進撃の巨人(13) (講談社コミックス)/講談社
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別冊少年マガジン7月号で諫山創さんの『進撃の巨人』第58話「銃声」を読みました!


今日は月に一度の『別冊マガジン』発売日。朝早くに買いに行きましたが、何度か読み返して、もうお昼近い今になってようやく感想を書いています。


以下、内容に触れることになりますからネタバレということになりますので、どうぞご注意ください。


第一憲兵をとらえ、彼らの要求するエレンとヒストリアの身柄を渡して彼らを尾行することにより、その終点にいると思われるレイス卿(ヒストリアの父)にたどり着こうとした調査兵団でしたが、彼らを護送するはずだった調査兵団に取り込まれたリーブス商会の会長は殺され、リヴァイと因縁のあるらしいアッカーマン隊長(切り裂きケニー)に二人を奪われ、またリーブス殺しの罪を着せられます。


エルヴィンは捕えられ、エルヴィンに次期団長に指名されたハンジはリーブスの息子・フレーゲルを捕まえて逃走。リヴァイ班とハンジ班の面々はエレンとヒストリアを乗せた馬車を追いますが、ケニーたちにハンジ班の3人は殺され、リヴァイにもケニーが迫ってくる、というところからが今月。


リヴァイはとっさに対巨人用の超高速スチールをケニーに投げつけ、それをよける瞬間にできた一瞬の隙にマントを翻してケニーの散弾をよけます。このときケニーは「バキューン」と叫んでいて、なんだか子供みたいです。リヴァイはニファがやられたことを悔しがりますが、その場から逃げます。リヴァイは自分の行動がケニーには読まれている、このままではどうすれば、と思いますが、対人立体機動で追ってくる追手は複数でやたらと銃を打ち込んできていて、対巨人用立体機動で逃げるリヴァイは顔面を怪我します。

とっさにリヴァイは酒場に逃げ込みます。ここはカタカナの逆さ文字で「ストヘスサカバ」と書かれています。リヴァイはカウンターの下に逃げ込みます。


やがてケニーが散弾銃を両手に、「みーつけた!憲兵様が悪党を殺しに来たぜ!バン!バン!」と騒ぎながら酒場に入ってきます。


「なんだ?いねえのか?」と叫ぶケニーに、リヴァイはカウンターの下から話をします。「憲兵を殺しまくったあんたが憲兵やってんのか?ハッあんたの冗談で笑ったのは正直これが初めてだ」と言います。


お前は袋の鼠だ、というケニー。「どうしてお前が調査兵になったか、俺には分かる気がするよ。俺らはゴミ溜めの中で生きるしかなかった…世界はどうやら広いらしいってことを知った日はそりゃ深く傷ついたもんだ。だが、やりたいことが見つかったんだ。単純だろ。実際、人生を豊かにしてくれるのは「趣味」だな。」「俺の部下の頭をふっとばしたのもあんたの趣味か?」「ああ、大いなる目標のためなら殺しまくりだ」


とトンチキな会話を繰り広げながらリヴァイは酒瓶を鏡にケニーの姿をとらえ、カウンターの下にあったライフルを後ろ向きのままカウンターの上からケニーに向かって発射し、ケニーの胸に命中させます。


外で待ち伏せしている第一憲兵たちの前にケニーが弾き飛ばされると、窓から飛び出したリヴァイは立体機動のアンカーを待ち伏せしていた兵士に打ち込み、とらえた兵士を盾にしてあと二人の兵士の方へ突進し、弾を防ぎながら二人を斬撃してその場を逃れます。


エレンたちの連れ去り現場にもいた謎の長身の女が「アッカーマン隊長、やっと死んだんですか」と言いながらケニーに近づきます。この口の悪さが進撃の巨人の魅力ですね。ケニーは死んでいませんでした。「どチビなりに成長してたらしい。こりゃ簡単じゃねえぞ」と言います。「よかったですね」という女に「ああ?いいわけねえだろ。俺の夢が遠のいちまうだろうが」というのでした。


