重版出来! 2 (ビッグコミックス)/小学館

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『重版出来!』一気に2巻読んでしまいましたが、こういう風に物語を強烈に感じると、ふとした時にふっとその漫画の場面が浮かぶ、ということがよくあります。

今日パーッと浮かんできたのは、第8話で漫画家の高畑一寸が浮気性の恋人に連れて行かれたデパートで、ひとりでぼーっと座っているときに、目の前に巨大な「ツノひめさま」が浮かんでいるところ。

この場面は本当に、イマジネーション豊かなマンガ家というものがすごくよくわかる感じがしました。目の前の風景でなく、自分の作品世界を見つめている。それを理解してもらえない人とは、確かに一緒にやって行くことは難しいだろうなと思います。

もう一つは、第7話で恋人に出て行かれてネーム(漫画の台詞・コマ割りまでした大体の下書き)が鬱展開になっている高畑に、自宅まで行ってネーム書き直しを求める場面。彼女が帰ってきたと勘違いして一度あけたドアを、編集者だとわかってしめようとしますが、心は必死にしがみつきます。

「私はこないだまで一読者でした!このネームでは読者はわくわくしません!嫌われても憎まれても言うべきことは言わせてもらいます!作品を守ることは先生を守ることです。このネームを通したら、読者ががっかりします。私が担当である以上、先生の信頼に絶対傷をつけさせません!」

誠心誠意、高畑に訴える心の心が通じて、高畑をはドアを開けます。来週号を渡してネーム直しを頼む心に、「クソ女!誰が書き直すか!」と捨て台詞を言う高畑。心は「怖かった…怖かったよう…」と思います。怖いものなど何もないように見える心が、本気でぶつかって、やはり怖かった。

そこに、あのアオリが来て、恋人が帰ってきて、高畑は完全に復活します。このテンポのいい展開もよかったのですが、「怖かったよう…」という心が、本当に可愛く見えますね。

28日出版の第3巻では、さらに個性豊かな作家たちの出てくる展開になるのかなと思います。今から楽しみにしています。