極黒のブリュンヒルデ Blu-ray BOX II/バップ
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アニメ『極黒のブリュンヒルデ』第5回を見ました!


「研究所」に極秘に改造された「魔法使い」の少女たち。彼女たちはそれぞれ普通の人間にない能力=「魔法」を持っていますが、首の後ろに「ハーネスト」と呼ばれる機械が取り付けられていて、その中には正体不明の「宇宙人」が棲息しています。そしてハーネストには三つのボタンがついていて、一つはそれを押すとハングアップして魔法が使えなくなるボタン、もう一つはそれを押すと死んでしまうリジェクトボタン。三つ目のボタンは、まだわかりません。


この設定は、はるか初代『仮面ライダー』に遡る「悪の組織によって改造された改造人間が脱出し、その組織と戦う」という伝統を引き継ぎ、近年の数々の「一番弱い存在であるはずの少女が一番決定的な力を持っていて、その繊細な心を持って仲間や家族を守るため強力な敵と戦う」という「最終兵器彼女」と「魔法使いサリー」以来の少女を主人公にした魔法使いもの、それにアクションが加わった『美少女戦士セーラームーン』などの歴史の上に成り立っていると思います。


美少女戦士ものに関しては私はアニメをあまり見ていなかった時期なのでよくわからないのですが、魔法とアクションが合体して「魔法少女」ものができ、『極黒のブリュンヒルデ』はその先にあると言えるんじゃないかと思います。


こういうアニメの系統に関しては、たぶんいろいろと研究されている方がいるのではないかという気がしますが、いろいろな人間存在の特徴や心性を考える中で様々なバリエーションと時代の変化に伴って様々な形に「進化」していくのが面白いなと思います。


また、この作品の大きな特徴は、魔法使いは一日一回「鎮死剤」という薬を飲まないと死んでしまう、という設定にあると思います。研究所を逃げ出し、鎮死剤を手に入れることが困難になった彼女たちは常に死と隣り合わせに生きている。まあ、人間というものは本来そういうものですが、それでも文明の発達によって思いがけないことが起こらない限り、今日明日に死ぬということを、普通に生きている人間が考えずに済むようになっています。彼女たちはそうではない。


それがテーマにもつながっているわけですが、『極黒のブリュンヒルデ』では、「仲間のために戦う」こと、そしてその究極としての「自己犠牲」が大きなテーマになっていると言えるでしょう。特に、研究所を脱走して日本のどこかで逃げ回っている「魔法使い」の少女たちの連帯意識には、強いものがあります。


今回も、しのという魔法使いが研究所によって送り込まれた「キカコ」という魔法使いによって諏訪湖畔のような場所を追われていて、主人公の村上良太と魔法使いの寧子が「どちらかが死ぬ」という予言にもかかわらず彼女を助けに来るのですが、間に合いません。キカコの火炎放射のような攻撃でやられてしまいます。しかし、新しく彼らの「天文部」に加わった1年生の魔法使い、鷹取小鳥(自分と誰かの位置を入れ替える、転移の魔法を使える)がしのを助けに来てしまうのを見て、寧子はキカコと対峙します。キカコの攻撃を受けながらハングアップのボタンを押すことを狙いますが、小鳥は自分の体を街灯に括り付けています。それを見た良太は、小鳥が自分と寧子を転移させて自分が犠牲になることを考えていると察します。そしてその瞬間別の考えが浮かび、小鳥にことりとキカコを転移させるように言ったのでした。


すんでのところでキカコと入れ替わった小鳥が寧子の前に現れ、街灯に縛られたキカコはハングアップボタンを良太に押されて、動けなくなってしまったのでした。


その場から去ろうとした3人でしたが、小鳥がいなくなってしまいます。なんとか小鳥を見つけた良太と寧子。小鳥は、もう誰かの鎮死剤をもらってその人の命を縮めたくない、と言います。小鳥は一緒に逃げていたちえが鎮死剤を飲まずに死んで、自分を生きながらえさせてくれたことに強い負い目を感じていたのです。良太は、なくなったらまた薬を手に入れてやる、と励まして小鳥に鎮死剤を飲ませたのでした。

翌日の新聞にはキカコのことなどは全く触れられておらず、何者かの強い力で事件は隠蔽され、研究所の九(いちじく)はキカコを連れて去りました。そこに現れた警察は長野県警でしたから、場所はやはり長野県という設定なのですね。


暑くなった翌日、天文台では少女たちが水を掛け合って遊んでいます。濡れた服を着た彼女たちが胸を見せたところに良太が現れる、という萌え設定でしたが、良太の買ってきた食材を使ってみんなで肉じゃがをつくり始めます。これはキャンプみたいで楽しそうですね。


まあこれが演出上の特徴で、少女たちのキャラクターにそれぞれ属性として与えられた萌え要素を遺憾なく発揮させる萌えアニメだということも言えます。夜10時放送なので本当の子どもは見ないと思いますが、すぐ裸を出しますし乳首も見せるのですがキラキラで隠す(モザイクでなく明るくして隠すという演出はほかにもあるのでしょうか)という形になっています。


良太は彼女たちの了解を得て、協力者を加えようとします。それは「信濃大学」の研究室にいる、ちょっと変わった化学者、柱谷小五郎でした。魔法使いの存在など、まったく信じない小五郎に、寧子の破壊の魔法を見せ、「いのちを賭ける価値がありそうだ」と言わせた良太でしたが、メガネを取った小五郎の目つきは尋常ではなく、確かに人間性に難がありそうな感じでした。(笑)


今まで、少女たちばかりが増えていくハーレム的な状況でしたが、ようやく男が増えてちょっとホッとするというか、でもあまりにイカレテいる感じでさてどうなっていくかというところです。


まあなんというか、制作者の側の「これを見たいんだろう、うりゃうりゃ」みたいな感じが見えすぎるところが難と言えば難なのですが、まあエンターテイメントというものはそういうものだと言ってしまえばそういうものなので、それが見たい人にとっては特に文句もないでしょうし、今回も「使えないと思っていた転移の魔法」がかなり絶対的な力を発揮させることができる強力な魔法であったこと、その使い道を見つけたというところがなるほどと思いました。


だんだんこの作品の見方が分かってきた気がします。来週も楽しみにしたいと思います。