One piece (巻6) (ジャンプ・コミックス)/集英社

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尾田栄一郎さんの『One Piece』第6巻を読みました!

前回は5巻の41話まで、ルフィたちがウソップとウソップの村を出航するところまでの感想を書きました。

カヤの執事・メリーさんがデザインしたゴーイング・メリー号をもらったルフィたちは、ウソップ(絵がうまい)の描いた麦わらの海賊マークの旗と帆を掲げ、グランドラインを目指します。そしてウソップが大砲を打つのも上手いと言うことがわかって、ウソップは狙撃手になります。ルフィが船長、ナミが航海士、ゾロが戦闘員、あと一人、腕のいいコックが必要だということになります。

そこに乗り込んできたゾロの元部下・ヨサクとジョニーに教えられたグランドラインの近くの海上レストランを目指すことになります。

そこに居合わせた海軍のフルボディ大尉といざこざになりかけ、撃たれた大砲の弾をゴムゴムの風船で跳ね返すとそれが海上レストランに命中してしまい、ルフィは謝りに行きます。そこにいたのはオーナー兼料理長のゼフ。不敵な面構えの片足の男でした。

一年間雑用をしろと言うゼフに、一週間に負けろと言うルフィ。バタバタやっているうちに床が抜け、二人は客室に落下してしまいます。そこでは副料理長のサンジがコックと料理を馬鹿にするフルボディ大尉を締め上げていて、「(お金を持ってくる)お客様は神様だ!」というのがモットーのコック・パティと言い合いになっていました。

すると今度はその場に東の海(イーストブルー)で最強の海賊・クリーク一味のギンが入ってきて場を制圧しようとしますが、あっという間にパティにたたき出されます。海軍が手こずった男をあっという間にたたき出した「戦うコックたち」の力に、フルボディ大尉はこそこそと逃げ出します。そしてたたき出されたギンに、サンジはそっとうまい飯を食わせてやるのでした。ギンは面目ねえと言いながら、こんなうまい飯は初めてだ、と感動しながらかき込みます。

それを見ていたルフィは「おもしれえ奴を見つけた」と、サンジに俺の仲間にならないか、と言います。サンジは、オーナーは元海賊でコックも荒くればかりだが、俺はこの店で働く理由がある、と断ります。ルフィは雑用で働くことになりますが、そこに客としてゾロとナミとウソップが来て、ルフィをからかいます。ナミを見たサンジは目をハートにして、いきなりナミにサービスを始めます。サンジは美人に異様に弱いのです。自分の分を無料にさせたナミにゾロは「魔女かてめえは」というと、ナミは「あんたたちも十分気をつけるのよ(はあと)」と笑います。

その二日後、クリークの海賊船が海上レストランに現れ、船長のクリークが飯を食わせてくれとやってきます。海賊船はぼろぼろで、いかにも哀れだったので、反対を押し切ってサンジはクリークに飯を食わせます。すると元気になったクリークは、いきなりこのレストランを乗っ取ると言い出します。そしてクリークの部下100人に飯を食わせろと。しかしサンジは、それでも海賊たちに飯を食わせると言い出します。「食いてえ奴には食わせてやる。コックってのはそれでいいんじゃないか」と。しかしパティたちはサンジをのしてクリークと戦いますが、船長のゼフは百人分の飯を用意してクリークに渡します。

サンジだけでなくゼフも、腹が減った奴らには無条件に優しく、まずは飯を食わせてやるのです。「腹を空かせた奴に飯を食わせるまではコックとしての俺の正義。だけどこっから先は腹一杯の略奪者。これから俺がてめえの仲間をぶち殺そうと文句はいわせねえ」それがここで語られている、サンジとゼフの哲学です。

この話、ちょっと突飛かもしれませんが、「アンパンマン」の哲学に通じるんですね。「とにかく誰にでも通用する絶対的な正義は、おなかの空いた人に食べさせること。」と作者のやなせたかしさんは書いていました。そのために自分の顔まで食べさせてしまう。この辺りのことは後の伏線でもありますが、一つの絶対的な正義として語られていることは覚えておいてもいいことだと思いました。

クリークはゼフの顔を見て驚きます。ゼフは、クリークたちがグランドラインで酷い目に遭い、落ち武者となって帰ってきたことを見抜きます。ゼフは実は「赫足のゼフ」という海賊で、グランドラインを1年間走って無傷で帰ってきた凄腕の海賊だったのです。しかし片足となったゼフはかつての力がない、そう思ったクリークはゼフに「その時の航海日誌をよこせ」と言います。ゼフは断ります。

クリークが食糧を持って自分の船に帰ったあと、ギンはルフィにグランドラインの恐ろしさを語ります。グランドラインでクリーク一味は、たった一人の男に50隻の艦隊を壊滅させられたのです。「それは鷹の目の男に違いない」とゼフはいいます。ゾロは色めきだちます。その男こそ、ゾロが立ち会うことを念願していた世界最強の剣士だったのです。

クリークとの戦闘が始まろうとしていたまさにそのとき、クリークのガレオン船がまっぷたつにされます。自分たちの船を心配するルフィたちの前に溺れそうなヨサクとジョニーがバタバタしていて、「船はナミが宝を持って持ち逃げした」と告げました!まさに「あんたたちも十分気をつけるのよ」という事態です。(笑)

「もうあんな女放っておけ」というゾロに、ルフィは「俺はあいつが航海士じゃなきゃ嫌だ!」と言います。ゾロとウソップがナミを追って舟を出そうとしたまさにそのとき、鷹の目の男が現れたのです。

この辺り、いくつもの話が錯綜して、しかもその一つ一つが面白く盛り上がってしまうので、まるでストーリーに酔った感じになってしまいます。このストーリーは全体でいえば、グランドラインの恐ろしさ、逆に言えば冒険としての尋常でないすごさを存分に語っているわけです。

ゾロは「鷹の目の男」に立ち会いを望み、去って行ったナミは涙を流しながら「また逢えるかなあ、また逢ったら仲間に入れてくれるかなあ」と言います。ナミも何か訳ありであることがわかります。

鷹の目の男ととゾロの戦いは一つの話のピークになりますが、今日はここまで(50話まで)にして、そのことはまた改めて書こうと思います。