心なところな訳です。表題になっている「スマイル」はこのコラソンの最後の微笑み(一筋縄ではいきませんが)を意味しているのですね。

そして768話以降は現在に戻ってドフラミンゴファミリーとルフィ・ローたちの戦いが描かれて行きます。その中でも八宝水軍の新しき首領・サイとドフラミンゴファミリーの幹部の一人・ベビー5の話が短いながらも印象的です。王宮のある台地の2段目・3段目での戦いもバルトロメオ・キャベンディッシュ・ロビンたちの活躍で決着がついて行きます。狂言回しとして魅力的なのはやはりバルトロメオですね。

そしてジョーラに囚われているマンシェリー姫の救出、セニョールピンクの守るスマイル工場でのフランキーとの死闘と、セニョールの悲しい過去。この最後の775話「ルシアンに愛を込めて」は本当に傑作だと思いました。実に充実した77巻だったと思います。

そして読者の質問コーナー、SBSも面白かった。23巻で投稿が採用された人が、実は現在ではジャンプで「僕のヒーローアカデミア」を連載している堀越耕平さんだったと言うのはへえっと思いました。そしてカン十郎ときんえもんのやり取りが実は落語に出典があるというのもへえっと。「One Piece」、実は江戸時代からの日本の芸能にすごく親和性があるんだなと思います。

そして一番驚いたのは、シュガーとモネが不幸な環境にあったところをドフラミンゴに拾われた姉妹だった、ということ。この二人に関係があるとは思っていませんでした。そしてこの二人は、13年前のローとコラソンの事件のときにはまだいなかった、と尾田さん自身が書いていていろいろ合点がいきました。

そして765話でコラソンとローがいた島がモンブラン・ノーランドの故郷・ルブニール王国だった、という読者の指摘には驚きました。そんなところ、見ている人がいるんですねえ…

おそらく次号は表紙がルフィとロー、コロシアム軍団などドフラミンゴと戦ったメンバーになるんじゃないかなと思います。21巻でクロコダイルとバロックワークスのメンバーが、22巻でそれと対峙するルフィとビビたちが表紙になっていましたから、そんな感じなのではないかという気がします。78巻では完全に決着はつかないと思いますが、王宮での戦い以外は全部終焉している段階になると思いますので。

「One Piece」次号も連載もアニメも楽しみです。やはり本当によくできた作品だなと改めて思いました。