Landreaall 24巻 限定版 (IDコミックススペシャル)
クリエーター情報なし
一迅社

コミックゼロサム10月号でおがきちかさんの「Landreaall」第136話「奴隷 レベル1」を読みました!


135話でユージェニが衝撃ジェムによってDXを気絶させた後、DXの眼前には奴隷商人がいて、これが一体どういう事態なのか、現実なのか幻影なのかすら分からなくて戸惑ったのですが、どうやら現実のようです。


DXは奴隷商人・黒虹のカリファという男に両手に手錠をかけられ、両手を鎖でつながれているのでした。名前は何だ、と聞かれて「ディッツ」と答えるDX。これは母親のファレルの旧姓なのですが、王城で従騎士の訓練に紛れ込んでいたときに使った偽名です。体に触ろうとするカリファに、すっと後ずさってよけるDXでしたが、ふらふらっとして尻餅をついてしまいます。しかしカリファは「あの女」に衝撃ジェムを3発食らってその程度か、と驚いています。


DXは前夜のことを思い出します。ユージェニはDXに迫り、「既成事実」をつくろうとしたのですがやはりその気になれず、結局DXに「奪われながら生かされた」気持ちをわからせてやる、と言ってDXを馬に乗せて、ユージェニがクエンティンと住む城から連れ去ったのでした。


ユージェニは言います。「お前は、私たちが将軍夫妻にしたことを知れば私たちを許さないだろう」と。「父さんたちに何をしたんです」と尋ねるDXに、ユージェニは「アトルニアを恨むクレッサール人たちに引き渡した。それが手を組む条件。それで溜飲を下げるか部族間に内紛を起こすか、いずれにしても命は…」と言い、再びDXに衝撃ジェムの打撃を与えたのでした。


そのことを思い出し、「戻らないと」というDXに、「ハイハイそりゃ無理」というカリファ。お前はあの雌狐に売られたんだよ、といいます。俺を騎士団の駐屯地に返してください、というDX。「アトルニアの騎士に奴隷売りつける馬鹿がいるか」と笑うカリファに、DXは「俺はアトルニアの公子で騎士候補生…」と身分を明かそうとしますが、カリファは聞き入れず、DXが見切れない速度でナイフを口に突きつけます。カリファも相当な使い手であることは間違いないようです。


「人間を鎖でつないで売るなんてクレッサールの長老会議は許しているのか?俺は本当のアトルニア人だ。「灰撒」の長老に許しをもらっている。俺は奴隷商人に跪いたりはしない」というDXでしたが、カリファは両腕に繋がれた鎖を踏みつけ、無理矢理両手をついた形を取らせます。「ここは黒虹。長老はいない。俺が王様。俺の国さ」と。


カリファはさらに畳み掛けます。「いいかディッツ。今までのことはなあんにも関係ねーの。おわかり?この市場は砂漠で一番熱い。逃げたら死ぬぞ。でも俺に逆らったら死ぬよりしんどい目に遭う。」と。DXは震えています。しかし怯えているのではなく、怒りを抑えて考えているという目だ、とカリファは思います。ぞくぞくしながら、「騎士は膝をつかねえって言うが、本当に騎士だったりして!こりゃ珍品だぞ」と興奮するのでした。


DXにとって、鎖でつながれているというのは頭がおかしくなりそうになるほど、嫌悪すべき状況のようです。それは騎士の誇り、ということなのでしょう。戻らないと、と思うDXでしたが、他の奴隷が「ここもそう悪かないぜ。慣れればさ。」と言って水を持ってきてくれます。そしてDXは重大なことに気づくのでした。「竜創が消えてる…」と。


