進撃の巨人 悔いなき選択(1) (KCデラックス)/講談社

¥463
Amazon.co.jp

月刊『ARiA』7月号で、駿河ヒカルさんの『進撃の巨人 悔いなき選択』第7話「3人」を読みました!

今年の1月号、つまり昨年末から始まった『悔いなき選択』も、そろそろ大詰め。コミックス1巻は60万部を突破したといいますから、スピンオフ作品の中では異例の大ヒットと言っていいでしょう。

このストーリーは本編でも活躍中のリヴァイ兵士長がどのようにして調査兵団に入ったか、そのいきさつを描いています。当時リヴァイは都の地下に暮らす「ゴロツキ」だったわけですが、仲間たちとともにエルヴィンにその能力を見いだされ、拾われたわけです。しかしリヴァイたちがそれに応じたのは、ある貴族の依頼、とある書類をエルヴィンから奪い取ること、を受けることによって自分たちが王都の地上で暮らす資格を得る、という目的があったからでした。そして、リヴァイはエルヴィンに捕えられたときの屈辱的な扱いを忘れず、必ず殺す、と思っていたのです。

しばらくの訓練のあと、リヴァイたちは調査兵団の一員として壁外遠征に出、3人のすばらしい連携で巨人を倒す技を見せて兵団員たちを感服させます。また一方、リヴァイたちも彼らの生命も顧みない巨人を倒す意志に、何かを感じ始めていました。

リヴァイたちは、隙を見てエルヴィンを襲い、書類を奪って殺害して、壁内に無事に帰還するというプランを描いていましたが、エルヴィンの見事な「長距離索敵陣形」によって安全に移動していると思っていたところを豪雨に襲われ、お互いがお互いを把握できないような状況になってしまいました。第7話はここからです。

班長のフラゴンたちと離れてしまったリヴァイ、ファーラン、イザベルの3人。大雨の中、とにかく前進します。そしてファーランは重要なことに気づきます。「もしエルヴィンが巨人に食われたら書類を回収できねえ」と。奪うには中央まで行くしかない。そのとき、フラゴンの音響弾がきこえます。リヴァイは考えます。3人で行けば、残された班が手薄になる。一人で行けばまた合流できる保証はない。どっちだ。 

「……選べ」

リヴァイは思います。二人を生かしたい、そしてエルヴィンを倒したい。そして「選択」します。「俺一人で行く」と。フラゴン、サイラムと4人でいた方が生き残る確率が上がる、と。ファーランは「こんな状況でどこから巨人が現れるか分からん。単独は危険だ!」とリヴァイを止めます。リヴァイは、「俺なら一人でやれる!俺を信じろ!」と二人を制します。

「それは命令か?」と聞くファーランに、リヴァイは「命令?どうしてそうなる?俺はお前らを…」と戸惑います。笑い出したファーランは、「いいぜ、お前を信じよう。死ぬなよ」イザベルも「兄貴絶対戻って来てくれよ」と言ってリヴァイを送り出し、二人はフラゴンたちとの合流を目指します。

一方リヴァイは視界がほぼゼロの中、陣形をたよりにエルヴィンのいる方角を目指して馬を進めます。「俺が行くまで死ぬなよ…」と。

ファーランたちは無事フラゴンたちと合流します。リヴァイがいないことを心配したサイラムに、イザベルは「兄貴は戻ってくる、絶対に!」と叫びます。

リヴァイが見つけたのは、その位置にいたはずの陣形の兵団員たちが巨人に惨殺された痕でした。リヴァイは瞬時に情勢を悟ります。襲った巨人は4~5体。足跡が自分の来た方角に向かっている。ファーランたちが危ない、あの数では彼らの手に余る、と。リヴァイは逃げて来る馬とすれ違います。

一方、すでにサイラムは巨人に襲われ、口の中に放り込まれていました。リヴァイは彼らを目指して馬を駆ります。いったん巨人を撒くんだ、というファーランも巨人をよけようとして落馬します。馬を急がせるリヴァイですが、馬がつまづいて転んでしまいます。リヴァイはとっさに飛び上がって落馬を逃れます。ファーランを襲おうとする巨人にイザベルが挑んで行きます。「兄貴の分まで俺が全部守る!」と奮闘するイザベルでしたが、うなじへの斬撃は少しずれてしまいます。しかし雨で足を滑らせてしまったところを、イザベルは巨人に食われてしまいます。「あに き」という言葉を残して。それを見たリヴァイは取り返しのつかないことをした、という思いにとらわれます。

一方ファーランはその仇を取ろうと立体機動に移りますが、落馬の衝撃か装置が動きません。そこにフラゴンが立体機動で現れ、「部下を捨てて逃げるわけに行くかよ!」とファーランを逃がそうとしますが、結局巨人につかまってしまいます。

「ファーラン!」リヴァイは思います。「みんな死なせてしまう。俺の選択は間違いだった」と。リヴァイに向かって手を挙げたファーラン。飛びかかって行くリヴァイでしたが一瞬遅く、ファーランは巨人の口に噛み砕かれてしまいました。

リヴァイ兵士長の本編での重要な台詞に、エレンに対して「選べ。自分の力を信じるか、俺たち調査兵団の力を信じるか。俺には分からない。ずっとそうだ。自分の力を信じても、信頼にたる仲間の選択を信じても、結果は誰にも分からなかった。だからまあせいぜい、悔いが残らない方を自分で選べ」というのがあります。

そう、これがリヴァイの、最も悔いの残る選択の一つだったのでしょうね。

次回はクライマックスだそうです。楽しみにしたいと思います!