ONE PIECE 76 (ジャンプコミックス)
尾田栄一郎
集英社


少年ジャンプ4・5合併号で尾田栄一郎さんの『One Piece』第771話「八宝水軍首領・サイ」を読みました!

年も押し迫ってきて、今年発売のジャンプは今回で終わり。次号6・7合併号は1月5日の発売になるそうです。ということはこれが今年最後の『One Piece』の新作ということになりますね。ドレスローザ編の死闘が続いています。あとは27日発売のコミックス76巻。これも楽しみが多いですね。

そして今回は、第5回になるキャラクター人気投票の結果が発表されました!

ルフィは5回連続堂々の第1位。さすが主人公という感じですが、どの作品でも主人公が1位とは限らないのですね。例えば同じジャンプの『HUNTER×HUNTER』でも、第1位を取るのは主人公ゴンではなくキルアが多かったですし、『進撃の巨人』でもエレンよりもリヴァイの方が人気を取るケースがほとんどですよね。そういう中で、ルフィが毎回ぶっちぎりで1位を取るというのはやはりそれだけ圧倒的な魅力のあるキャラクターなのだなと思います。

前回の人気投票は調べてみると2008年に行われていて、それはまだシャボンディ諸島のところなのですね。ですからその後の「女が島」編、「インペルダウン」編、「マリンフォード頂上戦争」編以降に出て来るキャラクターは今回が初めての人気投票ということになるわけです。

そのなかで、なんと3人のキャラクターが10位以内に入りました。5位にサボ。今ドレスローザ編で活躍していますし、またルフィと義兄弟ということで特別の位置を占めていますよね。

そして意外だったのが9位10位なのですが、9位はルフィをセンパイと慕う海賊バルトロメオ。ドレスローザ編で初めて出てきたキャラがこれだけの人気だというのはすごいです。まあ、サボも大人になってからはここで初めて出てきたのですが。バルトロメオは「だべー!!」と強力ななまりの海賊ですが、やはり一途に麦わらの一味に尽くそうとしたりマニア的な関心を見せたりするところが魅力的だったのでしょうか。まあ外見もとさかの生えたロックスターみたいですごいんですけどね。

10位が女が島の「美しすぎる」海賊女帝・ボア・ハンコック。これもルフィに対する一途な恋心が評価されたのかなと思います。また、先日放映された特別版、「3D2Y」に出ていたことも大きいかもしれません。私も好きなキャラクターなのですけどね。

そして今回大躍進だったのがトラファルガー・ロー。なんとゾロの定位置だった2位の座を奪いました。特に女性の評価が高かったのかなと思います。アニメの声はリヴァイの神谷浩史さんということもあるのでしょうか。

そんなふうに新キャラが人気をのばしているためにあおりを食って麦わらの一味の常連メンバーが軒並み順位を下げる中、6位に踏みとどまってチョッパーの上に来たのがエースです。これも「3D2Y」の放送の影響や、いま「義兄弟」のサボが活躍していることなどもある気がします。

私が注目していたキャラでは今ルフィたちが戦ってる相手、ドンキホーテ・ドフラミンゴは17位、ローとの過去話がずっと続いていたコラソンは52位でした。投票がもう少し遅かったらもう少し順位が上がったんじゃないかという気はしますが。この結果はコミックス76巻でも詳しく発表されるそうなので、今週のジャンプかコミックスで確かめていただければと思います。

今週の扉は見開きでルフィが駆る馬の引いた馬車に乗っているベスト10のメンバーが描かれています。すでに死んでしまっているエースが乗っているのは何かしみじみしてしまいますが、ハンコックがルフィを見てきゅんとしていてどう見ても女学生にしか見えないのがどうなんだ、と思います。設定では身長191センチのはずなんですけどね。

さて、今回は前回のストーリーの続きになるわけですが、ピーカとゾロの戦いが続く中、コロシアム軍団の中の「一時間に一発しか打てない伝家の宝刀のキングパンチ」を持った「戦う国王・エリザベロー」がゾロに加勢を申し出ます。しかしゾロは、「おそらく岩石野郎は何かを狙ってる。お前の宝刀は取っとくべきだ」というのでした。

一方、ラオG対ドン・チンジャオ。ラオGの繰り出す老人の特徴を生かした攻撃にやられるチンジャオでしたが、前回、孫のサイとドフラミンゴファミリー幹部のベビー5の会話を聞いていたチンジャオは、「その結婚反対だぞ」とそっちの方に反応しています。そういわれてベビー5はがーんとしていますが、もともとベビー5が一方的な勘違いでサイが自分を「必要としている=求愛している」と思ってしまったんですね。サイは「俺は嫁なんざ誰だっていい!」と叫んでいますが、そっちのけにされてしまったラオGはなぜか寿命が来て死んでしまいます。しかしそれを見たベビー5が「死なないで!」と叫ぶと、タマシイが戻ってきて復活します。なんだか滅茶苦茶です。(笑)

