コミックZERO-SUM2015年1月号
一迅社


コミックゼロサム1月号で「ランドリオール」第139話「ターンオーバー」を読みました!

主人公のアトルニアの公子・DXが前王の孫に当たるユージェニ姫(クレッサールの砂漠の城砦に玉階のクエンティンと住んでいる)に奴隷市場に売られてからの話が続いていますが、前回ラストではようやくクレッサール以外の出来事、アトルニアの首都のフォーメリーでDXのアカデミーの友達・フィルがロビンにルーディーから預かった新王と新王妃への宝飾を見せる場面が描かれていました。

今回はその話からです。

まだDXの両親、リゲイン(ルッカフォート将軍)とファレルの行方不明が判明する前、ロビンをなんとか新王になるファラオン卿(ロビンの父と判明したローハルト卿の父、つまり祖父に当たる)に会わせようとライナス(商人の息子)とルーディー(宝飾師の息子)が画策していたのが、無事即位を終わらせようとするタリオ卿にバレて、ライナスの父・カディスの手によって二人は強制的に国外に留学させられたのですが、その際にフィルはルーディーから宝飾を預かり、さらにライナスの机の引き出しにあった招待状を見つけて、それをロビンに見せているのです。

新しい王は塔に籠って即位の日を待っていて、呼び出された人間だけが会いに行けるという状況。招待状には、「宝飾を新しい王と婚約者のクラウスター(メイアンディア)に直接わたす約束をしている」という内容が書かれていたのです。

つまり、王に会いに行くお膳立ては出来ている、と。ライナスとルーディーはフィルにだけこの計画を話していたので、もし何かあったら自分に計画を引き継がせるつもりだったのではないか、とフィルは言うのです。もし良かったら俺がライナスのフリをして連れてってやる、と。

王は孫がいると知ってて、ただ会ってみたいってだけでも、それだけじゃ済まないんだろう、でも「俺とお前は王城では何でもない、無視されてるただのガキで庶民にしか出来ねーやり方で、こっそり会える最初で最後のチャンスかも」

そういうフィルが言うと、ロビンは「孫だって言えなくてもいい、直接会えたらそれだけで」と一緒にファラオン卿に会いに行くことを、フィルに頼んだのでした。

・・・・・・これは。(笑)

これは、相当なことが起こりそうな気がします。でも逆に「王子と乞食」みたいに、案外簡単に話が進んでしまうのかもしれません。これはひと騒動になることは確かですが、ちょっとワクワクしますね。

一方DX。奴隷状態で鎖につながれて、なんだか頭もぼうっとしている状態。奴隷仲間のボルカの奥さんのナナンに何か薬のようなものをもらって礼を言うと、ナナンは恥ずかしがってどこかへ行ってしまいます。部族の集落なら療士や呪い師がいて直せるんだが、とボルカが言うと、他の部族の集落とこの奴隷市場「黒虹」はどこが違うんだ、とDXが尋ねると、「お前本当に何も知らないんだな」と呆れられます。

一方、ユーハサン砦の六甲、バハル、チレク。いなくなってしまった曲鳴の呪術師を捜して、この街の呪術師の元に行くと、鳥に姿を変えた曲鳴は復讐に協力するという男たちとどこかへ行ってしまったというのです。チレクも曲鳴を追おうとしたのですが、クエンティンにひき渡されたマーニ(リゲインたちを案内し、クエンティンたちにDXたちを捕えさせたのに、盗賊に殺されてしまった案内人の孫娘)が怯えていて放っておけなかった、というのです。

六甲はクエンティンたちと出会った際、DXと同行していたことを知られないように曲鳴に五十四さん(DXのアカデミーでの親友でウルファネアの公子リドの従者の女ニンジャ)の姿に変えられていたのですが、曲鳴がいなくなってしまったので術が解けるかどうか分からなくなってしまいました。呪術師に聞くと、とりあえず解呪を片っ端から試すしかない、と言われます。心配するバハルたちに、六甲はリーチの違いにさえ慣れれば生活に支障はない、と言ってバハルたちを驚かせます。ここは「ないのかよ!」と突っ込みたくなりますよね。(笑)