このケニーというキャラ、今まで進撃の巨人には出てこなかった型破りのキャラですね。諫山さんが楽しんで書いたという感じがよくわかるキャラです。野蛮で、子どもっぽくて、やかましくて、下品で、人を殺しまくりますが冷徹な殺人鬼という感じではなく、変なおっさんという感じです。ある意味真面目なキャラの多いこのマンガの中では、特異なキャラクターだなと思います。


一方ストヘス区の壁の外で待機している104期たち。銃声が近づいてきたことで作戦を変更し、荷馬車でエレンたちが乗せられている霊柩馬車を追跡することになります。霊柩馬車が来たのでそれを追おうと動かし始めると、リヴァイとそのあとを追ってくる憲兵たちが立体機動で城門をくぐって出て来ました。リヴァイに銃が撃たれ、それをよけたリヴァイはアンカーを射出して憲兵の腹に突き刺し、それを手繰り寄せると、対巨人用ブレードで憲兵の胴を真っ二つに裂きました。それを見ているミカサ、コニー、サシャ、ジャン。人を殺したくない、と思っているジャンは、明らかに動揺しています。リヴァイが合図を送り馬車が左に曲がると、リヴァイが馬車に乗りこんできます。


そして霊柩馬車はもう追うな。いったんエレンとヒストリアを諦め、この場を逃れることを最優先する、と指示を出します。アルミンが馬車を操り、平地を目指させ、サシャとコニーは馬を牽引し、ジャンは荷台から銃で応戦。ミカサとリヴァイが立体機動で闘争の支援、と役割を振ります。エレンとヒストリアはどうする、というミカサにまず自分たちが生き延びることだ、と言います。敵を殺せるときは殺せ、というリヴァイにミカサは一瞬あって了解、と言います。ジャンは動揺し、リヴァイもそれに気づいたようです。


追ってくる憲兵が荷馬車に追いつき、御者台のアルミンに銃を向けます。それに気づいたミカサが蹴りを入れて荷台に叩き落します。ジャンは憲兵に「動くな!」と言います。撃てないんですね。憲兵はジャンの銃を弾き飛ばし、ジャンに銃口を向けます。そして銃が発射されました。ジャンの帽子がはじき飛び、血が吹き飛びます。


何が起こったのかはわからないのですが、ミカサが救援に向かい、アルミンが懐から何かをとり出しているのが見えます。ジャンの命運やいかに、というところです。


一方、エレンとヒストリアはついに最終地点、つまり本当の王、ロッド・レイスのもとにつきます。エレンの棺を開けたのは、ケニーのようです。そしてロッドがヒストリアの猿轡を外します。ヒストリアがロッドをにらみつけますが、エレンが「こいつか俺たちの邪魔をする奴は…人類の敵め。ヒストリアの話を聞く限りこいつはクソ野郎で間違いねえ!」と思うのに反し、ロッドは「ヒストリア。今まですまなかった」と謝り、ヒストリアを抱きしめるのでした。


今回は、前半が24ページもかけてリヴァイの対人戦闘能力の高さが半端でないことを存分に見せ、17ページかけて104期の逃走、特にジャンの逡巡を存分に見せます。そして、最も謎の濃いロッドとケニーがエレンとヒストリアを迎える場面は4ページ。実際のところ、ロッド・レイスが何を考えているのか、何を知っているのか、全く見当がつきません。謎はさらに深まっていく感じがしました。


ケニーとロッド、この二人は物語の核心に相当関わっているのですけれども、ケニーの言う「やりたいこと=夢」とはなんなのか、ロッドがヒストリアに謝っているのはなぜなのか、わからないことだらけです。


調査兵団、エルヴィンの調査が続行不可能になった今、謎の解明は彼らが自ら語ることによってしかなされないのかもしれません。そしてジャンたちは対人戦闘を続けることができるのか。


単行本的には、今回が14巻の最終話になります。ですから新たな謎の提示で巻を閉じたことになりますね。今後の展開がどうなるのか、先も気になりますが、今月もハラハラさせられる展開でした!