今朝のモーニング、巻頭カラー・新連載の田島列島さんの『子供は分かってあげない』がめちゃくちゃ面白かったです!

まず、「子供は分かってあげない」という題が何とも言えずいいですね!もちろん、フランソワ・トリュフォーの名作映画、「大人はわかってくれない」のもじりなのですが、ただひっくり返しただけなのに何でこんなに可笑しいのかと思いました。(笑)

絵柄はのんびりした感じ、色づけもパステルカラーで、高校2年生の夏のボーイミーツガールという話なのですが、出てくるキャラクターたちがいちいち普通なのに可笑しいのです。主人公の朔田さんは水泳部で一人だけ大会に出場するくらいに泳げるスイマー。書道部の門司くんは字がうまい(当たり前ですが)。

朔田さんはプールでぼーっと空を眺めていたら校舎の屋上になにか気になるものが見えたので、練習を終えて屋上に行くと、門司くんが「魔法左官少女バッファローKOTEKO」の絵を描いていたのです!

……まずなんというか、「魔法左官少女バッファローKOTEKO」って何。(笑)

思わず笑いが止まらなくなりました。KOTEKOっつまり、左官屋さんが使うコテに書けてあるわけです。そのKOTEKOのファンということで、二人は意気投合します。マイナーな趣味を共有するというのは、凄く親近感が高まりますよね。(笑)

次の日の放課後、屋上を見ると煙が上がっていました。朔田さんははっとして屋上を見に行きます。すると殴られてけがをした門司くんが破られたKOTEKOの絵を持って階段を下りて来ます。KOTEKOが破られているのを見た朔田さんは悔しくなり、仕返しをしようと小銭を握って屋上に駆け上がります。

しかしそこにやってきた千田くんが既に不良たちを全員殴り倒していました。千田くんは門司くんに「これで借りは返した』と言います。

門司くんは保健室に行って養護の先生に治療してもらうわけですが、けがをした理由を聞かれて朔田さんにやられたといいわけします。朔田さんは練習時間であることに気がついて慌てて練習に戻るが、「今回のことは貸しでいいかな?」と言い残して去ります。

と言う具合に、基本青春グラフィティなのだけど、キャラクターの台詞や行動がいちいち面白いのです。

朔田さんが殴り込みに行くときに小銭を握るのですが、これはどうも小銭を握るとパンチの威力があがるようです。(知りませんでしたが)

また千田くんがラブレターを代筆してもらった理由を、門司くんは朔田さんに「中学のときに告白しようとして緊張のあまり爆笑して振られたと言うトラウマがある」という話をします。

「何ソレ?告白あるある?」「知らねーよ。告白したこともされたこともねーもん俺」「私もないなー。お互いつまらん人生を歩んできたねー」「そーね」という展開になり、なんと言うか日常的な言葉の使い方のセンスが凄くいいなと思いました。

あんまり面白かったので、そのあとでモーニングのバックナンバーを探して、田島列島さんの作品を探してみました。私は雑誌は半年分とってあるのですが、「田島列島縦断読み切りツアー」と銘打って読み切り3話がモーニングの8号、11号、12号に掲載されていたのですね。私は『お金のある風景』は読んでいましたが、それほど印象に残ってはいませんでした。

でも「子供はわかってくれない」を読んでから「おっぱいありがとう」「お金のある風景」「ジョニ男の青春」の3本を読んだので、田島さんの面白さをよりいっそう認識することができました。

その他、過去にDモーニングやモーニング本誌に掲載された作品としては、「ごあいさつ」「官僚アバンチュール」という作品があるとのことでしたが、掲載はかなり前のことのようで、残念ながらバックナンバーにはありませんでした。

しかし久しぶりに「これは!」と思うマンガを読んだという感があります。次号以降も毎週掲載のようなので、楽しみにしています。単行本はまだ出ていない本当の新人のようですが、なんと言うか昭和のセンスと言うか、我々の世代のセンスをくすぐるようなところと、私が全然知らない、ないしは思いつかないようなネタも満載で、短編集も早く出てくれると嬉しいな、と思いました!