ONE PIECE 76 (ジャンプコミックス)
尾田栄一郎
集英社


少年ジャンプ第8号で尾田栄一郎さんの『One Piece』第773話「ハーフ&ハーフ」を読みました。

お休みがちで申し訳ありません。

しばらくマンガの感想の書き方についていろいろ考えていたので、それなりに読んではいるのですが、感想自体をなかなか書けないでいました。

でも、今週の『One Piece』は面白い!

面白いと、つい人に言いたくなりますよね。

マンガの感想というのは、そういうのが原点じゃないかなと思います。

そう思って、書き方が見つかったわけではないのですが、まずは書いてみようと思って書くことにしました。

話はいきなり横にそれますが、昨日(1/18)のアニメも面白かったですね。ウソップがSOP作戦に成功し、巨人ハイルディンたちに「ゴッド・ウソップ」と奉られるところ。あまりに大げさな演出で、可笑しくて仕方ありませんでした。「One Piece」の原作は最近は「中略!」という感じのところが多くて単行本を読んでいてもいっぺんには全部を味わえない感じなのですが、アニメではそこのところを丁寧に描いていて、すごくわかりやすくなっているなと思います。そして「(工場を破壊して)小せえ仲間たちを救出してくれ」というセリフがロビンを感動させていて、コロシアム軍団の士気を挙げている。そういうところを丁寧に描いていてよかったなあと思いました。

さて、原作マンガの方。まず扉は「ジンベエの海侠一人旅No.19」です。今まで起こった様々な事件の種明かし。魚人島編に出てきた大入道=海神ワダツミが関わっていた、ということがわかりました。この扉連載、あまりちゃんと読んでなかったのですが、1巻から見直してみると結構その後の展開に関わってくるサイドストーリーであることがときどきあります。それまでのストーリーの補足みたいな感じの展開であることも多いのですけどね。作者の尾田さんは同時にいくつものストーリーを展開させるわけですが、扉連載まで別個のストーリーであるわけで、本当に頭の中にたくさんのストーリーがどんどん涌き出して来る人なんだなあと思います。

ということで原作のストーリー。今回は王宮のある台地・三段目の話から。ここで戦っていたのはドフラミンゴ側がグラディウスと二段目から上がってきたデリンジャー。「麦わら」側がニコ・ロビンとバルトロメオ、そしてキャベンディッシュです。しかしそのデリンジャーが瞬殺される。そこまでが前回の流れでした。

現れたのは、キャベンディッシュのもう一つの人格、無差別に人を殺す夢遊病の「ハクバ」だったのです。完全に無差別に人を殺戮するハクバはバルトロメオも狙い、そして4段目のレベッカを加勢に行くロビンも狙います。ロビンはハナハナの実の能力でハクバを押さえ、その中で第一人格のキャベンディッシュも復活しますが、ハクバの人格もしぶとく、いっぺんに両方の人格が現れてしまいます。

ここが最高でした。バルトロメオの反応も可笑しいです。この二人は本当にボケとツッコミのいいコンビです。二枚目のキャベンディッシュがボケでパンクロッカー風のバルトロメオがツッコミというのはよくできてるなと思います。二枚目は勘違いしているキャラが多い(「GIANT KILLING」のジーノとか)わけですがキャベンディッシュの天然の思い込みの強さにはそういうところがありますし、バルトロメオは麦わらの一味に心酔している様子はボケ的なのですが、(サボに突っ込まれてましたね)案外情勢をちゃんと把握していて、ロビンたちに「一歩引いている」ことによって客観性が生まれている感じがします。

しかしそこに立ち向かって来るのがグラディウス。壁を破裂させ、自分を爆発させて毒針をまき散らす、という攻撃に出たとき、バルトロメオは自らを犠牲にして自分とグラディウスをバリアで包み込み、のど笛をかっ切ろうとします。しかしバルトロメオは急所を外してしまい、グラディウスは壁を爆発させるのですが、キャベンディッシュは自分のもう一つの人格を抑え込み、その上でその驚異的な能力を利用してロビンの難を救うのです。

それにグラディウスが動揺した隙に、バルトロメオはルフィの技をまねた技でグラディウスを倒す。

キャベンディッシュは、自分自身をコントロールすることが出来ないある種のエリートの隠喩みたいな感じですし、バルトロメオは本当に憧れに対する献身ぶりがみごとなキャラで、第5回目の人気投票に初登場第9位、というのも納得だなと思います。「One Piece」は四代目市川猿之助さんの主演で歌舞伎化されるそうですが、バルトロメオは歌舞伎にあう役柄だなと思います。

バルトロメオは「あんな面倒な野郎とは、もう二度と組まねえべ!」と見得を切りますが(このOne Pieceの「ドン!」と擬音のはいるところは、ホント歌舞伎みたいです)、まあこの凸凹コンビぶり、そんなこと言わずにまた是非みたいな、と思います。(まあ、多分そういうフラグですよね。笑)

これで残ったドフラミンゴの幹部は最上階のドフラミンゴの元にいるトレーボル(二人はルフィ・ローと戦闘中)とスマイル工場のセニョールピンク(フランキーと戦闘中)、そして4段目のディアマンテだけになりました。

そのディアマンテのいる4段目ひまわり畑。ディアマンテは片足のキュロスと戦っていますが、隙を見てレベッカを狙います。しかしそこにやってきたロビンが「千紫万紅(ミルフール)胡蝶蘭!」という技でディアマンテの刀を操ります。ロビンは「怪物達の戦い」からレベッカを守りにきたのです。そしてキュロスも、ディアマンテとの戦いに集中することが出来るようになったのでした。

というわけで、延々と続いているドレスローザ編もおそらく、終盤になってきたのだろうと思います。(終わりそうになってからが長いんですけどね、OnePieceは。笑)ルフィたちの戦いをメインと考えると、この辺りはサイドストーリーなわけですが、それぞれのキャラクターがしっかり見せ場を持っているところがいいなあと思います。

こういうオールスターキャストの展開は話が散漫になりがちで、さすがにOne Pieceもその弊害がないとは言えないのですが、それでも物語を豊かにし、そしてその中心にいるルフィの戦いが周りのキャラクターに負けないところがすごい、と言うかそういう風にちゃんと作っています。物語というのは脇役の方が面白くて主人公は台風の目のようにわりと静か、ということはけっこうあるわけですが、One Pieceはそうではない。そこがすごいなと思うのです。

スマホゲームの「One Pieceトレジャークルーズ」の面白さも、やはりこの原作やアニメの面白さ、キャラクターの魅力に負っているところが非常に大きい。おかげさまで今公開中のアラバスタ王国・アルバーナ編まですべてクリアしましたが、(笑)主要キャラをゲットする楽しみというものを初めて知って、ゲームをやる人はこういうところが楽しいのだなと感動したりしています。

それもこれも、原作「One Piece」あってこそ。これからも展開を楽しみにしたいと思うのでした。