ONE PIECE STARTER BOOK 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)/集英社
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別のブログに掲載したのですが、やはりこちらにも掲載することにしました。

当たり前ですが、読み始めると面白いマンガというのはいくらでもありますね。そして思うのですが、周りに大きな影響を与える、つまりほかの作品にも何らかの影響を与えるたり、マンガの作り方とか関連商品の売り方にも影響を与えたりする、つまり作品性においても、製品生産においてもその「元」になるところが、大ヒット作品にはあるんですね。


『One Piece』を読んでいると、なるほどこれはこういうことだったのか、と思うことが時々あります。書店などでも「ルフィ」「ウソップ」「サンジ」といった名前が並んでいたりして、それが何なのかあまりよくわかっていなかったのですが、『One Piece』のキャラクターだったのだということを知ってなるほど、と思いました。


平安時代以降の日本の文学作品にはすべて『源氏物語』の影響があると言います。ですから『源氏物語』は古典として読まれるべきで、それ以降の作品は源氏の影響を考慮しつつ読解していくべきだということになるわけです。


マンガにおいてそういうものは、もちろんまずは手塚治虫さんの作品なわけですが、それ以降もやはり時代時代を画した作品というのはあって、いま最も影響を持ちそうな作品は『進撃の巨人』ですが、90年代終わりから2000年代の初めの時期においては、間違いなく『One Piece』でしょう。大ヒット作品を読むことは、時代を知るという意味もある、ということを読んでいると強く感じます。


この『One Piece』の作品中でも、「グランドラインを制し世界の富を手に入れた海賊王『ゴールド・ロジャー』が、「ワンピース」と言われる秘宝を残し、手に入れたものにやると宣言したことが、猫も杓子も海賊を目指す、「大海賊時代」をもたらした、ということになっています。ですから、その中で『海賊王』を目指すということは、そういう時代の潮流を感じてその中でその夢を持ったということなのですね。


それは、王や長嶋を見て野球選手を目指したり、ノーベル賞科学者に憧れて科学者を目指したり、宇宙からの中継を見て宇宙飛行士を目指したりするのと同じことです。「海賊王に俺はなる」という夢に向かって突進していくルフィは、いわばそういう流行の中、時代の風潮の中での野望なわけで、今の時代で言えばITでも何でも、世界を動かすお金持ちの実業家になる、ということなのかもしれません。


やはり時代の流れというか風潮というかトレンドのようなものはあって、その流れに乗ってその先にある夢を目指す、というのはライバルも多いですが周りからの賛同や協力も得やすいわけで、夢がシンプルであればあるだけ仲間も集まってくるということになるのだと思います。


そういう意味で言えば、日本は今、憧れられる仕事をしている人は各ジャンル、各分野にいるわけで、そういう「夢を持ちやすい」時代になっていると言えますね。フィギュアスケートでも、サッカーでも、野球でも、宇宙飛行でも、バレエでも、実業でも、各分野に目標にするにふさわしい、憧れられる人がいる。もちろんまず、夢を持つこと、やりたいこと、実現したいことを持たなければ実現はしませんが、そのやりたいことが実現しやすい環境ということの中には、時代のトレンドというものは間違いなくあるわけです。


そういうわけで『One Piece』、いろいろなことを教えてくれます。