ARIA (アリア) 2014年 06月号 [雑誌]/講談社
¥710
Amazon.co.jp


『ARiA』6月号で駿河ヒカルさんの『進撃の巨人 悔いなき選択』第6話を読みました!


この号は、単行本1巻におさめられた4話までの続きが読めるように、第5話と最新の第6話が掲載されています。この方式も最初別冊マガジンで『進撃の巨人』単行本の続きが読めるように企画されているのを見てへえっと思ったのですが、すっかり定着してきた感がありますね。確かに新しい単行本を買って、続きを連載で読みたいと思ってもギャップがあると興そがれてしまう、ということはあるので、いい方法だなと今では思います。もちろん月刊誌でなければできないことではあるし、相当な人気作品だからこそやれることではあるのですが。


第5話では壁外遠征に出たキース・エルヴィン率いる調査兵団と、リヴァイ・ファーラン・イザベルの3人が古い城跡で休息を取る場面から始まり、ハンジをはじめとする調査兵団がリヴァイたちの戦い方に興味を示し、賞賛するさまが描かれていました。


一方でリヴァイたちが調査兵団に潜り込んだきっかけ、ある貴族からの働き掛けでエルヴィンがリヴァイたちをとらえて調査兵団に入れようとしているので、それを使ってある書類を奪って来い、という依頼についても語られました。


それに積極的だったファーランたちにとって、地下を脱出して王都で暮らせる権利を得られるというその貴族の申し出は、大きなチャンスのように思われたからでした。


第6話ではまず壁外調査出発前の「長距離索敵陣形」についての説明から始まります。これは本編でも出て来たエルヴィン考案の陣形ですが、それを聞いてリヴァイたちもこの作戦が本格的なものであることを理解します。


リヴァイたちの属する班の班長・フラゴンは改めて班員にこの作戦について説明しますが、結構イザベルがノリノリになっています。そしてフラゴンは調査兵団を取り巻く厳しい情勢について説明し、「必ず成功させて次への道標とするぞ!」というフラゴンの檄に、思わず「心臓をささげる敬礼」をするのです。それを見ていたファーランとリヴァイは複雑な顔をします。


城跡に宿泊している夜、リヴァイの頭の中には様々な言葉、人の表情が浮かびます。ファーランが「こんな完成された陣形の中では列を見だすことは難しい、とにかく生きて帰ることに集中しなければならない」といいます。それに対し、イザベルは、「書類はもちろん大事だけど、あいつらの邪魔にはなりたくない」というのです。


このイザベルの「変化」が三人の心の中の『変化』を最もよく表している、ということなのでしょう。


「俺、ここのやつらがこうやって壁外に来る理由がなんとなく分かった気がする。壁を越えるのは、俺たちが地上に行きたいって上を目指すのと似てるんだ。地下の友達にも上を夢見たまま死んだやつはたくさんいる。そいつらを見て絶対上に行ってやると思った。」

それは「巨人をぶっ殺しに壁の外に出るのと似てるか」とリヴァイは言います。イザベルは「今日みんなと話してあいつらにはまた壁外で暴れてほしいと思った」と言って寝てしまいます。ファーランは、心を動かされた顔をしながらも「お前たちが心臓をささげるとか言い出す前に、書類を奪う計画を立て直さなきゃな」とあきれた声を出します。


そして翌日、長距離索敵陣形に従って部隊をどんどん進めるエルヴィンの統率にリヴァイたちは正直に「見事なものだ」と感心します。しかしそこに、ものすごい大雨が襲い、信号団も上がらず、索敵の機能は失われてしまったのでした。


この物語は、このイザベルのセリフに代表される変化が3人に、特にリヴァイに起こり、どのように本編のリヴァイになって行ったのかという物語であるわけですが、それを正直で気のいいイザベルというキャラクターに代表させて表現させるのはいいな、というか気持ちがいいなと思いました。


リヴァイは基本的に何を考えているのかあまり分かりにくいキャラクターです。そしてイザベルという女性でしかもリヴァイを兄貴として慕う割とシンプルなキャラクターがこの『進撃の巨人』シリーズに現れたのは最初のころはちょっと場違いな感じがしていたのですが、なるほどこういう役目だったのだなと今では納得した感じです。


おそらくは単行本2巻分、8話までで終わりになるストーリーだと思いますが、ラストをどのように盛り上げていくのか、楽しみにしたいと思います!


なお6月号にはB3版の大きなリヴァイのピンナップポスターが付録でついています。これはARiA4月号の表紙のイラストレーションが使われています。


駿河版リヴァイのファンの人には、嬉しい付録だと思います!


ARIA (アリア) 2014年 04月号 [雑誌]/講談社
¥669
Amazon.co.jp