ピアノの森(25) (モーニング KC)
一色まこと
講談社


一色まことさんの『ピアノの森』第25巻を読みました!

モーニングでアナウンスがあった通り、『ピアノの森』は26巻で完結だそうです。

と言うことは、この25巻は最後から二番めの巻、と言うことになります。

表紙がいいです。

描かれているのはカイ、レフ、アレグラ、パン・ウェイ、ソフィー、ダニエル。ショパン・コンクールのファイナリストの面々です。でもダニエル・ハント以外は入賞者なのに、5位入賞のオーブリー・タイスが描かれていない…

よく見ると、左端のソフィーの視線の先に、バラの花があります。表紙をめくってみると、そこには花を差し出す光生が。(笑)そしてその背後には、肩を組んだタイスとオレーシャ・ユシェンコがいるのでした。

へえ!っと思って裏を見ると、右端のレフが話した小鳥に驚いているアン兄弟、そしてアダムスキ、修平もいます。その右側には向井。あれ、っと思ってこちらも表紙をめくると、そこにはドミトリエフもいました。つまり、ファイナリスト12人プラス、予選敗退代表?の光生、一次敗退代表?のアダムスキ、二次敗退代表の修平が加わってる、と言う感じです。

まあ敗退代表ってことはないでしょうけど。この3人はそれぞれ、物語の中で重要な位置を占めてますからね。

でもこの若きピアニストたちが肩を組んで並んでいるこのイラストは、本当に清々しい、いい感じの絵になっているなあと思いました。

次の26巻で完結、ということは帯にも書かれています。

さて、内容はファイナルの最後の演奏者、レフ・シマノフスキが224話から226話まで。227話が結果発表を松ファイナリストたちの風景。228話と229話が審査風景、230話が発表直前の風景、そして231話と232話で発表、と言う流れになっています。

個々の話の感想については、こちらの方に書いてありますので、よろしければご覧下さい。

「ピアノの森」は一筋縄では行かない癖のある登場人物が沢山出て来るのですけれども、それがピアノによって、音楽によって、浄化されて行く、そこもまた一つの大きな魅力だなと思います。

一筋縄でいかないコンテスタントと言えば、その一人は間違いなくレフなのですが、そのレフが自らに向かい合うことで限界を超えることができた、その光景を見られたのはとても良かったです。

また、一筋縄では行かない審査員たちが、新聞記者ハウスネルの仕掛けた「公正な審査」のための仕掛けによって、自らの音楽家としての誇りにかけて審査するという、音楽家の原点に立ち返ることができて、その結果の公正な審査ができたこともまた、大きなカタルシスがありました。

ファイナルの結果は…そう、昨日のブログを読んでいただければ分かるわけですが、本当に素晴らしい結果になっていましたね。

この結果を実現するために、凄くいろいろな設定や出来事があって、そしてその先にこういうストーリー展開があって、本当に凄いなと思ったのでした。

連載時との内容の違い、書き換えは、今回はあまりありませんでした。少なくとも私はあまりめにつきませんでした。

225話、一人で弾こうとしているレフに呼びかけているワルシャワ・フィルの心の叫びが、「レフ!一人で勝負するなよ!」になっていました。連載では「レフ・シマノフスキ!」と呼びかけていたので、わずかな違いですがすっきりしました。

227話は扉でカイが歩いているのが横断歩道だと思っていたのが、ピアノの鍵盤だったことに気がつきました。これは私が気がついていなかっただけです。そしてカイを探す修平の心のうちが、「すべての演奏が終わった後の人ごみの中では・・人捜しは難しい」と語られていますが、これも連載時の言葉がシェイプアップされています。

そして230話のラストシーン、審査員たちが階段を下りてきた場面で「わわわわわ!審査員が降りてきた!」と言う場面は、連載では「わわ!マジかよ!?」でしたので、ここは分かりやすく変えた、と言う感じです。

というふうに、セリフのわずかな違いがあるだけで、絵の描き直しは少なくとも私は気がつきませんでした。それだけ連載時から完成度が高かったということだなと思います。

なんというか、この巻を読んで一番感じるのは、『余韻』なのですよね。

私は連載時に読んで結果を知ってしまっていますから、ああこうだったなあ、そうだったなあ、と思うばかりで、でもラストの結論に向かって一直線に収斂して行く、その雰囲気を思い出すのです。

ぜひ、この感動を、単行本でお読みいただければと思います。

あと1巻で完結、まとめ読み推奨だそうです。(笑)

この感動を共有できる方が増えるのは、私も嬉しいです。