Landreaall 23巻 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)/一迅社

¥580
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昨日2月28日に発売された『コミックZERO-SUM』に『Landreaall』131話が掲載されていました。

行方不明の両親を捜しにクレッサールへ行ったDX。その付き添いを大老に命じられたディアと、内緒でついてきたイオンですが、六甲を助け出し、さらに捜索を続けています。

ストーリーはクレッサール編が続いているのですが、今回の表紙はリドと五十四さん。久しぶりにアカデミーの制服を見ると安心するものがあります。何しろハードな話になってきたので…

冒頭はDXの父・リゲインとの戦いを回想するユージェニー。戦いは済んだようですが、物思いに耽っています。連れ去られた「虎斑」部族の娘、マーニを、リゲインは信じてくれただろうか、とユージェニーは思います。「もはや伝えるすべはないが…」

この言葉が、何を意味しているのか、それがDXたちの旅に暗雲を投げかけているわけです。

旅に付き添ってくれる「灰撒」部族のバハルとチレクの兄妹と、「曲鳴」部族の呪術師を救い出したDXは、少しずつクエンティンのして来たこと、していることを知って行きます。しかしDXは、フースルー(念を読む歌い手)であるクエンティンに言われた「心の中の光を大切になさい」という言葉を思い出し、「あの人の言ったことが全部嘘だとは思いたくない」と思います。

曲鳴の若い呪術師を聖地を守るユーサハン鎮守へつれて行こうと話している一行を、山賊が襲撃します。それをとらえたDXたちは、その山賊が六甲のことを「アトルニアの王子様」と口走るのを耳にするのです。

こうして書いてみると、このストーリーは、初めて読む人に紹介するのは難しいストーリーですね。^^;;

おがきちかさんの作品では、ほかの作品でもそうですが、明確な意味を持った特殊な単語がよく使われているのです。その言葉がその世界の姿、つまり世界観を明確に表していて、絵だけではなく言葉によってその世界の広がりが表現されているのが凄いなと思います。

好きな場面という意味で言えば、冒頭の「物思いに耽るユージェニー」と、ラスト近くの「矢を放つバハルと飛んでくる矢を叩き切るDV」の場面でしょうか。この物語のリリシズムとダイナミズムがよく現れているなあと思います。

クレッサール編は、奥へ行けば行くほど、先へ進めば進むほど、隠されていた世界の秘密が、晴れやかに出はなくかなり重い形で、明らかにされて行く感じがあります。多分、ダーク系のファンタジーにはそういうのがあるかもしれませんが、私はそちらの方にはあまり強くないので、よくわかりません。

私が今まで読んだストーリーでは、『ナルニア国物語』のシリーズで、世界の東のはて、日が昇るところまでたどり着く『朝開き丸、東の海へ』を読んだときの感触を思い出しました。

そう、そうですね。今までの話はあまり人の暗い心の世界に入って行くようなところがなかったのですが、今回のシリーズではクエンティンと言う巨大な空洞のような暗黒の人格と言うか、そういうものの世界に入り込みつつある感じが、ハードな感じがするんだろうなと思いました。

とてもよくできたストーリーだと思います。来月も楽しみです。