重版出来! 2 (ビッグコミックス)/小学館



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第2巻もとても面白かったです。




この巻では小熊のような体格の新人編集者・黒沢心は、ついに担当につきます。




第7話から9話は『ツノひめさま』を連載する高畑一寸というマンガ家の担当の仕事が描かれています。イマジネーションは豊かなのに、浮気性の彼女と付き合っていて、出て行かれるたびに不安定になる、というパターンのマンガ家。




担当編集者としての心の最初の関門は、連載を盛り上げる「アオリ」を書くことでした。




四苦八苦していた心は、「アオリ」は編集者のマンガ家へのメッセージでもある、という先輩編集者・五百旗頭(いおきべ)の言葉を聞いて、ついに秀逸なアオリをつけ、高畑を励まします。




一見落着と思いきや、今度はライバル誌「エンペラー」が高畑を引き抜きにかかります。高畑は最初二股をかけようとするのですがアイディアが出て来ません。高畑は自信を失いかけますが、高畑がライバル視していたタマルハイツというマンガ家が高畑に初版本のサインを求めてきたことで、自分の力を再評価し、また「バイブス」の編集者とのやりとりの中でよい作品を作ってきたことを自覚して、「バイブス」に残ることを決めます。




これで一件落着と思いきや、今度は彼女が高畑を試したいだけの理由で出て行ってしまい、また高畑が不安定に。心は原稿に集中する高畑の代わりに、彼女を探し回り、ついに見つけます。原稿は無事校了、しかし限界を感じた高畑は、彼女に別れを告げるのでした。




このシリーズでは、心に「ああ弱い。弱い弱い。どこかに強い男はおらぬかえ・・・」というアオリをつけられた高畑が、「俺は弱くない、弱くないぞ小熊。マンガの中だけは!」というところがすごく好きでした。




第10話はSNSの話題。作家には、編集よりもキャバ嬢よりも、読者の声が届く。これは本当にそうだろうなと思いました。実際、私のようにほぼウェブ上だけで文章を書いているものでも、返信をもらったり、文中でリンクされたり、ブログで紹介されていたりするとすごくうれしいものです。普段は編集者しか窓口がないマンガ家は、読者の声に飢えているんじゃないかなと思いました。実際、マンガ家の方のツイッター率の高さはすごいものがありますし。(逆に、こちらからツイートしてもほとんど答えてもらえないタイプの漫画家さんもいらっしゃるんですけどね。でも内容は、きっとすごく読んでるんだろうなと思いますし、そういう意味でツイートにはかなり気を使います。)




第11話から12話は、もう消えてしまった過去の大家・牛露田に、映画化と電子書籍化の話を持って行きます。しかしなかなかいどころが分からなず編集部の先輩に頼って訪ね当てますが、彼の家に何人かの編集者がたずねたところ、彼はすっかり力を失い、娘も荒んだ目をしていました。




心は、牛露田とその娘の生活をなんとかしてやりたい、そのためにも映画化と電子書籍化の話を受けてもらいたいと思い、しかしそれを受けてもらうためにはまず娘に心を開いてもらって娘から話してもらうしかないと思い、娘のアユの相談相手になります。




アユが思いのたけを牛露田にぶつけると、牛露田も目を覚ましたように映画化と電子書籍化を承諾します。これでうまくいくと思いきや、牛露田は失踪してしまうのです。




個性豊かなマンガ家たちと、彼らに真摯につきあう編集者たちの、濃い人間関係を読んでいると、『歌』で描かれた中原中也が彷彿としますし、創作に取り組む人間というものの姿というのは、そんなに根本的には違わないんだなあと思います。




やはり作家もマンガ家も、表現というある種の「業」に取りつかれていることは否定できません。でも「業」というのは別の面からみれば「才能」であり、であるからには結局「使命」でもあると思うのですね。編集者というのは、その「使命」を全うさせるための役割を担っていると言えるんじゃないかな、と読んでいて思いました。




今週の28日にはもう第3巻が出ます。このタイミングでこの作品を知ることが出来て、ラッキーだったと思いました!