そんなことが起こっている間、はっと気がつくとベビー5はサイの襟をかいがいしく直していて、「うおい襟をただすな!妻かてめえ!」とか言われています。「わたしのことが必要なんでしょう?何でも言って」と言われてサイは、「じゃあ死んでくれ!お前らに麦わらへの恩返しを邪魔にされたら形無しだ!」と長刀を構えて言うと、なんとベビー5は自分の左腕を銃にして、「わかった、喜んで死ぬわ!それで役に立てるなら」と言って引きがねを引こうとします。それを見てサイはぎょっとしてしまいます。

そりゃそうですよね。ベビー5が惚れっぽくて、すぐに「自分が必要とされている」と勘違いして、どんな男の頼みにも断れない、そんな女だと言うことは知りませんし、また死ねと言われたら死ぬ、なんて反応が返ってくるとは夢にも思わないでしょうからね。でもサイは「バカよせ!」と叫んで止めに行きます。するとチンジャオは「敵の死を止めるな!頭領ならばもっと冷酷でいろ!」と叫びますが、サイは「黙ってろジジイ!」と叫んでベビー5の元に走ります。

ここで7コマ、ベビー5の回想が入ります。それは、貧しい村で生まれた悲しい過去。口減らしに母に山へ捨てられ、母親に「役に立たないお前は必要のない人間なんだから」と言われた、そのトラウマがベビー5にそういう行動をとらせていたのですね。ここのところ、おそらくそういう設定なんだろうなと思っていたのですが、でも実際にそう描かれてしまうとぐっと来てしまうものがあります。今までのクールビューティーのベビー5の表情と違い、頬を染めて笑みを浮かべて銃を頭に向けるベビー5を、サイは必死で止めようとします。

しかしチンジャオは「八宝水軍の恥さらし!」と最強の頭突きをくらわそうとします。しかしサイはベビー5を守りながら蹴りでチンジャオを防ぎ、ベビー5を「つまらねえマネすんじゃねえ!」とはったおします。

「あなたの役に立とうとしたのに!」というベビー5に、サイは「それを否定されねえ場所で生きてきたのか」というのでした。サイは、ベビー5の生きてきた場所、つまりドフラミンゴ・ファミリーの姿に、心底怒りを燃やしたように見えます。

一方、孫に倒されたチンジャオは、自分に勝った孫を誉め称えます。「八衝拳の奥義は伝承された!八宝水軍はこれより完全にお前のものだ!」と言います。しかしそこに復活したラオGが頭突きを噛まし、チンジャオをぶっ飛ばしてしまいます。

ラオGは、「このドレスローザは若(ドフラミンゴ)のもの!国にいるすべてのものは奴隷!貴様らは一生この「鳥カGO」から出られやせんのじゃあ!」と叫びます。さらにサイをぶっ飛ばそうとするラオGは、「ベビー5とて渡さんぞ!必要とされるだけで命をも捨てる!こんな便利な女が他におるか!」と叫んでサイを倒そうとします。それを聞いたベビー5は目に涙を浮かべて「便利…!?」と思います。

……今まで気がついてなかったのかよ!

とツッコミを入れてしまいますが、まあマンガですからね。

しかしサイ叫びます。「勝ったらおれが妻にもらうぞ!」と。「え!?」と喜び、ハートをズキュンと撃ち抜かれるベビー5。表情崩れ過ぎです。(笑)

サイはかかと落しでラオGを倒し、「バカ猿GA!」と叫ぶラオGに「首領(ドン)と呼べやい」というのでした。こうしてラオGは脱落し、ベビー5は恋落(だつらくとルビ)したのでした。

いや、何かサイすごくかっこいいです。顔は猿みたいですけど。

実際、ベビー5のような女性、いますよね。人に必要とされることに執心する、いわゆる共依存と言うのでしょうか。子どもの頃、「お前は必要ない」と言われたことがトラウマとなって必要とされていると幸せを感じ、それに執心するというタイプ。サイのような男らしいタイプと結ばれることで、幸せになれると言いなとマンガのキャラにいろいろ思っても仕方ないのですが、つい思ってしまうのでした。

サイ、高山彦九郎みたいです。(高山彦九郎は妻が二人いたのですが、二人とも人買いに売られるところを助け出した女性なのですね。)この二人、案外いい組み合わせかもしれないな、と思いました。

さて今週は、ということは今年の『One Piece』はこれでおしまい、ということになりました。

まだまだ先は長そうですが、ドレスローザ編はそろそろ大団円を迎えるのだろうと思います。年が明けて、特にドフラミンゴ対ロー・ルフィの戦いがどうなるか、いろいろ気になって行く年の瀬なのでした。