再び黒虹。そろそろディッツ(DXの変名、母ファレルの姓)を買いに来る奴が現れるはずだ、と黒虹のカリファが思っています。奴隷や客たちを次々投げ飛ばすDXに手を焼くカリファでしたが、そこにヴェールを被った貴婦人めいた女性が現れます。「あんたか。いつもタイミングいいな」というカリファ。奴隷を買いに来た客のようです。「あの子欲しいわ」というマダムに、連れの男が「イエスマム」と言って立ち上がります。

男は「茶番に付き合わせる気か?」と何やら妙なことを言いますが、意識がふらふらしているDXはもうろうとしながらも立ち向かいます。男はDXの体術を受けますが、何か技を発してDXをひっくり返します。「俺は奴隷じゃない…」とつぶやくDXに「知ってるよ、アホ」と答えた男は、


!!!

なんとライナスでした。

一体どこに、誰の元に留学に言ってたんだよ!

という感じですね。

マダムはカリファに「値段交渉といきましょうか」と言い、ライナスは、「覚えとくもんだな裏打ち」と言うのでした。

ライナスの父はライナスたちを送り出すとき、「しばらく商売の先輩に預かってもらう。信頼は出来る。ある意味信用は出来ないが、お前らなら大丈夫だろ」と言っていました。それがこの女性なのでしょうか。

それにまず、なぜDXがクレッサールにいることをライナスが知っていたのか。ライナスたちが国外に放り出されたのはまだリゲインたちが失踪する前のことなんですよね。その辺りのこともよくわかりません。

ライナスはアカデミーで何度もDXに挑みかかってその度に投げ飛ばされていましたが、今回はDXに使われた技を使ってみごとDXを投げ飛ばしたので気分はいいでしょうね。(笑)

しかし、ここでライナスが出てくると、物語は一気に解決編に向けて動き出したなという感じですよね。

この「ランドリオール」という話はユージェニ姫の出現以来、それまで既定路線だった「ファラオン卿の新王即位」という路線に暗雲が立ちこめてきたわけで、大きく言えば「王位継承争い」の側面が出てきたわけですね。DX自身も継承権を持っているのですが、前王の孫で「失われた王女」リルアーナの娘でもあるユージェニが現れて、玉階であるクエンティンがその後ろ盾についた。

そしてこの継承争いには、クレッサールとの戦争と、前王の死による王位の空白と言う20年前の「革命」が深く絡んできていて、リルアーナの騎士であり、狂った前王を止めようとして殺したリゲインは、クエンティンとユージェニの手によってアトルニアに敵対的なクレッサールの部族に引き渡されてしまっています。

そのリゲインたちを探すためにDXは新王の后になる予定のメイアンディアとともにクレッサールにやってきたわけですが、DXは奴隷に売られ、メイアンディアたちはクエンティンたちの砦に取り残されてしまっています。そして自由に動ける六甲は姿を女性に変えられている。(笑)

正直八方ふさがりの状況の中で、身動きの取れない貴族階級のDXやメイアンディアに代わって、フィルがロビンをファラオン卿に会わせようと行動を起こし、行動力ではDXに張り合うライナスがプレイヤーとして現れたということは、これは俄然面白くなってきたという感じです。もちろんライナスに救い出されればDX自身も動けるようになるでしょうしね。

二人とも貴族ではない「庶民のガキ」。彼らの働きで麻のように乱れに乱れた王位争いが決着に向かうのか、さらに混乱に向かうのか。「直系の男子の子孫がいない」ということがファラオン卿が中継ぎとして王位に就くための条件でしたから、ロビンが現れたことは波瀾以外の何物でもありませんよね。

一体これからどういう風に展開して行くのか、さらに楽しみになってきました!