DVD付き 進撃の巨人 (13)限定版 (講談社キャラクターズA)/講談社
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今日は待ちに待った、4カ月に一度の、『進撃の巨人』の単行本の発売日です。もともとこの日は別冊マガジンの発売日でもあり、2か月分を掲載することによって別冊マガジン本誌で単行本の続きが読める、というシステムになっています。


私も最初は単行本派だったので、単行本を買ってついでに2か月分読もうと別冊マガジンを買ったのが運のつき、女型戦あたりからはずっと本誌も買い続けています。(笑)そういう意味では、単行本派が連載派に参戦する、ひとつのきっかけになるよく考えられたシステムだと思います。


13巻、まず表紙がカッコイイですね。(笑)リヴァイを先頭に、にわかにクローズアップされてきたヒストリアを中心に、物語のいく先を暗示しています。


第13巻は、エレンがライナーたちに連れ去られたウォールマリア内地への遠征から帰還した場面から始まります。そしてその51話に、大きな加筆がありました。事前に諫山さんのブログで加筆が4ページ分ある、という話だったので、12巻のように最後にあるのかと思っていたら、最初の51話に、ヒストリアに関するところに加筆がなされていました。


そしてそれが、今日発売された5月号の56話までの、伏線になっているところが何箇所かあったのです。

連載誌でのヒストリアはゆらっと立ち上がって「エレン、壁の向こうに早く行こう」で終わっていたのですが、13巻ではエレンの肩をつかんでユミルを取り戻さないと!巨人の力で何とかしてよ!」と言います。

そしてエレンはヒストリアをなだめるように、「ユミルはお前のことしか頭にないようだったよ」と言いながら、でも「最後は自分の意志で向こう側に行ったんじゃないか」と言います。


そしてヒストリアは泣きながらユミルに、「許さない。裏切り者」とつぶやきます。ジャンが驚いて、「クリスタ、どうした。お前らしくもない」というと、「クリスタは私が生きるために与えられた役で…確か…子どものころ読んだ本の女の子…だったはず」と言います。


「ユミルは自分の意志でライナーたちと行った」「クリスタは私が生きるために与えられた役」「子供のころ読んだ本の女の子の名前」


この三つは、この加筆で初めて与えられた情報だと言えますが、実はすでに52話以降ではこの加筆が前提になって話が進んでいるのです。「自分の意志」と「本の女の子」の話は54話のヒストリアの夢とエレンとヒストリアの会話につながり、「生きるために与えられた役」は最新56話の「私の次の役は女王ですね?やります、任せてください」という言葉につながっていくのです。


この加筆で物語の構成がさらに立体的になったと思います。


そしてエレンを手中にしようとする中央の圧力の高まりとともに、ウォールマリアまで遠征してエレンが硬化によって壁をふさぐという可能性も実験されますが、それは失敗に終わります。まずは調査兵団の活動を妨害しようとする、中央の動きを何とかしなければいけない。


そしてこの13巻の中で、それは「王制を打倒して調査兵団が壁内の実権を握る」ための革命を起こす、というエルヴィンの計画にエスカレートしていくわけです。


巨人との戦いの話なのに、13巻では回想シーンと実験シーンを除いて巨人は出てきません。人間対人間の戦いが始まったわけです。


この物語の筋立てで、人間対人間の話がどこまで面白くなるのか、最初は私もかなり測りかねていましたが、調査兵団の敵として現れたさまざまなキャラクターや集団が、みな焼きの入った悪の魅力に溢れていて、十分敵とするのに不足はない、魅力のある戦いが出来そうで、安心して物語を楽しんでいます。


魅力ある悪役たちとは、まずトロスト区の経済権益を握るリーブス商会とその会長。彼らはエレンとヒストリアをさらおうとして返って調査兵団にはめられ、リヴァイの説得によって彼らを調査兵団の仲間に引き入れます。


それから中央第一憲兵のサネスとラルフ。彼らは拷問によって調査兵団の味方についたウォール教の司祭・ニックを殺してしまったのですが、13巻の最後でハンジたち調査兵団にとらえられます。


そして13巻ではありませんが、56話で出てきた(実は13巻の52話、ヒストリアの母親が殺された場面に出ていたのですが)対人制圧部隊。魅力ある悪役を描くのが、諫山さんは本当に上手いなあと思います。

13巻の陰の主役はヒストリアでした。51話の加筆、52話のヒストリア自身の語った過去、53話でエレンの、54話でヒストリアの夢に出てきた黒髪の女性。まだ謎を解き明かすにはピースが足りなさすぎますが、大いに空想をかきたててくれます。


13巻は、物語が大きく転回していくその転回点にあるように思います。この物語がどこまで行くのか、最後まで見届けたいと思いました!