TVアニメーション 進撃の巨人 原画集 第5巻 #19~#25収録 (ぽにきゃんBOOKS)/ポニーキャニオン

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アニメ『進撃の巨人』原画集第5巻を読みました!

アニメ『進撃の巨人』が終わってもう9ヶ月経ちますが、BDのリリースも終わり、原画集もこれが最終巻になりました。今回は19話から最終25話までそれにED2が収録されています。cinema staffの「great escape」が流れるバージョンですね。

19話は女型の巨人を罠にかけることに成功したエルヴィンが「撃て!」と命じる場面と、対特定目標拘束兵器に拘束された女型の巨人、それを見るエルヴィンとリヴァイ、という場面が収録されていました。この場面は迫力がありましたね。またエルヴィンはWITスタジオの富田恵美さんが描いているとか、荒木監督が作成過程について書いているのが興味深かったです。

20話は、謎の人物が立体機動してリヴァイ班に迫り、グンタの首を削ぐところ。この場面が立体機動の場面を中心に11ページも掲載されていて、ずいぶん力を入れて描いたのだなということが改めて分かります。

21話が圧巻です。グンタの死に激昂して凄まじい表情、凄まじい勢いで女型を削いで行くエルド、オルオ、ペトラ。表情もアクションも素晴らしく、13ページに渡ってその描写が続いたあと、今度は女型の反撃。ひとりひとり、確実に殺して行く場面が凄まじいです。戦慄し、後悔するエレン。

そして怒りに任せて女型と戦う巨人化したエレン。その描写が27ページに渡って続きます。リヴァイがあの恐ろしく静かな表情でリヴァイ班ひとりひとりの死を見つめて行くあの場面も含まれています。そして女型に食いちぎられ、連れ去られようとするエレン、という場面に現れたミカサ。

このミカサの表情、原画で見るといっそうその悲壮さが際立ちます。原作では横顔でしたが、アニメでは王道の正面画。その表情が正面を向いたまま凄まじい怒りの表情に変わる、この辺りは今原画集を見るだけで、いや、原画だからこそさらにということでしょうか、戦慄を覚え、涙が出そうになります。このアニメには素晴らしい場面がいくつもありましたが、ここも本当に屈指の場面だと思います。「エレンを、返せええええええええ!」という石川由衣さんの声がまざまざと蘇ります。それが10ページ続いたところでミカサがリヴァイに抱きかかえられる形で制止され、今度はリヴァイの超高速回転の女型攻撃が3ページ続きます。21話は全部で64ページもかけられていますが、それだけ素晴らしいアクションシーンが続いた回だったのだなと改めて思いました。

22話はリヴァイが女型を攻撃し、エレン奪回に成功する場面が7ページ、アクションが中心で、女型が涙を流す場面がなかったのがちょっともの足りなかったかなと思いますが、この原画集では基本的に止め絵の場面より動きのある場面が中心的に収められているので、原作・アニメの印象とはまた違う角度から見直せるように思います。そしてペトラの遺骸が馬車から放り投げられる場面、カラネス区に帰還した調査兵団たちが下を向き、荷馬車で運ばれているエレンが涙を拭っている場面が合計2ページ取り上げられています。この敗北の苦さも凄く印象的でしたよね。

そして23話、地下道を通ろうとしてアニが行かない言い出すときのエレンの表情、「不毛」と言って刀を抜くミカサ。そして不意に笑い出すアニ。あの原作と衝撃的に異なった23話終盤の場面が丁寧に収録されています。アニの表情の変化が克明に描かれていて、これは買い物だったなという感じです。そしてアニをとらえる調査兵団、その隙を見て巨人化するアニ。23話は9ページに渡って収録されています。

24話はまず紅茶をあの持ち方で飲む兵長。けっこう書くのが難しいそうです。そして地下道の中でエレンに「戦わなくちゃダメでしょ」と迫るミカサのあのブラックな表情。アニの左ハイキックと重ねられる女型のハイキック。ジャンの立体機動、女型を補足装置で捕まえられそうになって目が泳ぐハンジ。ネットで拘束された女型、凄まじい形相でついに巨人化するエレン。原作のよい場面もアニメオリジナルな部分も、それぞれ収録されています。全12ページ。

最終25話は、まずこれもアニメオリジナルの廃墟の街を歩く血を流した少女からはじまり、女型と巨人化したエレンとの戦い、壁を登る女型と、それを追いかけて「アニ…落ちて」というミカサの表情。アニメではここで優しさの要素が入り込んでいるのがちょっと私はどうかなと思っていて、原作の冷静な表情の方が、私は好きなんですが、まあそれも考え方でしょうね。この次にアニとアニの父親との別れの場面がありますので、それとの対比ということもあるでしょう。そして結晶化したアニ、巨人からエレンを取り出すリヴァイ。そして最後の場面、病室で話すエレンとミカサ、最後にがつがつと食事を食べるエレンの場面。これはフード理論を意識した、と荒木監督が書いています。

壁の外の空を見上げるアルミン、眠るエレン、「今度は我々が進撃する番です!」と宣言するエルヴィン。それぞれワンシーンずつ取り上げられていました。25話は全部で21ページです。

そしてEDが8ページ。私は後期EDが凄く好きで、それだけでも何度も見返しているのですが、本編とは違う調子の絵柄が、また素晴らしいなと思いました。

そして監督の荒木哲郎さん、助監督の田中洋之さん、肥塚正史さんの対談。荒木さんが、原画集ではいちいちスタッフの名前を挙げてここがよかった、と言っているのは、荒木さんがふだんはスタッフに声をかけるのが苦手で、この機会に言いたかったことをまとめてほめておこう、という意図があるんだと言うことが書かれていてなるほどなあ、と思いました。

原画集まで買う人はそんなに多くないかもしれませんが、これはこれでまた凄く楽しめます。「シドニアの騎士」の3DCGとはまた違う、基本2Dのアニメがどこまでいけるかという、ある種の限界に挑戦した記録として、大変楽しむことが出来ました。