竜創というのは、DXの故郷・エカリープで好きになった盲目のフースルー(歌うたい)を呪縛された樹から解放する為に火竜と戦い、火竜を鎮めた際に出来た傷跡のことで、竜はこの傷を通じてDXを1000年の間守る、と約束していたのでした。しかし、クレッサールに来た際、「葛焚」の呪術師に、クレッサールでは竜創の守りは利かない、と言われていたのです。そして確かに、起こってしまったこの事態。DXは何の守りもなく、隔絶され拘束された状態の中で、また自分の見切れない技と武器を持つカリファを何とかして、国に戻らなければいけない状況に追い込まれたのでした。


一方クエンティンは、ユージェニがDXにしたことに気づいていません。まだユージェニと二人で盛り上がっているのではないか、というようなのんきな?心配をしていたのですが、ユージェニは三日後に戻ると言って二日前に城を抜け出していた、ということが分かります。メイアンディアの部屋もそれとなく探ったけれどもそこにはいない、ということもわかり、どうしたものか、と考えています。


一方侍女に化けていたイオン(DXの妹)は、「転气」(姿を隠す忍術)を使って城の中を探ります。そして、DXが消えたことをクエンティンも気づいてないことを知ります。それをディア(メイアンディア)に伝えます。ディアはイオンが持ってきた厨房の食材に手を出しながら、「六甲が来るまで篭城できそう」と言います。ディアは何か、六甲に作戦を与えたのですね。


クエンティンは何かして来るかな、と言うイオンに、ディアは「とにかく彼を避けて時間を稼ぐ」と言います。「呪いにも天恵にも条件が必要」というディアに、イオンは、「ディア、物知りだね!」と感心し、ディアには指一本触れさせない!と自分の使命を確認します。DXがクエンティンに何かされてなくてよかった、という二人ですが、ユージェニに何かされてないといいけど、と落としています。まあ実際「何かされた」わけですよね。彼女らの想像の外ではありますが…


一方五十四さん(DXのアカデミーの親友・ウルファネアの公子であるリドの護衛のニンジャ)の顔に変えられた六甲(DXの弟のようなニンジャ)は、灰撒の兄妹、六甲を助けてくれその後DXたちを案内してくれたバハルとチンクとともにやってきたユーハサン鎮守で、「メルメルばあさん」を探し当てます。このおばあさんは、アブセントプリンセス・リルアーナ姫(クレッサールとの戦争を起こした前王の娘)のばあやであり、またその娘である小さいユージェニも育てていたのでした。そして六甲はこのメルメルばあさんに、「小さい姫さまにはあなたが必要なんです。ばあやさん行きましょう」と言ってバハルを驚かせます。おそらく、それがメイアンディアからの指示(ないしはメイアンディアの「天恵」による操作)なのだろうと思われます。


メイアンディアの「天恵」はまだあまりよくわからないのですが、人の記憶に作用する力を持っている、ということは分かっていて、「妹大好き」なDXに、アイシャがイオンであることに気づかせないくらいの力があるわけです。本気を出したら一緒に大老の指導を受けているレイを「壊す」力があるくらいですから相当なものなのですが、まだその本当の力は見せていません。おそらく、クエンティンと対決するときにその力が発揮されるのではないかと思いますが、それまでは手の内を明かさないためにも接触を避けている、ように思われます。


今の状況では、なかなかDXに希望は持ちにくい。まあ何とかするかもしれない、という気もしますが今のところは全部八方ふさがりです。リゲインとファレル(DXとイオンの両親)もクレッサールの敵対部族に引き渡されたということしか分かりません。彼らもそう簡単にどうこうということはないでしょうが、しかし事態を打開する力があるかどうかは不明です。ですから希望はとりあえず状況を把握しているディアとイオン、そして鍵になりそうな「メルメルばあさん」を探し当てた六甲ですね。そのあたりから事態は動くのではないか。


あるいは、今どこに行ってしまったか分からないユージェニが、「クエンティンの人形でないことを示す」ためにさらに想像もつかない手を打つのか。そのあたりから事態は動くのかなと思います。


来月の展開もとても楽しみになるのでした!