進撃の巨人 Before the fall(3)
士貴智志
講談社


士貴智志さんの「進撃の巨人 Before the fall」第3巻を読みました!

この作品は諫山創の世界を涼風涼さんがラノベ化し、それを士貴さんがコミカライズしたものです。巨人の雰囲気は諫山さんの絵とはかなり違いますし、またラノベの中でも2巻以降の「巨人の子」キュクロのストーリーが中心になっています。時代設定もエレンたちの時代よりは70年ほど前の出来事ですね。

シガンシナ区に巨人が侵入したときに巨人に食われた調査兵団のヒースの妻、エレナから生まれたために、「巨人の子」と恐れられ、見せ物として売られ、商人ダリオ・イノセンシオに買い取られたキュクロはダリオの娘・シャルルに言葉を教えられ、人間らしさを獲得して行きますが、イノセンシオ邸が「巨人崇拝者」たちに襲われた際、シャルルとともに脱出します。

キュクロは自分がなんであるのか確かめるためにシャルルとともにシガンシナ区へ行き、調査兵団の壁外遠征の荷馬車に紛れ込んで、壁外に出ることに成功しますが、巨人に襲われ、絶体絶命のところをシャルルからもらったナイフと調査兵団のカルロ団長によって助けられ、またキュクロの立てた作戦により荷馬車を爆発させることで巨人の足を止め、辛くもシガンシナ区に帰還することに成功します。

キュクロは「巨人を見ることが目的だと言っていたな。何か得るものはあったのか」とカルロに聞かれて、「あった」と答えます。

キュクロの帰還を喜ぶシャルルでしたが、キュクロはその場でダリオ・イノセンシオ殺しの容疑で憲兵団に拘束されてしまいます。シャルルは意を決してカルロの元に出向き、キュクロの無実を訴える、というところまでで3巻は終わりです。

私はラノベの方を読んでいるのでストーリーは知っているのですが、この立体機動装置もない時代の調査兵団の絶望的な戦いぶりはある意味ものすごいものがありますし、また「巨人崇拝者」というエレンたちの時代の「壁教」とはまた違った狂信者たちの設定もより絶望的な感じがしますね。

この作品の主人公・キュクロは本編でいえばエレンのような存在で、シャルルは本編でいえばクリスタ=ヒストリアが一番近い感じです。シャルルはこの物語の中でただ一人光り輝くような存在で、凄く魅力的なのですが、逆に言えば本編のミカサというのは、今までに見たことのないタイプのヒロインだということだな、と改めて思いました。

それにしても、このストーリーの魅力は、やはり巨人と戦うところだと思いますし、ラノベでは字で表現されていた部分を絵で表現することによってものすごくその迫力が生まれていますし、士貴さんならではの表現でまた新たな世界が生まれていると思いました。

ラノベ本編に出てきたあんな場面やこんな場面が、絵ではどんな形で表現されるのか、それも楽しみです。第4巻を楽しみに待ちたいと思います!