ONE PIECE モノクロ版 75 (ジャンプコミックスDIGITAL)
尾田栄一郎
集英社


少年ジャンプ1号で尾田栄一郎さんの『One Piece』第769話「海賊ベラミー」を読みました!

先週号で『One Piece』、ローとドフラミンゴの回想が終わり、現実の戦いが再開しましたが、今回はそのローとドフラミンゴの戦いの続きから始まります。

前回ラストでついにドフラミンゴに一撃を加えたローでしたが、今回は「ルーム」(ローのオペオペの実の能力が及ぶ範囲)の中で城の一角を切り取り、ドフラミンゴにぶつけようとします。しかしドフラミンゴは「蜘蛛の巣がき」という技でそれを押さえ込むとバラバラにしてしまいます。さらにローはその破片をドフラミンゴにぶつけようとしますが、再び蜘蛛の巣でそれを防ぎます。何度ローが攻撃を仕掛けても、ドフラミンゴには効きません。終いにはドフラミンゴはローの右手を捕まえて「無駄な攻撃繰り返すんじゃねえよ。すっかり根性丸出しの熱い男になっちまいやがって」と言います。ドフラミンゴはそういうタイプが嫌いなのですね。

空中に浮いたままドフラミンゴはローに言います。「お前が本気で俺を殺そうと言うならカイドウを俺にぶつける作戦だけに終始すべきだった。だがコラソンへの熱い思いで感情をあらわにし、俺に直接一泡吹かせようと思ったとき、お前の死は確定した」と。

コラソンはドフラミンゴがドレスローザを狙っているという情報を海軍に渡そうとしたのですが、ローが渡した相手がドフラミンゴの部下で海軍に潜入していたヴェルゴだったために失敗しました。コラソンのやったことは無駄だったのだ、というドフラミンゴですが、ローは「俺が死ぬまでにやることすべてが、コラさんの残した功績だ!」と答えます。

この辺り、とにかくドフラミンゴはめちゃくちゃ強い。ローのトリッキーな攻撃など全然効いてない感じです。

「どんな悲劇も失態も、起きちまったことだけが現実!お前がオペオペの実を食って逃げたことも、パンクハザードで俺に牙を剥き今ここに居ることも!もう一人のD(ルフィですね)に感化されてか、お前が直接俺に挑んできたのも、起きちまった現実!だから俺は許す!」そういいながらドフラミンゴは自らの足でローの右腕を切り落としてしまいます。トレーボルは「やりやがった!糸ノコ糸ノコ!」とウケています。

さらにドフラミンゴは拳銃を取り出し、「実の父と弟を許したように、拳銃をもってな!処刑はやはり鉛玉に限る!」とローに銃口を向けます。許す、とは射殺する、という意味なのですね。

この「鉛玉」へのこだわり。これは何か意味があるのでしょうか。父を撃ち殺したときも、弟コラソン=ロシナンテを撃ち殺したときも銃、つまり「鉛玉」でした。王宮で一度ローが虫の息になったときもやはり鉛玉を打ち込んでいました。「処刑はやはり鉛玉に限る」というのは、一体どういう意味があるのかなと思います。

しかしそこに、階下からルフィがゴムゴムのジェットガトリングで天井、つまりローたちのいるところの床を突き破って、下で戦っていた糸人形のドフラミンゴをぶっ飛ばしたのです。トレーボルは「影ドフィがバラバラだあ!」とまたウケています。

ドフラミンゴは、「アレを閉じ込めとくには、少々檻がせますぎたか」と余裕です。

下の部屋にはもうひとり、ドフラミンゴの寄生糸(パラサイト)で操られてルフィと戦っていベラミーがいます。ルフィは、「おい!ミンゴ!ベラミーを止めろ!死んじまうよ!」とドフラミンゴに向かって叫びます。「まだ生きてたのかべラミー」とつぶやいたドフラミンゴは、いいだろう、と言ってパラサイトを離します。するとベラミーはどさっと倒れます。そのベラミーにドフラミンゴは、「もう十分だベラミー。自由にしてやるよ。今まで通りな」と声をかけます。

