ONE PIECE モノクロ版 76 (ジャンプコミックスDIGITAL)
尾田栄一郎
集英社


少年ジャンプ第9号で尾田栄一郎さんの『One Piece』第774話「トンタッタ族戦士長レオ」を読みました!

ドレスローザ編が継続中。ドレスローザを10年間支配してきたドフラミンゴファミリーと、麦わらの一味とトラファルガー・ロー、旧リク王軍軍隊長キュロス、小人のトンタッタ族の連合軍との激闘が、いくつかの場所で続いています。

今回の扉連載は、「ジンベエの海侠一人旅 vol.20」。大騒動を起こした海神ワダツミにジンベエが説教しているところです。ワダツミ、魚人島編ではバンダーデッケンたちに使われて大暴れして、魚人島を追放されてしまいましたが、もともと悪い奴でもなかったので、ぶっ飛ばされたジンベエのいうことには素直なようです。

本編。ドレスローザでの戦いの焦点は王宮とスマイル工場にしぼられていますが、今回は王宮のある台地4段目、「ひまわり畑」の場面から。ここではドフラミンゴの最高幹部・ディアマンテとリク王軍軍隊長キュロスが戦っていますが、キュロスの娘・レベッカがディアマンテに狙われていて、キュロスは戦いに集中出来ないでいました。そこに応援に現れたのが3段目のグラディウスとの激闘をキャベンディッシュ(ハクバ)とバルトロメオの助けで切り抜けてきた麦わらの一味のニコ・ロビン。ロビンはレベッカを守って、キュロスにディアマンテとの戦いに専念させるのでした。

3段目では意識のないグラディウスを運ぶドフラミンゴの部下たちとバルトロメオ。バルトロメオは前回だいぶダメージを受けていましたが、ずいぶん回復した感じです。これは後の内容の伏線なのですが、この時点ではわからず、何か不思議な感じです。

スマイル工場内では奴隷として働かされていたトンタッタ族は麦わらの一味・フランキーたちと小人たちとの連合軍によって解放されていますが、フランキーとセニョールピンクとの戦いはまだ続いているようです。ほとんどショー化している印象ですが。(笑)

一方、王宮のある台地にいるヴィオラ(リク王の娘でギョロギョロの実を食べて千里眼の能力をもち、心ならずもヴァイオレットとしてドフラミンゴファミリーの幹部だったが、ルフィたちの動きに応じてドフラミンゴから離反した)はトンタッタたちに自分の千里眼で見たことを報告します。ドフラミンゴの幹部ジョーラが、とらえられているトンタッタのマンシェリー姫に『能力を使うこと』を強要していると言うのです。それを聞いたレオとカブは大急ぎでマンシェリーがとらわれている「お仕置き部屋」に向かっています。

ジョーラ。ここで出てきましたか。前回の登場はサウザンドサニー号を襲撃してブルックたちにとらえられ、ドフラミンゴとローとの戦いのさなかローによって解放されて以来(725話)です(ローの回想の中には若かりし日のジョーラが出てきていますが)から、もういなくなってしまっていたかと思いましたが、ちゃんと戻ってきていたのですね。そのときもドフラミンゴは(ウチがどういうファミリーか分かってるなと言ってましたが、ずっとジョーラが出てきてなかったのでどうしていたのかと思っていたのです)

そして、トンタッタの姫、マンシェリーが初めてその全貌を表しました。二等身で、地面に届く大きな縦ロールです。なるほど。マンシェリーの能力とは、『チユチユの実』(笑・治癒治癒ですか)の能力で、倒れているものたちを復活させる能力なのだそうです。一度SOP作戦で倒れたシュガーも彼女の力で復活させられたと。(またウソップにトラウマ攻撃されて気絶しましたが)

なるほど、「倒れたグラディウスをこそこそ運ぶ」というのも、こういう意味だったのですね。これが伏線だったとはここまで読んで初めて分かりました。

「魔法の水」の出るジョーロを渡せ、と言うジョーラにマンシェリーは、「もうこれ以上悪い人たちを直すのはイヤれす」というのでした。

反抗するマンシェリーにジョーラは強要しようとしますが、マンシェリーの涙が兵士を治癒させたことに気づいて、ジョーラは、マンシェリーを泣かせようとします。その様子は千里眼のヴィオラにはすべて見えていて、リク王やウソップたちにも、レオたちにも伝えられるのでした。

一刻も早く救い出さねばとお仕置きの場に突入するレオたち。しかし一足遅くジョーラによって涙がばらまかれると言うところ、カブが幹部たちをぶっ飛ばします。そしてレオは幹部たちとジョーラを縫い合わせ、(最初にグリーンビットでロビンがレオたちにとらえられたとき、地面に縫い合わされていましたね。)ひとまとめにして再びぶっ飛ばすのでした。「アートざます」と言うジョーラの断末魔が可笑しいのですが、王子様みたいにマンシェリーを救出に来たレオに、「こわかったよう」とマンシェリーが甘えても、レオは「姫、また重くなったれすね」と余計なことを言ってぶんなぐられる、というお約束の展開でした。

でもこれで小人たちの願いもかない、後はいよいよフランキー対セニョールピンク、ディアマンテ対キュロス、ゾロ対ピーカ。そして王宮最上階のラスボス・ドフラミンゴ戦のみ。ここしばらくルフィたちの戦いが描写されていませんが、どうなっているのでしょうか。楽しみです。

しばらく出ていなかったジョーラですが、私はわりと好きなキャラクターなので、出てきて嬉しかったです。

それにしても、今回の感想を書こうとワダツミやジョーラについて単行本を調べるのにすごく時間がかかってしまいました。(笑)実際、この作品はほんとうに複雑なストーリーを、何年もかけて書いているので、すぐには前のことを思い出せませんよね。それでもほんとうにストーリーだけでもこれだけ複雑な作品を、キャラクターや絵を魅力的に書いて行って毎週連載するわけですから、ほんとうに超人的だと改めて思います。

あまりに複雑すぎると思うときもありますが、アニメ化のときに複雑な部分がすごく解きほぐされてわかりやすくされていることが多いなと昨日もアニメを見ていて思いました。そのかわりストーリーの展開がさらにゆっくりになってしまっているわけですが。

最近人気になった作品と比べると、「進撃の巨人」などは、すごくオリジナル性が高いというか、他のところからの引用がほとんどない、荒削りな絵と荒削りなストーリーの生々しい迫力が魅力的な、つまり「生々しいリアリティ」が魅力的な作品だと思うのですが、「One Piece」はその対極だなと思います。ですからいろいろなものが詰め込まれていて、そのひとつひとつについて何か言いたくなる。そんな魅力がこの作品にはあります。「進撃の巨人」は息を呑んで見守るしかない、という感じですからね。

そういう、いわばカーニバル的なところが「One Piece」の魅力なんだと思います。

これからも楽しみです!