スカイ・クロラ (通常版) [Blu-ray]/VAP,INC(VAP)(D)

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2010年になりますが、森博嗣さんの原作、押井守さん監督の『スカイ・クロラ』を見ました。

以下、初めて見たときに考えたことです。あまりストーリーとの関係はないかもしれません。

私は、この映画は、すごいと思いました。どこまでが森博嗣さんで、どこからが押井守さんなのかわからない部分もあるのですが。この作品からは、2009年という時代の空気を感じることが出来るな、と思いました。

私は1957年生まれの森さんに比較的世代が近いのですが、主なターゲットであるでしょう1990年前後生まれの鑑賞者たちの世代感覚というものを意識させられるなあと思いました。

私たちの世代は、「滅びの予感」のようなものを世代的に共有してきたと思います。言葉を換えて言えば、冷戦世代と言うのがいいでしょうか。核状況下、つまり「核戦争がいつ始まってもおかしくない」という認識を共有していた世代です。滅びはいつ来るのか、今日か明日か、ノストラダムスの予言は的中するのか、など、死というものを常に漠然と感じていた観念的な不安のようなものがわたしたちの世代にはあったのですが、この作品の背景にはそういうものがあると思います。

そしてそれを若い世代の人たちに共有させることに成功しているように思うのは、たぶん若い世代の人たちが日常の中に実際に死の不安を感じる機会が増えているからではないかという気がします。

ヒロインに当たる草薙水素が司令部に怒鳴りこんだとき、副官が「大人げない」とつぶやくのですが、主人公の函南が「あす死ぬかもわからないのに、大人になる必要があるんですか」と言います。この「滅びの感覚」が、現代に生きる私たちの、多くの世代に共通する感覚になってきているのかもしれないとも思います。

長くなりましたので、全3回に分けたいと思います!(2)に続きます!