進撃の巨人 悔いなき選択(2)特装版 (プレミアムKC ARIA)
駿河ヒカル
講談社


駿河ヒカルさんの『進撃の巨人 悔いなき選択』第2巻特装版を読みました!

リヴァイ兵士長を主人公にした『進撃の巨人』スピンオフ、「悔いなき選択」も第2巻が出て、ラストを迎えました。諫山創さんが「こちらのリヴァイはきれいです」と描いてらっしゃいましたが、女性作家らしいきれいな線のリヴァイで、「リヴァイ愛」にあふれた作品になったと思います。

ストーリーはアニメ『進撃の巨人』のBDの初回特典についていたビジュアルノベルのコミカライズということなのですが、王都の地下でゴロツキ生活を送っていたリヴァイたちがとある貴族から王都での生活権を得るために調査兵団のエルヴィンが持っていた書類を奪う、という条件を密かに与えられて調査兵団に入団しますが、そのときに与えられた辱めをはらすため、リヴァイはエルヴィンの首を狙っていた、という設定です。

第2巻ではその素晴らしい技術を最初から見せたリヴァイたち3人とともに、調査兵団が壁外遠征に出て、リヴァイたちは初めて自由を実感したあと、ハンジたちに立体機動のコツを聞かれたり、本当に真摯に巨人を討伐することに取り組んでいることを知って、リヴァイの仲間のイザベルやファーランも少しずつ心を動かされて行く、という展開です。しかしエルヴィンから書類を奪うと言う本来の目的を果たし、またエルヴィンに復讐する機会を狙っていたのですが、遠征部隊は大雨に見舞われ、索敵能力を失ってしまいます。

そんな中で、ファーランとイザベルを他の兵団と一緒に行動させ、リヴァイはひとりでエルヴィンを探しに行きますが、巨人に遭遇。ファーランたちが危ないと知ったリヴァイが引き返すと、イザベルはやられていてファーランも巨人の手の中で「あばよ」という感じで手を振り、巨人に食われてしまいます。

選択を間違えたことにやりきれない怒りを燃やすリヴァイは鬼神のような働きですべての巨人をひとりで倒してしまいます。

そこに現れたエルヴィンを脅しますが、エルヴィンは白紙の書類を見せてブラフだった、と言います。駆け引きに巻き込まれて死んだのか、と怒るリヴァイに、違う、巨人に殺されたんだ、というエルヴィン。お前の目は曇ったままか、と呼びかけるエルヴィンを見て、リヴァイは目の前に壁外の広大な風景が広がるのを感じます。自由の風景ですね。

そして調査兵団に入ってともに戦うという新たな選択をしたリヴァイは、彼らとともに壁内に帰還する、そういうストーリーでした。

諫山さんの世界を元に、ニトロプラスの砂阿久雁さんがストーリーを書き、それを駿河さんが漫画化する、という作品でしたが、リヴァイや調査兵団のメンバーだけでなく、イザベル・ファーラン・戦死したフラゴンやサイラムと言ったメンバーも、非常に魅力的に描かれていたと思います。

特装版にはショートストーリーの収録された小冊子がつき、プラスチックのケースもついていますので、嬉しい感じに仕上がっています。

巻末に収録された駿河さんと諫山さんの対談でも、リヴァイが好きですかと言われて0.2秒ではいと答える駿河さんの、やはりリヴァイ愛がすべてを成り立たせた作品だと思いました。