虫の息の中で、ベラミーは今までのドフラミンゴとのいきさつを思い出します。

まだガキンチョ、中学生くらいでしょうか、ベラミーはドンキホーテファミリーを訪れて海賊団に入ることを望みます。トレーボルが出身地を聞き、「裕福な街だろう、何が不満だ」と言われて「退屈なんだあんな町!俺らあんたらみてえな海賊団になりてえんだ!夢見がちなそこらの海賊たちとはひと味違う!」と言います。ちょっと強い子どもが不良ややくざのアニキに憧れる、みたいな感じですね。

それに対しドフラミンゴは振り向きもせず、「シンボル(海賊旗のマークですね)なら貸してやるよ。ただし、誰かに負けたら返却しろ」と言います。「ホントか?やったあ!」と叫ぶベラミー。本当に単純なガキンチョですね。

「おい、ベラミー!大丈夫か!大丈夫じゃねえよな!」と心配するルフィ。ベラミーは空島へ行く前の街、ジャヤのモックタウンでルフィたちと会い、ぶっ飛ばされてドフラミンゴにシンボルを奪われたことを思い出します。再び強くなってドフラミンゴファミリー入りも約束されながら、コロシアムの戦いを勝ち抜けなかった。でもそんなベラミーにルフィは「変わったよベラミー」と声をかけてくれた。ドフラミンゴにルフィ暗殺を命じられたのに、どうせしくじるからとデリンジャーを差し向けられたことを思い出し、ドフラミンゴに見限られていたことがはっきりします。

そんなことを思い出しているベラミーにルフィは、「わりいけどお前ここで待ってろ!トラ男が心配なんだ。上にはミンゴもハナミズもいる!俺も行かねえとトラ男があぶねえ!お前の分もミンゴぶっ飛ばしてくっからな!」と声をかけて階上へ行こうとします。

しかしそんなルフィにベラミーは「待て!」と声をかけ、モックタウンでルフィと戦ったときに見せた「スプリングホッパー」で部屋の中を飛び回ります。心配するルフィにベラミーは言います。

「黙れ!敵の心配してんじゃねえよ!わかってんだ!憧れる男を間違えたことも!己の惨めさも!てめえの望んだ返事をもらえなかったからと勝手に憧れた男に手のひらを返すようなみっともねえ真似はしたくねえ!マヌケにゃマヌケなりの貫くべき筋ってもんがあんだよ!」ベラミーはもう顔面が崩壊してだだ泣きになっています。

「麦わら!俺の最期のケンカだ!お前が買え!」とベラミーは言います。ルフィはその姿に目を見張るのでした。

ローも熱く知的に戦っていますが、ベラミーはもうシンプルですね。何度傷つけられても捨てられても、「勝手に憧れた」のは自分なので、仕方ないと思っている。そしてドフラミンゴはローよりもましてベラミーよりも圧倒的に強い。そして冷酷で無慈悲です。でも「勝手に憧れた」その自分の気持ちを、ベラミーは裏切ること、捨て去ることが出来ないのでしょう。

しかしルフィは、そんな二人も変えた「熱い男」ですから、きっと命をかけたこのケンカを、買ってくれるに違いない。ベラミーはそう思っているのでしょう。

しかし、ルフィはベラミーに何の恨みもない。むしろ一度戦った思い出から、友情を感じています。そんなベラミーに、ルフィはどうするのか。ケンカを買うのか、それとも助けようとするのか。あるいは第三の道があるのか。

チンピラ、という存在として、ベラミーは大きな役になりましたね。彼がこれからどうなるのか、凄く興味深いなと思います。

それから、ドフラミンゴが面白いなと思うのは、ローにいちいちいろいろ説教するところなのですね。主に「熱くなるな、冷静になれ」と言うことなのですが。一度は一味に加わり、将来を嘱望したローだからこそかわいい、ということもあるのかな、とは思いますし、もともと何というかドフラミンゴには「悪の教師」みたいな感じのところがあります。

ドレスローザでの戦いは、結局ドフラミンゴを倒せるか否かにかかっている、ということが先週号で語られました。

ついに大詰めになってきたようです。

次回がさらに楽しみです!